また昼休みに体育館裏で、桜と奈々が会っている。
「泉ちゃんも頑張りやるんやけどねー。やっぱ経験値が奈々とは違ってさ。まだリズムが甘いんよね。やっぱ奈々のドラムはすごいよ」
「じゃあ、アサミー・メイデンに戻ってきてくれる?」
「色々考えたんやけど、泉ちゃんを何(なん)とか奈々みたいなドラマーというか、リズムが出来る子に育てたいんよね」
「私ら中1からずっと音楽やりやるやんか。泉ちゃんも、ずっと続ける気があるんかな?だってカオシレーターって楽器はギターやドラムに比べて完成されてないと思うわ」
「うーん。確かに。でも歴史の無い楽器だからこそ出来る事もあるかもね」
「でも、きっと飽きるで」
「そうかなァ?泉ちゃんは、泉ちゃんなりに面白い音楽を作れとると思うけどなァ」
「私のドラムみたいに?」
「そりゃ、奈々のドラムとは別物やよ。でも、あの楽器は一応、シンセサイザーやからね。なんちゃってブルースとかはデジタルっぽさが良かったけど」
「どうせ桜ちゃんの事やから、カチカチの3連で、揺れないリズムにしたんやろ?」
「へへ…。バレたか。今は、リズムをカッチリ正確に刻める練習をせなアカンと思ってさ」
「それが、デジタルっぽくてテクノっぽい訳やね」
「うん。ところで、ドラムを上手く教える方法ってない?」
「じゃあ…しゃあないなァ。私のドラムのノート貸したろか?」
「助かる、助かる。やっぱ奈々やねー」