皆さん、おはようございま〜す
レポ遅くなってます異動やら先の計画やらで、竜雲 大変になりました…慣れたら時間配分ももっと上手くできるのでしょうが
先日「義経千本桜 渡海屋」レポを書きましたが、それに続く「大物浦」が私は大好き
幕が開くとそこは浜辺の小屋。
御簾が開くと、先程とは打って変わって十二単の内侍の局と女房たち、そして安徳帝も綺麗なお着物なので、「ほぉっ…」と時代物の美しさに浸れるここはなかなか素敵なオープニングですよね
片岡孝太郎さんは平安時代の女性がよく似合います
さて。知盛は提灯の灯りが消えたら自分が討死にしたと考えてください、と渡海屋での出立の前に言って出かけているのですが…
なんと沖合いの舟(遠見で小さく作られている)灯りが消えて沈んでしまいました
座席がザワザワしていました
そこへご注進の相模五郎。
中村鴈治郎さんです。鴈治郎さんはすっごく上手いですが、相模五郎ってわりと身体のラインの出る衣装なので… なんて言うのかなぁ
以前、松本幸四郎さんがこのお役をされているのを観て、惚れ惚れとするくらいかっこよかったので… このご注進がする踊りは手足の長い方がされたら映えるんですよねぇ。
鴈治郎さんはとっても上手いです
そして次のご注進の入江丹蔵ですが、市川猿弥さんこの猿弥さんのご注進がドラマチックでとっても良かった丹蔵は手傷を負ってお腹を刺されていて死にそうなんです
猿弥さんは悲しいお役が似合うんですよ猿弥さんのなさるお役の非業の最期に涙した方も多いでしょう
入江丹蔵は敵を道連れにして海に飛び込んで最期を遂げました歌舞伎の浮世絵の中の人みたいで、猿弥さんの丹蔵 素敵でしたさすが…
そして内侍の局と女房たちも最期だと覚悟を決めます。
女房をお勤めの役者さんがたも上手くてですね(特にベテランの一番目の方がずば抜けて上手く台詞も多いんですが、その方を始め皆さん上手い)その嘆きようが気の毒で、平家に襲いかかってきた悲劇を私も感じまして…
女房たちが飛び込むシーンが悲しく…
安徳帝の歌の場面は、あんまり印象に残ってないのかな、私
そして内侍の局が安徳帝を抱きかかえ
「いかに八大竜王、安徳帝の御幸なるぞ!守護し給え」の台詞なんですが、孝太郎さん強くて良かったです
飛び込もうとする内侍の局と、それに抱かれた安徳帝…を捕らえる義経の四天王
義経の四天王もこの場面では鎧を着ていて、先程とは打って変わって時代物の拵えです
内侍の局と安徳帝は捕らえられ…どうなる(まあ、平家が滅びることは私たち解っているわけですが)というところで幕。
そしていよいよ知盛です
片岡仁左衛門さんの知盛
あんなに立派だった姿が、もう死にそうで血まみれになって…知盛に勝ち目がないことが一目で分かってしまう有様でした痛々しい…胸が痛くなるような知盛でした体に矢がいっぱい刺さってます…しかし絵のように美しい知盛でした
知盛に襲いかかる、そして知盛と見得をする4人の武者。これは名題さんがやるお役なのだと伺っておりますが、今月はなんと中村橋三郎さんがやってらっしゃいました〜
(座組がけっこうタイトなのかしら?7月は3座開幕してましたしね)
知盛は強いんですが、もう勝ち目はなく…もうここの場面では恨みの気持ちだけで動いているんです。なので仁左衛門さんの知盛はまるで怨霊のような表情でした
仁左衛門さんだけがされる独特の型で、あまりにも喉が乾いて、自分に刺さった矢を抜いて、自分の血で喉を潤すところがあります。
一番最初にこれを観た時には、なんだか奇をてらっているようで、その演出はなくても良いんじゃないかなぁ?なんて感じてしまった私ですが、先日に観劇した時にはギリギリの状態の知盛が表れていて、素直に観ることができました
仁左衛門さんの知盛は怨霊のようなのです(褒め言葉です)もう気力だけなんです
そこへ源義経と安徳帝を抱えた四天王がやって来ます
そして弁慶には発起せよ(出家せよって意味ですよね?)と言われ、数珠をかけられます。もちろん断る知盛。
仁左衛門さんの知盛は血の涙が流れているようでした
目の辺りには傷を描いているのですが、本当に流れていたんです!仁左衛門さんの知盛の美しい顔に血の涙が本当に流れて…(仁左衛門さん、本当に涙を流していらっしゃったのかしら)
見ていて、その美しさと哀しさとドラマチックさにきゅーっとしたところです
どんどん、知盛の目の下の頰に赤い涙が、血が流れて広がっていく… 私は「知盛そんなに泣かないで」と優しい気持ちで思いながら見てました…
知盛の心残りの安徳帝は義経がしっかりご守護する、と約束してもらってからの、知盛(仁左衛門さん)は泣きながらも笑います。
前に仁左衛門さんの知盛を観た時にはもっと笑っていらっしゃったのですが、今月はそれよりは少し控えめな喜びの、悲しい中での笑いでした。
「昨日の敵は今日の味方〜〜」のところも、知盛の気持ちを義経が受け止めたからなんだなと思いました。菊之助さんの義経は、心の奥が優しい感じなんです
知盛は海の藻屑となることを選び、岩に登っていきます。
最期に「さらばーー!」「さらば〜〜」と知盛と義経が言い合うのですが、最期にそう言い合える人がいて知盛、良かったな…と思えました。
知盛が碇の綱を自分に巻きつけ、そして碇を持ち上げるところ
仁左衛門さんの知盛が碇をぐわっと持ち上げた瞬間に鳥肌が立ちました知盛という男の生き様を見たような気がしてホント鳥肌でした!
そして知盛は後ろに飛び降りました
ああ、仁左衛門さんという名優の知盛を生で観られることが嬉しい、とその瞬間に思いました
3階だったので、波後見さんが受け止める用意をしてたのが見えましたおかげ様で無事に、こんなに素敵なお役を仁左衛門さんが一か月お勤めになれたんだわ〜と波後見さんにも感謝
そして花道。
その花道には安徳帝を抱き抱えた義経がいました。菊之助さんの義経、一瞬目を閉じて知盛に想いを馳せましたそこで私は泣けてしまって…
知盛があんなに必死に託したものはこんなにもしっかりと受けとめてもらえたんだなぁと思ったら
菊之助さんの義経、花道のお芝居がとてもいいわ〜気持ちをそこで一瞬見せている!!
安徳帝を見る眼差しも泣けてしまいました
そして弁慶=坂東彌十郎さんの鎮魂の法螺貝…
そして入る附けの音と大きな見得。
舞台もすごく良くて、余韻の花道もこんなに良くて…
大満足の「大物浦」でした
ちょっとお昼休みが終わるのでここまで。
ほとんど書きたかったことは書きましたが、また思い出したことがあれば加筆していきます
皆さんにも、良い一日を〜