『ネコロビ』189少年ネコロビと雪男のゴンは嵐の雨と風の中、岩のひさしから外へ出ました。ざああ、と雨を浴びてしまいます。また体が震えてきました。風が体に叩きつけて寒くて手が、かじかんできます。チャポチャポ。歩くたびに靴が音を鳴らします。靴の中にまで水がたまっているのです。「なあ、ゴン兄ちゃん、ここはイチかバチか、下流へすぐに行けるルートを使おれ」「だめズラ。ショートカットは谷へ降りなきゃならないから、増水した川の近くを歩くことになるのは危ないでな」