1.『告白』
映画版で観てたけど、小説の方が良かった。映画は映画で面白かったけど、小説を読むと映画を超えていると思える。
結局は、
復讐とは、2人のマザコンに母を殺させることだったんだ。
この復讐はなかなか考えつかない方法だ。
自分の最も大事な人を殺されることを経験させる。
それは女教師が我が子を殺された復讐。
とにかく面白かった。読み手をぐいぐい引っ張っていく感じ。
学園ドラマでもあるし。大人の考えも入っているし。これは深いねぇ。
今、大切な人を失ったら、僕はガックリくるだろうなぁ。全てが灰色の世界に見えるだろうなぁ。それが自分の過失で失ったのなら、どう思うだろう?
やはり生きるのが嫌になるんじゃないのか?
2.読書の効力。
しかし、読書はパワーを生む。
どうなるんだろう?
という連続で読み終えるまで、パワーを与え続ける。
殺人事件の話が逆に、自分を生かしてくれるようなパワー。
こういう話が生きる希望を与えたりする不思議がある。
3.マザコン
さて、マザコンとはなんなのか?
ということが頭に残ってしまう。
母親の影響下で育ち、そこから自立しない男性、ということか。
うーむ。僕もそれは多少はあるような気がするぞ。
『告白』の中では、過保護な母親(学校へのクレーマー)を持つ中学生男子と、母親が立派(電子工学で大学の准教授)なのだと信じきる中学生男子がいるのだ。
日本人の家族は個人に分けられないと、心理学者の河合隼雄が分析していたらしい。共依存というのか。自分の意思みたいなものが無くても日本では生きていけるし、その方が都合が良いことが多いのだろう。海外では個人というのが確立しているから、そのぶん厳しいのかも知れない。
4.本と時代
父や母の勧めてくれた本(般若心経、論語)を読んでいた頃から僕は変わってないようにも思う。
もちろん変わってる部分はあるだろうけど、根本は変わってないのだろう。
それでも、時代は進んでいく。
いつか、僕の読む本や、聴く音楽が古くなる時もあるのだろう。
そうなった時に、この『告白』は、どうなっているんだろう?
名作として生き続けているのかも知れないし、違うのかも知れない。
それでも時々は読み返していると思える本だ。
徳村慎
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