「じゃあ、みんなで、3連符の練習から。まずアンタ…翔君はジャカジャ、ジャカジャ。の3連。頭は大きい音で出して。2拍3連ね。泉ちゃんは、ツッツ、タッツ。ツッツ、タッツ。3連符の真ん中が休符のハネたリズムで」と桜が教える。
「桜先輩。下の名前で呼んでくれるんスか?」と翔。
「じゃあ、私も翔君って呼ぼうかな?」と泉が、どさくさにまぎれて言う。
翔がにこやかに言う。「いいですよ。下の名前の方が親しげで。何(なん)かヤル気が出ますもん」
「2人とも、さっさとやるっ!」怒る桜は眉間にしわを寄せている。
「ハイ」と同時に答える泉と翔。
桜がエレキ・ギターで、基本のリズムをキープする。ズクズ、ジャクズ。ズクズ、ジャクズ。
翔もウクレレで何とか、ついていくが、リズムの頭に大きい音が鳴らない。必死で額に汗をかいている。
泉はカオシレーターのドラム音色でハネたリズム、ツッツ、ピッツ。ツッツ、ピッツ。を練習して、かなり上手くなってきた。カオシレーターだと強弱は関係ないからか、ようやくリズムが出来てきた。
「じゃあ、翔。アンタはA、D、E、Dの順で弾いてみて。リズムはジャッカ、ジャッカ。で。あ、泉はそのまま。リズムをキープして」と桜。
翔が「えー、急に言われても。っていうか、もう呼び捨てにしてくれるんスか?」
「貸してみ。コレ、弦張り替えて、パーフェクト4thにしたァるんやね」桜がウクレレを手に取って、音を確かめる。
「奈々先輩が、桜先輩のチューニングはコレだって」と翔。
「3弦コードだと、こうだよ」と桜が教える。
「成る程ー。それだと形が同じで簡単ですね。」
「じゃあ、行くよ」桜がリードギターで入る。ブルースはメジャーのコードの上にブルーススケールのメロディを入れる。フラット(♭)する音は、ブルースを意識して1/4音(半音のさらに半分)程度チョーキングして音を上げている。
「いいね。この、なんちゃってブルース」と桜が自分でホメる。
「うん。面白い」と泉。
「コードとメロが不思議に合ってるんスね」と翔が感心しているのだった。
**カバパンダはウクレレの弦を入れ替えて、パーフェクト4thが出来るチューニングにしてます。(わざわざ弦を止める所をカッターで削って、弦を入れ替えた。)
パーフェクト4thは全部の弦を低い方から4度ずつ高くしてあるチューニングです。太い弦からC、F、B♭、E♭です。ウクレレの種類は一番スタンダードなソプラノウクレレです。
**ブルースのリズムは3連符のカッチリしたものじゃなく本物は揺れがあります。