「四天王楓江戸粧」レポ5@「明治座十一月花形歌舞伎」 | 油絵で歌舞伎! KABUKI OIL PAINTING

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絵師のはしくれ、西本竜雲のブログです。自分で描いた歌舞伎役者絵をこちらでご紹介させていただきます。ほぼ毎日歌舞伎関連のことを綴ってます♪★励ましのお便り、歌舞伎の役者絵(油絵)のご依頼等はryuun . kabuki . pictures@gmail . com まで♪←スペースなしで

幕間が終わって、いよいよ大詰です。
【地蔵堂の場】

幕が開くと、鯰坊主の市川欣弥さん。子狐丸という剣を持ってます。

花道から市川猿弥さん。雪見だいふくみたいな公家の夜鷹でもなくて、太っちょの赤っ面のお役でもなくて、かっこいい拵えですので、猿弥さんファンの方はこの幕が一番嬉しかったのではー?ニコニコ
なんとこの方は四天王のひとり!卜部季武なんです。

花道から「おいー!おいー!」と卜部季武を呼び止める声(市川猿之助さんの声です)。
なんと、しっぽりと色っぽい女形での登場でした。
猿之助さんのお役は「文売り」なんだそうです。紅葉の枝に手紙がいっぱいくくりつけてあるものを持ってました。一緒に行きましょうということになって、「これも何かの縁や(猿弥) 縁の助(猿之助)」と、同道することになります。 

猿弥さんが、「先月は一人道中五十三驛で大変でしたなぁ」というと猿之助さんが「今月も相変わらずです」
(猿弥さん)「今日は大千穐楽ですなぁ。体に気をつけてがんばんなさいよ」 そんなやりとりもあり、場内は奮闘されていた猿之助さんに大拍手でしたよ!

卜部季武は自分の身分を隠しているのですけれども、この文売りの女性には「名のある方」と見抜かれてしまいます。「そなたがそれを見抜くのは・・・化生の力じゃな!」 

なんと猿弥さんが「さてはそなた 狐じゃな!」←静御前か!静御前か!!
「ああーーー」と、なんと猿之助さんは早替わり!白い狐の拵えになってしまいました目

『四ノ切かっ・・・!』と思って可笑しかったんですが、狐は「はや、おさら~~ば~!!」と、黒御簾のところに飛び込むように消えてしまいました。(ほんとに四ノ切と同じ)
場内、湧いて拍手の渦でした。

そこで、舞台上では音楽が変わり、なんと綺麗な顔の坂東亀三郎さん(気品のある殿方の拵え)、赤姫のような尾上右近さん、卜部季武の市川猿弥さん、市川欣弥さんたちのだんまりが始まります!
お家の重宝ものには欠かせない「だんまり」 
大体、ここで重宝が他の人の手に渡ったり、なくしてしまったりしますよね♪

亀三郎さん・・・この演目中ずっとすごい藍隈で出てらっしゃいましたが、この大詰では綺麗な殿御のお顔(普通のお化粧で)。これは一体別の人物なんだろうか?それとも・・・と私は観ながら考えてしまったのですが、やはり同じ人で左大臣 高明なんだそうです。

尾上右近さんは平将門の妹の七綾姫です。将門の旗印でもある繋馬の御旗を持っていましたが、だんまりでそれが左大臣高明の手に渡ってしまいます。 
また、小狐丸は相馬太郎良門の手に渡ります。

赤い旗印をばさーっと投げて、それを肩にかけての亀三郎さんの見得がなかなかかっこよかったです。

ここはなんの説明もないので、花道から猿之助さんが天竺徳兵衛みたいな拵えで子狐丸を持って現れた時には「天竺徳兵衛だ!」と思いました☆ 拵えが天竺徳兵衛に似ているのです♪
六方での引っ込みもまるで天竺徳兵衛のようでした。誰かな?と思いつつ、とりあえず子狐丸が良門の手に渡りました~。

幕。舞台には定式幕が降ります。
花道には白い布が引かれ、トンカントンカンという音が聞こえました。

幕が開くと、紅葉茶屋というところです。雪が降り積もっているのですよ。なので花道の白い布は雪だったんですねぇ。
【紅葉ヶ茶屋の場】

花道から市川寿猿さん。身重の女の人役ではなくて、ちゃんと普通の立役の格好です(笑)
人相書きを持ってきたのです。 

「傘に降ってくる雪も愛しい人だと思えば重くない」という歌?句?を読まれました。
有名なのかな。最初に観劇した時には隣の方が合わせてその文を口ずさまれてました。

猿弥さんがご亭主なんです。(実は卜部季武) 一寸徳兵衛みたいなお化粧で、猿弥さんはこの幕ではずっとかっこいいお役です。
将門のせがれの良門がお尋ね者になっている、と人相書きを持ってきたのです。

寿猿さんは、品川の芸者の「おのぶ」に入れあげて、猿弥さんのところの居候とは恋敵なんですって。
「年甲斐もなく、鼻っぺいりなさいますな」と忠告を受けます(笑)寿猿さんの引っ込み。

花道から登場は、質屋の娘 お七(尾上右近さん)と彦三郎(ひこささん、と呼ばれる男性=坂東亀三郎さん)の痴話喧嘩です。お七?彦三さん? (さっきのだんまりとは別の人たちなんだろうか?と思って見るのですが・・・どうなんでしょう)

亀三郎さんはこの演目ではめちゃくちゃ悪人の藍隈姿でしたが、この幕ではなんととっても良い人のよう(^∇^)どうしたのかしら?

お七のところに大事な袢纏を預けたら傷物にされたということで「そなたとの仲もこれぎりじゃ!」と憤慨している彦三郎。「こなさんのその縁切りは品川のおのぶという女郎に入れあげているからでしょう?」と、ほんとに痴話ゲンカあせる

お七は、『袢纏を傷物にした犯人を捕まえました』と言って、なんとカゴの中には2匹のネズミ! 
ネズミ相手に怒っても仕方ない、ということになるのですが、カゴを置いたはずみにネズミが逃げてしまいました!

そこで花道から市川猿四郎さん(男らしい女形ではなくて、廓の男の人)と、芸者おのぶがやってきます。
猿之助さんは元々女形をやってらっしゃったので、芸者のお役も綺麗ですね~。
彦三郎がおのぶさんの「間夫(まぶ)」だそうで、最近の心変わりは質屋のお七のためかと問いただすためにやって来たのです。
「間夫がなければ女郎は闇」と「助六」の揚巻とおんなじ台詞を言っていましたよ~音譜(パロディの多いこの演目ですから、わざとでしょうニコニコ

おのぶ(猿之助さん)とお七(尾上右近さん)の間で板挟みの彦三郎。
どっちのことも好きなんでしょうか(笑) 女性二人の見得があるのですが、真ん中で困った顔をしてうつむいてしまう亀三郎さんが面白かったですにひひ

猿弥さんが、「半月替わりの女房にしなよ」と提案。月の上半分はお七、下半分はおのぶのところにいなさいよってことを言うんです(笑)

女性たちもそれで納得して、3人でめでたく祝言になります(笑)
亀三郎さん=彦三郎、モテモテハートハーレム状態で良いことで御座いますね(笑)ラブラブ

しかし彦三郎はひどい下戸で、三々九度の盃だけで酔っぱらって苦しんで引っ込んでしまいます。

お七は実は将門の娘の七綾姫で、影が7つに写るんです!
そしておのぶは、ネズミを見ると一瞬顔が狐に変わりました(猿之助さんが狐の口だけをつけて、面白かったですw) 
お七は実は七綾姫だとわかると、先ほど天竺徳兵衛みたいな六方で引っ込んだ良門が、七綾に子狐丸を渡します。

子狐丸を隠そうと袢纏と一緒に持ち去ろうとすると彦三郎が戻ってきました。
「袢纏を持ち去ってなんとする。針仕事をさせるのも悪い」と、袢纏を取り返そうとして、小狐丸が落ちました!

そこで、2人とも 地蔵堂でだんまりの時に会った七綾姫と、左大臣高明だということがわかるのです!

そこに飛び込んでくるおのぶ。
「小狐丸を私にください」と嘆願します!

そこからおのぶが語り始めるのですが「かーーーーーーーーんむ天皇の」(四ノ切だわw)
子狐丸を守護している狐だというお話です。 
「この刀を汝に得さするぞよ」(←源義経かっ!)
「なに!?その刀をワタクシにくだされんとな!?」 「いか~に~も~!」(←まるっきり四ノ切な展開w)

「かえすがえすも嬉しや~~な~~!!!」(場内拍手w 四ノ切パロディ面白いですw)
猿之助さんにとって四ノ切は御家の芸で、いわば得意中の得意ですから、このパロディも本家本元が演じているという面白さがありました(笑)

「それよそれ。(荒法師のことを告げるかと思いきや違ってまして)この家の亭主は姿を変えてはいるけれど、正体は四天王の卜部季武。良門様と七綾様にとっては朝敵。ご油断召されるな」

なんと!やっぱり亭主だと思った猿弥さんは卜部季武だったのですねー!

忠告をして去ってゆく小女郎狐なのですが・・・ここで宙乗りです!
小狐丸を手に入れて、嬉しそうなところは四ノ切と変わりません(笑) 
3階席で観ていても、夜の部は2回も宙乗りがあって、なんだかお得でしたよね~~♪猿之助さんはいっぱい客席を見てくれて、サービス精神いっぱいでした☆
3階で観ていた時、宙乗りが吸い込まれていくところが近くて私も「四代目~!」言いました(笑)
この宙乗りの終わりには雪が降るんです。四ノ切だと宙乗りの最後は桜の花びらなんですが、ここでは雪なんですよ音譜

※しかし彦三郎と祝言を挙げたおのぶなのに、『実は狐でした』ということで三角関係を離脱。。。
狐が芸者をしてしかも売れっ子だったとは、なかなか新しい展開ではござりませぬか?

小女郎狐の宙乗りが終わると・・・次に幕が開いた時には、なんと七綾姫(尾上右近さん)が戦闘態勢。
里見八犬伝のような出で立ちで、男(犬塚信乃系です)にしか見えない勇ましさ。 地雷也みたいな拵えでした。

廓の男だと思っていた市川猿四郎さんが実は白銀四郎晴俊という、卜部季武の配下の者だったんですって!取り囲まれて絶対絶命の七綾姫!

澤瀉屋一門の百戦錬磨の立ち回りの方々が七綾姫を囲んでいて、おお、ここから立ち回りが始まるのね!と。喜楽さん、喜美介さん、喜之助さん、郁次郎さん、喜猿さん、段一郎さん、 
この面子ですと自然に膨らむ期待なので御座いますビックリマーク

ちなみに竜雲は市川段一郎さんを先月まで存じあげなかったのですが、「獨道中五十三驛」で「おくら」という立ち回りの名手でないと演ずることができない女形のお役をお勤めだったので、それで認識できました。
今まで存じ上げませんでしたが、確かに立ち回りの時にいつも重要なポジションにいらしてますね。

立ち回りはひたすらかっこよくて!こんなの今まで観たことない目
喜美介さん&喜猿さん VS 七綾姫。 尾上右近さんは女形さんでいらっしゃるので、立ち回りは初めてされたんだとうかがいました。でも堂々とされたもので、立回っている姿はもう「男!」 
友達も「かっこいい~」と言っておりました音譜 

市川喜美介さん VS 七綾姫 

喜之助さんも活躍されてました。(竜雲の観劇メモが、サッカーの実況中継のようになっております。サッカーの実況って、ひたすらボールを持っている選手の名前を言ってるだけの時もあるでしょう?竜雲のメモも立ち回りだとそんな感じですw)

市川喜楽さんは長身なのにバック転はされるわ、トンボもバンバン返られるわ、ものすごい運動神経だなと思います。喜美介さんと一緒に、よくシンの方に絡んでいらっしゃいますよね。

ここにきて尾上右近さんの見せ場でして、「大詰まで出番ないなんて~」と嘆いていらっしゃったファンの皆様も、この立ち回りを見ればそんな御不満は吹っ飛んだのではないでしょうか?ウインク

ここで、小さな赤い梯子を持って来ての大立ち回りです!
そこで真ん中から登場したのが、良門=猿之助さんでしたビックリマーク場内、割れんばかりの拍手!!
妹の危機を助けに現れたのです!

全ての立ち回りが、とっても激しく美しく、竜雲も胸を熱くして感動しておりました!!
ただただ、凄い・・・目 千穐楽の日、客席からの拍手も、この立ち回りで最高潮に熱かったですね。

盛り上がってきたところでは御座いますが、立ち回りのレポ、後半に続きます!

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