シューマンの交響曲全集もいろいろ聴いたけれど、古いものでとりわけ印象に残っているのは、バレンボイム/シカゴ響。若さ溢れる才気煥発のシューマンだった。バレンボイムは2003年にシュターツカペレ・ベルリンと再録しているけれど、そっちはどちらかといえばフルトヴェングラーに私淑したバレンボイムの特性が強いが、それが煮え切っていない感じの演奏だった。

 3つ目のこの録音はしかしよかった。シカゴ響との演奏をアップグレードしたような。テンポも20年前よりちょっと速いくらい。緩急のテンポの揺らしが大きいのに流れが澱みない。細部のちょっとした煽りがまた心憎い。