小説『サブロウの冒険』2020.2.6.〜2.9. | まことアート・夢日記

まことアート・夢日記

まことアート・夢日記、こと徳村慎/とくまこのブログ日記。
夢日記、メタ認知、俳句モドキ、詩、小説、音楽日記、ドローイング、デジタルペイント、コラージュ、写真など。2012.1.6.にブログをはじめる。統合失調症はもう20年ぐらい通院している。

小説『サブロウの冒険』2020.2.6.〜2.9.
徳村慎


2020.2.6.
「ヤンキーとケンカ、そして地獄へ」


いつも通り図書館へ行く。
異次元世界の図書館だ。
本は全て別次元への扉となっている。

本の世界に入っていく。

パンダ「なぁ。今日は、つらい思いをしなきゃならないんだぞ。わかってるのか?」

サブロウ「ああ。わかってるよ。たまには、そんな夢も見るさ」

パンダ「そうだ。この世界は、お前が見た夢の世界に行ける図書館だった。そして、今は、本の中だ。ほら、教室だぞ」

ヤンキーがやってきて、僕を突き飛ばす。

サブロウ「なんなよ」

ヤンキー1「なんな、文句あるんか?」

ヤンキーは、また、僕を突き飛ばす。
僕は覚悟を決めて、頭突きをする。

ヤンキーは鼻血を出す。
殴りかかってくるヤンキー。
周りの男子は、面白そうに眺めている。

後ろから別のヤンキーが僕(サブロウ)の後頭部を殴って、僕は意識をうしなう。

保健室で目が覚めた。

パンダ「大丈夫か?
神の力を思い知らせてやろうぜ」

カバ「ダメだよ。これ以上、サブロウにケンカさせるなよ」

保健室から教室まで行く。
ナイフを手に持って。

ヤンキー1の腹を刺す。
ヤンキー2の首を切る。

血まみれになって、教室を出て、海へと向かう。

パンダ「やったな。それでこそ男だ」

カバ「ダメだよ。自首しなよ」

僕(サブロウ)は、高校生だ。それでいて大人だ。高校生で大人が罪をかぶるとどうなるんだろう?
少年院だろうか?
それとも刑務所だろうか?
この世界は、狂ってるから、精神病院みたいなところに入れられるのかもしれない。

それとも、肉を骨ごとくだいてブタのエサにしてしまうのか。動物園のライオンやワニのエサになるのか。

パンダ「その通りだ。罪と罰だ。むくいは受けなくてはならない」

僕の死体は骨となり、骨はくだかれて魚のエサにされた。つまり海に捨てられたのだ。

海で僕の死体を見たという話が高校で広まった。
僕を好きだった女子が見たらしい。

ああ、だけど。
その女子も今じゃ大人になって、たぶん結婚してるのだ。僕は魚の体の一部になった。無数の魚の体になった。僕は分裂したのだ。どんどん意識はうすらいでいく。100匹の魚に食べられて魚の体になったら、100分の1の意識しかないのだ。

パンダ「おい、起きろ。ここは、地獄だ」

ぐつぐつ煮えたぎる鍋の中に僕は入っている。
肉が溶け出した。骨の体で火の川を渡ると、骨が焼けて灰になった。

魂はまた肉体を形づくり、鍋に入れられる。

造形か。
僕は粘土で神仏の姿を作る。
女神のような仏さまが良い。

胸のある観音像のようなもの。
粘土で作り上げる。

あるいはパンダやカバを作る。

そしてサブロウの体も作る。

僕がサブロウなのか、僕がサブロウを作っているのか。

悪人だから仏に救われるんじゃなかったのか。

違う。
僕がサブロウを作るから仏であって。
サブロウは僕だから悪人であって。
悪人として生まれてきたのは前世の因縁(いんねん)であって。

地獄だと思った世界は、実は極楽のような世界でもあるのだと。
夢と現実は、あってないようなものなのだと。

パンダが教えてくれた気がする。
カバが教えてくれた気がする。

じゃあ、生きててもしょうがないじゃないか。

パンダ「そうだ。生きててもしょうがない。けれど自分なりに懸命(けんめい)に生きることが大事だよ」

カバ「お前はサブロウか。サブロウではないのか。この世界のサブロウは前世の因縁(いんねん)ゆえの存在だ。だから、なにも恐れることはない。なるようになる。生きてゆけるさ」

サブロウ「僕に肉体が出来た。炎で出来た肉体だ」

パンダ「喜ぶな。炎は水で消される存在だ」

サブロウ「じゃあ、水になろう」

カバ「水は炎で消される存在だ。見ろ水蒸気となって消えてゆく」

サブロウ「肉体を持たない人間ほど強いものはないなぁ」

パンダ「そんな人間は、いない。
悟(さと)りを得(え)ても、すぐに悟りなんてものは消える。そうだ。お前は悟ったつもりでいるが、何も無いというのがわかれば、ただ、虚(むな)しくなるのではいけない。無いことを抱えて、有る人生を生きるだけだ」

カバ「結局、生きるんじゃないんだな。死ぬことだ」

サブロウ「いや、死なないことか?」

パンダ「感謝しろ。ヤンキーたちにいじめられたから、ここまで来れたのだ」

カバ「お前の痛みは、美しく結晶化するのさ」

サブロウ「美だ」

パンダ「古典的な美だよ」

カバ「違うね。全ては美しいのさ。醜(みにく)い争(あらそ)いも、醜い虫も、醜い社会も。みんなみんな、美しいのだよ」

2020.2.7.
サブロウ「そっか。全ては美しいものなのか」

醜いものでさえ美になる。
これは、とても面白いことだ。

2020.2.9.
本の世界(夢の世界でもある)から、元の世界に戻った。

キキキのキ。パンダとカバが鳴いている。

「ヤンキーとケンカ、そし地獄へ」(おわり)


最後まで、読んでいただきまして、、、
ありがとうございます😊