次の日の放課後の音楽室。『禁じられた遊び』(愛のロマンス)のTAB譜を貸してもらった桜が杏に尋ねている。「ねぇ杏ちゃん。イオニアンとかのスケールって、どうやって覚えた?」と桜。
「ああ、モードね。アレは私は井戸降りMIXエロって覚えた」と杏。
「ミックス・エロ?何(なん)かヒワイやで」
「でもね、コレが多分一番覚えやすいんよ」
「杏ちゃんエロいんやー。プフッ」と泉が吹き出す。
「えーと、井戸降り…?何(なん)って?」と笑いながら桜。
「井戸降りMIXエロ。もー。何回も言わせんなや。恥ずかしいやん」
「で、どういう風に対応したァるん?」
「イオニアン、ドリアン、フリジアン、リディアン、ミクソリディアン、エオリアン、ロクリアンの頭を取っただけなんやで」
「それがドレミファソラシド、レミファソラシドレ、ミファソラシドレミ…という風になっとるんやよね」
「うん。モードっていうんやよ。CイオニアンはCメジャーで、AエオリアンはAマイナー。それ以外にもちゃんと名前が付いとるって事やね」
「やっぱソロが変わる?」
「意識して変える感じかな。ドとかラで終わるのって多いけど、他の音で終わりたい時の感じっていうか」
「ふうん」
大西先生が入ってきて報告する。「記念通りのフリースペースでライブやるって決まったぞ。」
「何?何ソレ?」と杏。
「だから、ストリートライブの許可取ろうと思って、色々と探した結果、記念通りの商店街をもっと活用して欲しいって商工会から頼まれてな。熊野大花火大会の午前中から昼頃まで演奏しょうか。夕方からは人が花火見るのに海岸へ行くから」
「おおお。スゲー。ライブデビューだ」と桜。
「良かったね桜ちゃん」とニコニコしながら泉が言う。
「ところで、機材は車で運ぶん?」とアサミ。
「いや…ドラム以外は歩きで運ぼうと思いやるけど」
「私のCUBE STREETも運んでよ!他の人のアンプと違ってデカいし。マイクスタンドもあるんやで」
大西先生が「しゃーないなー。じゃあ運べん機材だけ運んだるわ」と言ったので話はまとまった。