(5-18)告白シミュレーション
イメージをしてみた。 十数年目に彼女と会い、どんな風に話を進めたらよいのだろうか? 僕の素直な気持ちがどうしたら相手に伝わるのかを考えた。 この会話のシミュレーションは20時間以上要したが、未完成である。 |
| 僕の仮名の暑中見舞いのハガキを見て、すぐには気が付かなかった。 |
暫くして分かった。 これは僕からのメッセージだということ、ためらいながらも僕に会いたいという内容がハガキで連絡が あった。 すぐさま、彼女に電話をした。 そして1時間程度なら時間がとれる、一度だけなら会っても良いという約束を取り付けた。
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約束の場所に着いた。 以前プロポーズを受けてくれた中央通りにある東急インというビジネスホテルの1階の喫茶室だった。 照明を少し暗くして映画音楽のBGMが会話の邪魔にならない程度の高さで流れていた。 あまり客はいなかった。 約束の時刻より前に着いたのでうろ覚えではあるが、プロポーズした席に運よく座ることができた。 そして喫茶室の入り口を見つめていた。 内心、不安だった。 |
本当に今日現れるのか? 十数年も経っているので、お互い外見が変わってしまって分からないなのではないか? 僕の顔を忘れているのではないか? |
| 会っても僕への恨みだけを言って、すぐに帰ってしまうのではないか? |
この喫茶室は結婚の申し込みを受けた女性としての喜びを経験した場所ではあるが、同時に破局に向 かうスタート地点だった。 少なからず過去の悪夢を思い出させる場所でもある。 再開の場所として妥当だったのか? 交通の便もよく、あまり人混みが無く静かに話をしたい雰囲気の場所として僕が一方的に選んだが・・・。
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約束の時間ピッタリに入り口に彼女の姿が見えた。 少し体形や顔立ちはふっくらしたように見えたが、女性としての輝きは付き合っていたころと変わってい なかった。 むしろ年を重ねた分、より理知的な魅力は増していた。 すぐさま僕は席を立ち、微笑みながら右手を少し上げて合図をした。 直ぐに気がついたらしく僕のほうに向かってきた。 |
お互いの目が合った瞬間に十数年前にタイムスリップしたような気持ちになった。 席に着いた時には、注文したコーヒーが既に運ばれていた。 すぐに彼女の注文を聞いた。 プロポーズした時はコーヒーを飲んでいたが、今回も同じだった。 |
| 「お久しぶり、元気だった?」 |
| 以前のように微笑みながら尋ねた。 |
| 「ええ」と、彼女も少し緊張している様子で微笑みながら頷いた。 |
| 「今日はごめんね。突然呼び出したりして」 |
| 懐かしい目で僕を見つめながらも、今からどういう話があるのか少し怪訝そうな顔つきをしていた。 |
次回は(5-19)別れた理由です。お楽しみに