『ネコロビ』136「ネコロビ。草の向こうに出口があるズラ」「あれが出口か」草をかき分けて進もうとしますが、草の平原はどこまでも広くなり、出口の光が遠くへと逃げていきます。夜が明けました。いきなり昼間のような青空です。ケータイ電話から、音楽が聞こえます。トキトカコカチキ。トキトカコカチキ。木琴のような、FMシンセのベルのような、それでいて、人間の声のような音楽が流れています。 「ゴン兄ちゃん。出口がどっかへ行ってしもた。妖精の美咲さんみたいに出口が飛んでいった」