マルコー×ノックスSS冒頭部のみ『死神』 | 更新情報&雑記

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「華氏101度3分・・か。大したことねーな」

平熱から2度ほど上がった程度の、いわば微熱だ。
そう呟くと、ノックスは体温計を振って目盛りの水銀を下げ、皮袋のケースにした。

「医者の不養生ってヤツですか? 勘弁してくださいよ、マルコー先生に倒れられたら、監察医の俺まで、軍医の真似事をするはめになっちまうんだから」

「ああ、それは・・すまないね」

弱々しく笑うマルコーの眼が、どこかうつろで濁っていたのは、窓のないテントの薄暗さだけが原因ではないだろう。
ノックスは本能的にその表情に嫌悪を覚えていた。ああいう眼をしているヤツは、治ろうという意思というか、覇気がねぇ。

「お疲れでしたら、今度休暇をとって、少し家族に逢っていらしたら、どうです? ちったぁ気が紛れますよ」

「私は・・1人暮らしなんだ」

「あ、そう・・ですか。それは」

だから、か・・と、ノックスは妙な納得をする。
俺だったら、家族のためには死ねないと思うだろう。せめて一目逢うまでは、なんとしてでも生き延びようと必死になるはずだ。家族・・だけじゃない。誰か、守りたいと思うヤツがいれば、そう考えるのが男というものだ。
たとえその相手が、十分に己のみを守れる・・どころか、自分よりも遥かに力があったとしても。

ノックスは、一瞬思い浮かべてしまった青年の顔を振り払おうと、軽く頭を振った。肩がこわばっていたのか、その弾みで小さく首の骨が鳴る。

「ともかく・・たいしたことないみたいなので、あとは適当に解熱剤でも飲んで、ぐっすり寝たら治ります」

早くこの場から逃れたい、と思っていた。
死に行こうとする者からにじみ出る濁った空気は、実際に死体から溢れ出る腐臭よりも強烈に、こちらの心身を腐食させていくような気がする。正直、反吐が出そうだった。

相手が年長者で、しかもいわば戦友というか同業者というか・・そういう立場でなければ、とうにさじを投げて「死にたきゃあ、勝手に死ね。自決のための薬は支給されてるだろうが」と吐き捨てていただったろう。
平時ならともかく、こんな非常時に、しかもこんな前線での野営では、生きる気力を失ったものまで手厚く介護する余裕などは、誰も持ってはいない。

マルコーが横たわる、鉄パイプの簡易ベッドに背を向けて、帰り仕度をしているノックスの薄汚れた白衣の肘に、何かが触れた。

「・・?」

つづく


【註】えーっと、マルコーの方が年長者・・という某友人の発案を取り入れてみたら、ノックス喋りにくい、喋りにくい・・(爆笑)。
敬語とことん似合わないオッサンだねークソガキ相手にタメ口叩いてるのがお似合いですよ。

さぁ、いよいよ、いきますよ・・躍る準備をしておきなさい>私信。

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え? ホワイトデーネタ? うーん・・インキンネタとコラボしてもいいなら、明日あたりサクッとSS書くけど(幹事に大反対されそうだな)。