小説『オレ、トマト』8 | まことアート・夢日記

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夢日記、メタ認知、俳句モドキ、詩、小説、音楽日記、ドローイング、デジタルペイント、コラージュ、写真など。2012.1.6.にブログをはじめる。統合失調症はもう20年ぐらい通院している。

小説『オレ、トマト』8
徳村慎


オレたちは舟に乗って川を下っている。

ネギが言った。
「僕らは本当に氷の美少女を助けられるのかなぁ?」

トマトが言う。
「と、いうと?」

ネギが言う。
「どうせ助けらんないぜ。お前は、それで傷つくだけだ」

トマトが言う。
「最善を尽くすさ」

ネギが言う。
「氷の美少女だって助けられると迷惑かも知れないじゃないか」

トマトが言う。
「溶けた方がマシだってか?」

ネギが言う。
「そうさ。こんな恐ろしい世の中を見せなきゃならないと思うと、なぁ」

トマトが言う。
「出会ったトラトラ猫は親切だったじゃないか」

ネギが言う。
「わっかんねぇぜ?
僕らをワザと舟に乗せて沈めるつもりだったんじゃないかな?
だってこれボロ舟だからさぁ」

トマトが言う。
「お前……
無駄に疑い深いんだな」

ネギが言う。
「無駄にとは、なんだ?
無駄にとは?」

トマトが言う。
「もういい……これ以上話すとバカがうつる」

ネギが言う。
「バカってなんだよ?
オイッ。聞けって!
もしもーし!」

秋刀魚が言う。
「ネギ。お前はバカだ。あきらめろ。確実にバカだから仕方がない。
バカってのはなぁ。なんにも悩みが無いのに悩んだりすることなんだ」

ネギが言う。
「じゃあ、もう、いいよ!
舟から降りて自殺してやる!」

秋刀魚が言う。
「誰も悲しまないぜ?」

ネギが言う。
「いーんだよ!
じゃあな!」

ドッボーン!

ネギは川に沈んでいった。



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