感想『蜘蛛男』 | まことアート・夢日記

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まことアート・夢日記、こと徳村慎/とくまこのブログ日記。
夢日記、メタ認知、俳句モドキ、詩、小説、音楽日記、ドローイング、デジタルペイント、コラージュ、写真など。2012.1.6.にブログをはじめる。統合失調症はもう20年ぐらい通院している。




感想
江戸川乱歩『蜘蛛男』


気持ち悪さが美しい。江戸川乱歩の美である。蜘蛛男は己の美を貫く為に殺人を犯す。バラバラ死体に石膏を薄く掛けて石膏像に仕立て上げた物。水族館の水槽に死体を入れて人魚に仕立て上げた物。最後は遊園地に地獄絵図の立体を本物の死体で作ろうとする。

余りにも桁外れな殺人魔を描き切った江戸川乱歩は天才だと思う。現実と隣り合わせなのに発想を何処迄も拡げて小説を描く。此れは素晴らしい。場面の転換も速くて読者の気持ちを途切れさせない。

明智小五郎が解決した事件とも言えるが、彼は後手に回る様な所も有る。果たして名探偵だろうか、共思うのだが、人間にミスは付き物と考えれば、其れもリアルか。

僕は、どちらかというと蜘蛛男に憧れてしまう部分も有る。蜘蛛男の夢は犯罪だから憧れてはいけない。しかし、其の巨大な力で夢を実現しようとする行動力には参った。最後に死んでしまう所も何故か蜘蛛男らしくて良い。蜘蛛男の芸術は万人の理解を超えて居る。超えて居るからこそ気持ち悪くも美しい。まあ、小説だからこその味わいだ。現実に起きた事件ならば僕は目と耳を背けるに違い無い。

徳村慎







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