文化祭。体育館に、生徒も保護者も先生も詰めかける。
幕を上げる桜。舞台のソデに居るのだ。遠くからライトが当たる。泉と杏がライトを操作しているはずだ。「レディス、アンド、ジェントルマン!ようこそ有馬中学校文化祭へ。軽音楽同好会の奏でる音楽を最後まで楽しんでいって下さい。ドッツ。」最後にバスドラムとハイハットの音を入れる、陸。
「ドッドッタッ。ドッエアエアDJキュピJ」
エレキ化ウクレレの音が入る。なるほど。音を下げた方がヒューマンビートボックスによくなじむ。
桜はソデから控え室へと降りる。アサミー・メイデンのメンバーが待っている。ドラムは2台、既に舞台に上げてある。アサミがギターで最終チェックしている。
「アサミ。頑張れや」と桜。
「うん。まかしといて」とアサミ。軽くこぶしをつき合わす。
舞台から聞こえてくる音楽。さすがに陸のヒューマンビートボックスはカッコいい。AFRAを尊敬しているだけの事はある。その上に翔のウクレレが重なって、面白いバンドになったと思う。サンプラーみたいなヒューマンビートボックスは泉も、最近うらやましがっている。でも、負けんで。泉はそう言って笑っていた。
ドラムの奈々がスティックを持ってストレッチをしている。手を交差させたり、スティックを持ったまま、ぐるぐるとやっている。
「ありがとうございましたー」舞台から翔と陸が帰ってくる。
陸は素早く泉と交代してライトを使う。泉が控え室にやって来る。アサミー・メイデンの奏でるメタルが心臓を踊らせる。翔も杏と交代しに行った。2曲目で杏は控え室に来る。
「次は桜ちゃんと泉ちゃんやね。しっかりね」と杏。
「分かっとるよ。頑張るからね」と桜。
「テクノ・アッシャーの大舞台、頑張るぞー」と泉が手をつき出す。
桜が「おー」と手を重ねた。