ルジツカの《ツェラン交響曲》、《ヘルダーリン交響曲》に続く《ベンヤミン交響曲》。前作同様、オペラ《ベンヤミン》(2018)から抜粋の交響曲。

 7つの楽章の間に3つの間奏曲がはいる。39分弱。

 オペラの筋はゲシュタポを逃れてピレネー山中で自殺する前のヴァルター・ベンヤミンが過去の人間関係を回想するといったもののようだ。無調的な歌謡と同期的な管弦楽が交錯する練熟の書法はB. A. ツィンマーマンあたりを連想するとはいえ、実に耳に心地よくはいってくる。

 フィルアップは《エレジー》(2014)。これはヴァグナーが誌の前日に書いた旋律というものを引用しているらしい。