西岡レスリングジム。今時これは無いだろ、という汚いレタリングの看板を見つけた。ペンキを塗っている壮年の男の人に声を掛ける。
「手作りですか」
「ああ、見りゃ分かんだろ。俺のレスリングジムだからよ」
「プロレスですか」
「まあ、地方公演やってるんだけどな。目指すはテッペンよ。夢はデッカイ方が良いってね…ハア。いててて。腰が痛っ。イタタタッ」
「大丈夫ですか?」
「こりゃ、ちょっと休むかな。イタタッ」
「…あの」
「イタタッ」
「…あの」
「何だよ。イタタタタッ」
「…看板手伝いましょうか?」
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