甲状腺癌がん(「人間生物」学期末レポート)

(注:読みやすいように 直訳でなく 説明も加えて、かみくだいて書いてあります。オリジナルの英文も最後に添付してありますので、英語で医者と話さなきゃ〜、という場合に お使いください。)

 

6. 治療を終えてから

 

さて、一連の治療が終わって

一段落ニコ

 

新しい生活の 始まりです。

 

もはや甲状腺がありませんのでえーん

前にも書きましたが

一生、甲状腺ホルモン剤

飲まなきゃいけません。

 

 

と言っても、一筋縄では いきません。

人それぞれ、

必要なホルモン量が 違うからです。

 

ホルモンの量が 安定するまで

ホルモンが多すぎて起こる

「甲状腺機能亢進症(こうじょうせんきのうこうしんしょう)」

の症状、あるいは少なすぎた場合の

「甲状腺機能低下症(こうじょうせんきのうていかしょう)」

の症状が 出てくるかもしれません。

(詳しくは第2章をご参照ください)

 

 

ひとたび ホルモン剤の量が決まっても、

例えば、体重が増えたり、

運動量が増えたりといった

 

体の変化や 生活パターンの変化など、

色々な要因によって 

必要ホルモン量が 

変わることもあります。

 

 

負のフィードバック機能で

甲状腺ホルモンを チェックしてくれていた

甲状腺がない今、(第1章参照)

 

今度は自分で しっかりと

体調や 精神の状態を 観察して

ホルモン量の調整を

しなきゃいけないのです。

 

 

といっても、もちろん、

ホルモン剤の量は

勝手に変えられませんよね。

 

だから、半年に一度の診察だけじゃなく、

 

もし、

体力の衰え、

食欲減退、

イライラしやすい、など、

 

ホルモンのバランスが 

悪い時に起こる症状に 気づいたら

お医者さんに連絡しましょう。

 

 

さらに、治療後は

歯の衛生に気をつけることも 大事です。

 

 

どんなにがんばって、

酸っぱいアメを舐めたところで

やはり、アイソトープ治療による

だ液腺へのダメージは 避けられません。

(んじゃ、舐める意味ないじゃん、

と思うかもしれません。

舐めない方がいいのではないか、

というレポートもありますが、

今のところは 

酸っぱいアメで だ液の生産を促すのが

主流みたいです)

 

アイソトープ治療後には、

残念ながら だ液腺は 

以前と同じだけの

だ液を作り出すことができず

 

食事をしたあとで

食べ物の 食べカスを洗い流してくれたり

口内の細菌を 殺したりという

だ液の 大切な機能が

弱まってしまいます。

 

だから毎日、お口のケアをするのを

怠らないようにしましょう!

 

 

でも「口内の殺菌のために」と、

リステリンなど、

アルコールの入った

マウスウォッシュを使うのは 

避けたほうが いいようです。

 

アルコールは 

だ液腺が 少なくなったことによって起きる

ドライマウスに 拍車をかけるばかりでなく、

アルコール入りの マウスウォッシュは

口腔がん(口のがん)を起こす可能性が

指摘されています。

 

殺菌力が 強すぎて

口内の いい細菌も 

殺してしまうのでしょうねショボーン

 

 

さて、治療を終えても

頭から離れないのは

再発の可能性ですね。

 

甲状腺がんのほとんどは、

進行が遅いため

甲状腺がんは 

「いいガン」と言われたりもします。

(「がん」にいいも悪いもあるか!と怒る人もいますが...)

 

でも、進行が遅いから 逆に

がん細胞の動きが 把握しにくいため

「Cancer Free - もうガンではないですよ。」

とか

「In Remission - がんの兆候は 全くありません」

宣告されることも ないので、

そう意味で なかなか安心できませんしょんぼり

 

 

実際、甲状腺がんは 再発することが多く、

「最初の治療から

10年、20年経過したあとで*」

再発することも あるそうです。

 

* The American Cancer Society medical and editorial content team, Last Revised: March 14, 2019 https://www.cancer.org/cancer/thyroid-cancer/after-treatment/follow-up.html

 

 

そう思えば、内分泌科で

定期的に診てもらうのって

大事ですね〜。

 

 

定期検査は、血液検査エコー検査のほか、

I-123という

別の 放射性ヨウ素を 少量使って

転移をみる検査などが あります。

 

放射性ヨウ素の検査では、

アイソトープ治療と同様、

ヨウ素制限をしなきゃいけませんぐすん

 

 

血液検査では、

1) TSHの量 (TSHの量は 抑えてあるはずなので

0.40mIU/L 以下であるべき)

 

2) サイログロブリン抗体の量

(サイログロブリンは 無いはずなので

その抗体も 検知できないか、1mIU/ml 以下)

 

3) サイログロブリンの量(0.1 ng/ml 以下)

(ngは ナノグラム、

1mgの 1/1000,000です。)

 

4) フリーT4 の値(0.8~1.8 ng/dL)

ときとしてフリーT3 の値(230~619 pg/dL)

(pgは ピコグラム、

1ngの 1/1000です。

血液中では、T3とT4とは違い

フリーT4やフリーT3があると

それは甲状腺のホルモンが

働いていることを示します)

(T3とT4については第1章参照

 

 

サイログロブリンの量は 

がんマーカーとして使えることもあります。

 

これは 手術前に

甲状腺がんの影響で

サイログロブリンの値が

高くなっていた人にのみ、適応できます。*


 

サイログロブリンが がんのマーカーとして

きちんと機能するかどうか 確認するためには

 

アイソトープ治療前のように

TSHの量を上昇させ

TSHの量が多くなっても 

サイログロブリンの量が増えないことを

チェックします。

 

TSHが増えて、

「ホルモン作れ〜」という指令を出しても

サイログロブリンを作る

甲状腺濾胞(ろほう)細胞がなければ

サイログロブリンは

増えないはずだからです。(第1章参照)

 

だから、逆にもし

サイログロブリンの量が 増えたら

『なんだ?甲状腺細胞、まだあるのか?

増えてるってことは、細胞が活発に増えてる!

もしや、がん再発かも?びっくり

ってことになるんですね。

 

このテストで結果が

「サイログロブリンに影響ナシ」

と出れば、

サイログロブリン=がんマーカー、ということで、

 

その場合、

I-123 放射性ヨウ素を使ったスキャンを

しなくてもよくなります爆  笑

 

********************************************

第6章はここまでです。

第7章は「もし再発したら...治療法➀」

です。

*. 2017 Feb 26; 8(1): 81–85.

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC5329716/

 

日本語版参考文献:神戸市立医療センター臨床検査技術部 

http://chuo.kcho.jp/original/clinicallabo/kentai/kouzyousen.html

 

音譜「甲状腺がん」が分かったら...

ひとりで考え込んでいないで、よかったらお話しませんか。Skype でもお電話でもチャットでも、お好きな方法でお話しましょう。お気軽にメッセージをお送りください。私は「甲状腺がん患者の会」で、先輩方とお話ができて、とてもありがたかったです。オンラインで「バーチャル甲状腺がん患者の会:日本語版」が持てたらな〜、なんて思います(^^)ドキドキ

 

6. Life After Treatment

 

As described earlier, life without thyroid means taking thyroid replacement hormone pills everyday for the rest of life.  It takes a while for the doctor to figure out the right dosage of the hormone you need, and the patient may feel hyper- or hypothyroidism in the meantime.  Even after finding the proper dosage, it is possible that the dosage needs to be changed again if there is change in your health or in life style, such as weight gain or increased amount of daily exercise.  Without thyroid, which monitors and regulates the amount of thyroid hormone, the patient needs to be the one monitoring \by paying attention to how she or he feels and helping regulate the hormone. In addition to seeing the doctor every six month, it is important for the patient to contact the doctor if she or he notices any change in energy level, appetite, moodiness, and other symptoms of hyper- or hypothyroidism. 

 

Another change in life after the treatment is the necessity to take good care of oral hygiene.  RAI damages the salivary glands no matter how diligent a patient is in sucking sour candies, and salivary glands no longer produce enough saliva to wash off food after eating nor to kill bacteria in the mouth effectively.  Taking care of oral hygiene will become essential for your daily life. 

 

Most thyroid cancer is slow growing, thus thyroid cancer is sometimes referred as “good cancer.”  However, the flipside of slow growth is that a patient is never “cancer free”, and cancer is never called “in remission”.  In fact, recurrence of cancer is common in thyroid cancer and it can come back even in “10 -20 years after initial treatment”.  Thus, the regular check up with the endocrinologist is crucial.  The check up includes blood test, ultrasound, and whole body scan (WBS) with low amount of radioactive iodine I-123 following another low-iodine diet.  Blood test will show 1) TSH level (suppressed TSH should be below 0.40 mlU/L, the lowest level with thyroid) 2) thyroglobulin antibodies (< or =1 IU/ml)  3)thyroglobulin (<0.1 ng/ml), and 4) free T4 (0.8-1.8 ng/dL) and sometimes free T3 (230-619 pg/d). 

 

Thyroglobulin can be used as cancer marker, and monitoring the level of thyroglobulin can take place of WBS.  Stimulated thyroglobulin testing may be performed by increasing TSH level either through withdrawing from hormone or through the use of rhTSH, to make sure thyroglobulin level is not raised even when TSH in the body is increased.  Negative result of this test helps confirm the use of thyroglobulin as cancer marker.