昨日1日だけ松竹座で過ごした竜雲です
東京→大阪は夜行バスがホントとってもちょうどいい距離なのでついつい 夜行バスは寝てればいいですし、3時間起きてじっとしている新幹線より楽な気がする竜雲です(笑)(新幹線だと眠れなくありません?乗り過ごしたらタイヘンですし…)
私は「渡海屋」「大物浦」が並んでいると、今までは『「大物浦」だけでいい「渡海屋」はなんだか世話物みたいですし、別になくてもいい』と思っていたんですが…
今回観て思いました
「渡海屋」もぜひやってくださいと!
幕が開いて、舞台下手になんだか重そうな荷物を持って威勢のいい4人は船頭さんです
橋吾さん、船頭さんでした
かなめさんも。
さて、船頭衆が引っ込んだら、花道から北条方のお侍…に扮した相模五郎と入江丹蔵がやってきます。これがですね、今月の松竹座では中村鴈治郎さん(相模五郎)と市川猿弥さん(入江丹蔵)の、福々しいお二人なんです お二人はまるで相棒のようにペアペアなお昼の部です (しかしお二人とも芝居上手いですよね〜。お二人を見ながら、博多座で確か仁左衛門さんが俊寛をされた時にこの2人が少将と康頼をされてたのを思い出しました…なんだかお席で顔がほころんでしまいました)
あっ、ほら!やっぱりそうですよ!
私はこの時の博多座には観に行ってないのですが、流人のお役なのに福々しくぷくぷくしたお2人なので話題になっていましたよね
思い出しちゃって
そして片岡孝太郎さんが女房お柳実は内侍の局です。坂東玉三郎さんがこのお役をされたのを観た時には、このお柳がなんだか可愛い娘さんのようで、惚気も可愛い若い奥さんだなという印象でしたが、今月の孝太郎さんのはそれよりも年上な奥様みたいな印象でした
猿弥さんはきりっとしてて立派な感じの入江丹蔵でした
そこへ主 銀平が帰ってきます。
ここはですね、私はいつもであれば次の素敵な知盛姿を見たいばっかりで「渡海屋」はそんなに好きじゃないなぁ〜と思っているところですが、なんと
片岡仁左衛門さんの銀平は
見た瞬間「うわっ」と思いました
なぜならば、出て来た瞬間からかっこよかったからです… どうしよう!
なんてかっこいいんだろう
町人の姿になってもああ貴方は知盛様ですねと思えるかっこよさ!!
台詞を、不思議な抑揚で言ってらっしゃるところがありました。
「命をとー↗︎りーかー↘︎じー」だったかな?こんな言い回しをしていたかしら、銀平…変わったイントネーションでした。
煙管を吸っている姿も惚れ惚れとしてしまいました銀平 実は知盛、平家の大将なのです
仁左衛門さんが助六なら、何人もの花魁が煙管を差し出すのも納得ですよ
そして鴈治郎さんと猿弥さんコンビでの魚づくしお二人とも福々しくて、面白コンビだとなんだか可愛らしかったです
「ひとりでできるもん!」て感じでした(笑)本当に可愛い…
しかしこんなにコミカルに去って行っても2人とも後に死装束に成るのですから…なんだかやってられないような無常観ですよねぇ
そして義経登場
菊之助さんはよく岳父の吉右衛門さんをお相手に義経をお勤めの印象ですが、今回はVS 仁左衛門さん
吉右衛門さんと仁左衛門さん、タイプの違う中でお二人とも最高峰ですが、菊之助さんはどのように思ってお勤めなのでしょうね
義経の四天王の並び方フォーメーションがいつもと違ったような。
いつもは義経の後ろに4人並んで、「ああ私のお席からは義経に隠れて2番目の○○さんは見えなかったわ」なんて事態が発生したりするのですが、今回は2人義経の下手側に並び、義経の上手側に2人、少し空けて並んでいました。
…もしかしたら、この並びならどのお席からでも四天王が見えるから???
私、菊之助さんの義経、好きかもしれません
ここで、お柳に言われて出立していくじゃないですか。花道から義経が去る時に、チラッと目線が後ろ(舞台)に行ったのを見たのです
「あっ、義経は内侍の局たちの計略に気づいているわ」と思うその一瞬のワクワク感
(「あなたの番です」で鍛えられて、伏線は見逃さないようになってきたのかもしれませんいいね)
その『チラッ』がとても良かった
(自分の中のワクワクポイントでした)
そして少し上手側のお席だったので、平知盛卿になり、とても綺麗な刺繍の白いお着物の姿になった仁左衛門さんの姿を、障子が開くところを正面から拝見することができました
もうたまりませんですよ
なんて立派で、なんて綺麗でなんてかっこいい姿なんでしょう…
そこに居たのは、その威厳は正しく(まさしく)平家の大将だと私は思いました
私、そういう移った色を見るのも好きなんです。
舞台が回数を重ねられている証拠
その色の分、重ねられてきた今月の舞台に思いを馳せられるので。楽日近くには大体そうなってますよね
しかし本当にかっこいい…
本当に平家の大将がそこにいて…
ユーレイたちが迎えに来ました
面白いですよね、みんな目の上を青く塗ったりして
ユーレイ(の格好をした、実は平家の知盛の家来たちですよね?)は
市川弘太郎さん、中村橋吾さん、中村かなめさんたちがいて…ラストは中村芝歌蔵さんでしたよね
一差し舞う仁左衛門さんの知盛の立派なこと…なんて厳かで、なんて強く美しく、なんて平家の大将なんだろうと惚れ惚れしました
私、このお芝居を初めて観た時には「知盛卿、あんなユーレイみたいな人たちについて行ったらだめだよ!!絶対やられるよー!負け戦になるよ〜!」と思って花道を去っていく知盛を悲痛な気持ちで見送っていたのですが…
今回、花道を去って行く知盛の表情をしっかりと見たのです。
「義経は自分が討つ!」と決意に満ち溢れた、ヒーローの顔でした かっこいい仁左衛門さんの知盛、目が燃えていました
ユーレイみたいな人たちは知盛の家来ですよね?平家の亡霊に襲われるという恐怖を源氏側に与えるためですよね
知盛がとても勇ましく、それはヒーローの姿「ああ知盛がんばってー」と見送ったところで幕になりました。ユーレイの拵えの家来たちも(私は双眼鏡なので橋吾さんしかその時は視界になかったですが)あのような拵えですがやはり勇ましい表情でした
さあ、これから大物浦です
私が「渡海屋」でこんなに長くレポを書くのは珍しいですが、仁左衛門さんの銀平も知盛も素敵でしたので…
それでは、また時間みてレポの続きを書きますね
皆さん、良い夜を〜