実に興味深い3枚組が出た。

 ベルント・アロイス・ツィンマーマンは過去の音楽をしばしば引用し、過去・現在・未来が同時に存在する球形の時間を提唱したわけだが、過去の音楽の編曲を多く手掛けていたのだ。それがここに明らかになる。ホリガー指揮WDR交響楽団の手によって。

 まず1枚目の冒頭はブラジル奇想曲《アラゴアナ》(1951-55)。これ、Wergoで初めて録音が出たとき、ツィンマーマンがブラジル風音楽と非常に意外だったが、そのあと南米がらみの音楽──ヴィラ−ロボス、ミヨー、カセッラなど──の編曲が続くとなるほど思い入れがあったのだなと思う。ツィンマーマンのオリジナルは、《ボレロ・モデラート》(《エクステンポラーレ》より、1943)《アン・プティ・リアン》と《ライン教会開基祭舞曲》。

 2枚目はムソルグスキイ、リスト、ラフマニノフの編曲。ロマン派編というところか。ツィンマーマンのオリジナルは、《コントラステ》、《間奏曲(悲しきワルツ)》、《ピアノ小協奏曲(ラフマニノフによる)》、《管弦楽のための協奏曲(第3版)》。どれも知らない曲。

 3枚目は室内楽編成の編曲が多く、原曲作曲者は、ブゾーニ、スメタナ、ドヴォルジャーク、シリル・スコット。さらにヴァルター・ニーマン、パウル・ハレツキ、エドムント・ニック、この辺は初めて聞く名前。ツィンマーマンのオリジナルは《一楽章の交響曲》、《古代バレエの思い出》《静寂と反転》。

 珍しいものばかりだが、面白い。