ヴァインベルグのチェロ協奏曲はカタログでは1948年作曲となっているが、1957年にロストロポーヴィチとサモスード指揮モスクワ交響楽団(たぶんモスクワ・フィルのこと)によって初演されているとこのディスクのブックレットにはある。
 他方、ロストロの死後にリリースされたEMIの録音はロジェヴェンの指揮の1964年録音で、これが世界初演とあるが、おそらく間違い。こちらのブックレットにはこの録音は一度海賊版で出回って、ロストロが訴訟を起こしたということだ。

 さて、その後、このチェロ協奏曲op.43は、グンナルソン(Chandos)、フリチョフ(Northern Flowers)、アルトシュテット(Channel Classics)が録音しており、ここにウォルフィッシュが加わった。私にはハンガリー民謡のように聞こえるゆっくりとした歌で始まり、タンゴのようなリズムにユダヤ的な主題が歌われる第2楽章、やはりユダヤ的なスケルツォと諧謔味を帯びた終曲の最後に第1楽章の主題が再帰するアトラクティヴな音楽である。
 問題はチェロ・コンチェルティーノop.43bisが併録されていること。これは最近発見されて2017年に初演された、チェロ協奏曲の初稿。すでにタラソヴァ盤が出ている。コンチェルティーノが書かれた1948年はロシアでは反ユダヤ主義が吹き荒れており、彼の義父のミホエリスが謎の死を遂げるという事件が起きている。どうやらチェロと弦楽のためのコンチェルティーノとして書かれた音楽はそのまま引き出しにしまわれており、1956年に、弦楽から管弦楽に拡大するとともに、楽想も書き伸ばし協奏曲としたもののようである。EMIのロストロ盤では1948年作曲、1956年改訂と書かれている。

 コンチェルティーノは演奏時間にしておよそ半分。第3楽章までしかない。主題は同じで、協奏曲ほどゴチャゴチャと長広舌せずに、江戸っ子は気が短いんでえみたいな展開が面白い。第3楽章はスケルツォのあと、カデンツァとなり冒頭主題に回帰していく。

 両曲の間にチェロと管弦楽のための幻想曲(1954)ゆっくりとした音楽の間に粗野なワルツが挿入された三部形式。