3年 | 山本加津彦 ブログ

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作曲家 山本加津彦のブログ 

遅くなってしまいましたが、


先日、3月15日に群馬に避難中の浪江町出身の牛来美佳さんの演奏させてもらいました。
震災から、3年経った、彼女の伝えたい事が凝縮されたコンサートでした。


震災後、僕の中で周りの音楽にめちゃくちゃ違和感を感じるようになりました。
あの数ヶ月以内に、いくつか演奏をしたり見たりしたけど、なんだこれはとなった。
結局自分には音楽をやる理由が無くて、泥かきにいくしかなかった。


演奏したライブハウスでは、被災地の人が来て話してるのに、誰かの誕生日だかでお酒飲んでカンパーイてなってるし、あるクラブではチャリティーと言ってストリーム配信とかやって大成功でしたと言われて、誰がこれを見れる状況にいるんだ、見たとして、踊って酒飲んでるの見てどう思うのかとか疑問だらけだし、
演奏に呼ばれて行ってもこれから被災地で演奏ていうのに借りている家で化粧を塗りたくっている歌手や、、

普段関わってる音楽で、何が自分にとって偽物か良くわかりました。

誰もが何も出来ない中、音楽はあれが精一杯だったんでしょうが。

宮崎駿監督が、今はもうファンタジーだけをやっているわけにはいかないと言っていましたが、
音楽もそう、今は、現実に向き合ってない音楽を聴いてもちょっと入りこめない。


ミュージシャンは、カッコいい音とか、おしゃれなサウンドとか、グルーヴとか、
踊れるかとか、そういう視点に立つことも多いけど、
そういうのだけの音楽はもう自分にはいらない思います。

牛来さんを見ていたら、歌も曲も、全然まだまだ未熟だけど、
やっぱりこの世界にどうしても伝えたい事がある、歌っていることは現実。

僕はちゃんと現実に向き合った音楽に関わり、本当に必要とされる人に届けられる仕事をしたいです。



牛来さんの娘がお母さんに書いた手紙。