ChiaroscuroChiaroscuro
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 ペルト、バルトーク、ハイドン、武満を入れた『Landscape』、シューマンとメンデルスゾーン、それからライマンを組み合わせた『Intermezzo』に続く三部作の最後だそうだ。
 エリック、ケン、マルクのシューマン兄弟にヴィオラのリーザ・ランダルを加えたシューマン四重奏団、検索するとシューマンの弦楽四重奏曲のCDが出てきてしまって困る四重奏団だが、第三作は『キアロスクーロ』。キアロスクーロ四重奏団があるのを当然知ってのことであろうな。

 モーツァルトがバッハの平均律から5曲選んで編曲した5つのフーガの次にどういう関連があるかわからない5曲を並べたもの。バッハ/モーツァルトのフーガを導きに様々な曲が導入されるという印象。
 2曲目はメンデルスゾーンの4つの小品としてまとめられているフーガ。バッハ/モーツァルトと同じようでいて、メンデルスゾーンの体臭が、そのベートーヴェン後期体験を濃厚に伴って染み出してくる。
 4曲目はグラスの《カンパニー》、つまり弦楽四重奏曲第2番。とても構築的に聞こえる演奏だ。
 6曲目がショスタコーヴィチの弦楽四重奏のための2つの小品。《マクベス夫人》のアリアの変奏と《ボルト》の〈ポルカ〉の編曲。ショスタコのヤヌスぶりを端的に示す。
 第8曲はヴェーベルンの《6つのバガテレ》。これが美しい。この十二音の音楽からよくもまあこれほど音楽的実質を弾き出したものだという演奏。
 10曲目にして演奏時間的にメインとなっているのがヤナーチェクの弦楽四重奏曲第2番《内緒の手紙》。これも名演。ベルチャの新盤にちょっとがっかりしたばかりなので、この表現の濃さにほっとする。
 アンコール的に奏されるのは、ガーシュインの《子守歌》。

 さて、どういう関連でこれらの曲が並べられたのか、理屈はわからない。が、聴いていると何だか必然が感じられてくる。
 キアロスクーロは明暗の対比で立体を表現するといった意味だが、同属楽器の合奏である弦楽四重奏はまさにキアロスクーロを駆使するメディアなのであろう。