小説『甘くてべとべとする桃の夢』「白」 | まことアート・夢日記

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夢日記、メタ認知、俳句モドキ、詩、小説、音楽日記、ドローイング、デジタルペイント、コラージュ、写真など。2012.1.6.にブログをはじめる。統合失調症はもう20年ぐらい通院している。

小説『甘くてべとべとする桃の夢』「白」
徳村慎


「白」

サマヒナが僕の上で身をくねらせている。まるで踊っているようだ。
汗といやらしいヨダレで僕たちの身体は繋がっている。軽いサマヒナが大きく見えたり、小さく見えたりする。とにかく僕たちは繋がっているんだ。

雨音。サマヒナが雨に溶けていくような気分になる。僕も溶けたい。けれどもサマヒナだけが溶けてしまう。白い果肉の桃のようだ。口の中でとろける。

なぜ金髪碧眼の美少女が僕といるのだろう?
サムの両親は悪事を働きすぎた。そして僕の手によって毒殺されて孤児となったサムが僕の家族になったのだ。だから、本当は親子なのだ。けれども、恋人なのだ。

ああ、ハンバート。お前は僕よりも賢い。ローのことを巧みに操る。僕はと言えば、サミーに快楽を教えたから、求め合うけれど、今でも、サミーが何を好きなのか、全く分からない。。。僕はサムじゃないし、サムは僕じゃない。当たり前だけど、気持ちは分かり合えない。抱き合っている夜以外は。

僕の身体の上に倒れるサム。
激しい息をして、眠っている。仮死状態だ。性は死なのだ。僕はサミーの頭を撫でながら、まどろむ。
雨はずっと続いている。

甘い汗。甘い息。甘い香り。
何もかもが甘いと感じるこの瞬間。僕は梵我一如を体験したんだと思う。
それでも悟りは、すぐに見失ってしまう。
宇宙は遥か遠くになり、僕とサミーはただの男と女になる。ああ、愛している。全てを。
それでも、愛は崩れて消えてしまうのだろう。

ブッダよ、お前は、愛する妻を捨てた。
僕はサムを絶対に捨てないのだ。
捨てられるとしても。


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