「俊寛」見てきました | 油絵で歌舞伎! KABUKI OIL PAINTING

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絵師のはしくれ、西本竜雲のブログです。自分で描いた歌舞伎役者絵をこちらでご紹介させていただきます。ほぼ毎日歌舞伎関連のことを綴ってます♪★励ましのお便り、歌舞伎の役者絵(油絵)のご依頼等はryuun . kabuki . pictures@gmail . com まで♪←スペースなしで

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国立劇場にて、「高校生のための歌舞伎鑑賞教室」でした。

入場と同時にパンフレットを貰えてびっくり♪普段、筋書きはお金出して買うものという頭でいるものですから(笑)

前の方には中学生らしき制服の団体がいました。舞台が暗くなったらなんと「きゃーお化け屋敷みたい!」という歓声が上がっていました。この反応、とっても新鮮でしたw


導入には歌舞伎のみかたという解説があったのですが、歌舞伎見はじめてまだ2年生真っ最中の私には、舞台装置のこととか音楽や義太夫をやってらっしゃる方のこととか、案外知らない単語が多くて、意外に「ふむふむ」と勉強になりました。知らないことって多いものですね!

大太鼓を打っているところも、初めて見ました。あの音はこうやって出されていたのか、と新鮮でした。やはり私は2年生真っ最中ですよ~(^^)v

舞台装置が回るところ、一番前の中学生たちは立ち上がって見てました(^^)いいですよね、こういう素直な反応♪私は、いつの間にかこういう心に蓋をする訓練をされている大人かしらと…こういう心は忘れちゃいけないよ!と自分に思っちゃいました(笑)

「俊寛」

私は昨年はおもだか屋さんの舞台ばっかり見ていたんです。というか、二代目 市川亀治郎さん(現・四代目 市川猿之助さん)ばかり見ていました。見栄きりとか、女形の動き方とか、おもだか屋さんのをずっと見てきて、それが歌舞伎だと思ってきたのが昨年でした。

今年になって高麗屋さんとか成駒屋さんとか中村屋さんとか(松嶋屋さんは片岡愛之助さんだけ見ましたね)、他のお家の方が主役の舞台を見ることになって。それで思うのが、動き方とか、手の上げ方もお家によって違うのですね。教わったり見てきたりした型が違うから、微妙な角度とか手の形も違うということでしょうか!

私は絵を描くので、やっぱり手や腕が作る形が無意識に気になるみたいです。

俊寛の中村橋之助さんの腕の上げ方(その形)は、五月の紅葉狩の鬼で見た中村福助さんの上げ方の形(印象)と一緒だったんです!

私、最近は歌舞伎の画像検索が趣味のようになってまして(笑)成駒屋さんの代々の女形は素敵なので、これまたいっぱい写真を見ているわけであります。
中村児太郎さんの千鳥。時々、柱(小屋を支える棒)にすがりつくのですが、その袖が作る形が紛れもなく「成駒屋」!五代目も六代目も、中村歌右衛門さんの八重垣姫(十種香)で見られた形(印象)と同じ!きっとその形は代々変わらないんですよね。すごく綺麗な袖の形なんですよ。それを見た瞬間、ハッとして、なんだか嬉しいような気持ちになりました♪

袖の形の芸って…おもだか屋さんでは見たことなかったですね。演目によってあるのでしょうか??

俊寛、最後は可哀想ですね。僻地の島にたった独りぼっちになってしまう。

あらすじ簡単に書きます。

【あらすじ】
鬼界島に島流しになった俊寛と少将成経と判官康頼。3年の年月の間、3人は家族のように過ごしてきた。

紆余曲折あるが3人は赦免されて吉備へ戻れることになる。しかし島の海女である千鳥と恋をして夫婦の約束をした少将成経は別れ別れにならないといけない。

清盛からの使者と重盛からの使者が島に来ていたが、清盛からの使者は意地悪。俊寛が都に残してきた妻の東屋は清盛に言い寄られて抵抗して首を斬られたと話す。

俊寛は嘆き、都に戻っても何の楽しみもないと考える。自分の替わりに千鳥を船に乗せてやって欲しいと頼むが、意地悪な使者の瀬尾太郎は許そうとしない。俊寛と瀬尾は斬り合いになってしまう。

(千鳥はそれを止めようとするが、海女の道具?デッキブラシみたいなのを使ったり、アワビを投げたりとやんちゃで可愛い様子w)

とうとう俊寛は瀬尾を切ってしまう。俊寛の心情を汲んだ優しい使者の丹左衛門尉基康は、使者を斬った罪により俊寛を島に残す、と言い渡す。千鳥が代わりに乗船。

俊寛は独りぼっちで皆の船を見送る。
【あらすじ終わり】

俊寛は僧都なので、仏の道に帰依している人ではあるけれども、最後に3人を見送るところではやはり未練があり、また独りぼっちになってしまったことを嘆き悲しむんです… (←これは私が感じたことです。俊寛の心情の解釈は人それぞれでしょうね)俊寛が可哀想で少し泣きそうになりました。

少将を演じられたのは中村芝のぶさん。五月花形歌舞伎で拝見した役者さんでした。七代目 中村芝翫さんの門弟の方だそうです。

瀬尾役を演じられた方は三河屋の市川團蔵さん。パンフレットを見てびっくりしました。昭和26年生まれ!?そんなご年配の方とは見えませんでした。意地悪な瀬尾のことをパンフレットで「歌舞伎の役の中で一番憎たらしく嫌な人間」「悪人のまま。救いようがありません」とバッサリのコメントが面白かったです(笑)本当に瀬尾は嫌な人でした。俊寛の奥方さんの非業の最期を、いやーな言い方で伝えなくていいのにと思いましたよ。

中村橋之助さん、良かったですよ。最後に独りぼっちで島に残ってからが見せ場ですよね。
僧都なので、執着みたいなものは本来持っては来世の妨げになるはずなんですが、この俊寛は人間味溢れる人だと思いました。いつまでも船を見送り、「おーい!」と叫ぶ俊寛。都に帰るよすががなくなったわけで…なんだか本当に俗世間との別れのような、全てを捨ててしまったつらさ。まだ執着もあるからいっそう悲しい。あとは人間、孤独って耐えられないと思います。その嘆きだったと思いました。表情で、俊寛の気持ちは伝わりました。(その間セリフは『おーい!』のみ)中村橋之助さん、熱演でしたよ。

こういうヒロイズムを感じるストーリーは感動する人もいますよね。私は、俊寛の嘆きが分かったので可哀想だなと共感する気持ちのほうが強かったです。

惜しむらくは席があんまり良くなくて、前の人の頭で舞台の真ん中が3分の1ほど隠れて見えなかったこと(泣)舞台が隠れてるのって、芝居に入り込めませんよね、見るのに必死になってしまいます。オペラグラスに逃げたり、色々してました(笑)

お芝居は良かったです♪行って良かったと思いましたよ。

今日は成駒屋さんパワーをもらってリフレッシュしました、油絵がんばりま~す☆


★余談★

ネットで見つけた中村勘三郎さんの俊寛。
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やっぱり!!上げた手が違う。成駒屋さんともおもだか屋さんとも違う形。

やっぱり手の上げ方はお家によって違うものなんだと思いました。。

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