人を癒すのは人である ~ 「吃音センセイ」を読んで | 精神科医・樺沢紫苑の脳内情報館

人を癒すのは人である ~ 「吃音センセイ」を読んで


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人を癒すのは人である。私が最近よく使う言葉です。癒し、癒される方法はいろいろありますが、最終的に人と人とのつながり、コミュニケーションからの「癒し」が大切だと思います。

最近読んだ小説「吃音センセイ -桜舞う校庭で」(佐藤文昭著、講談社) は、正にそういう本でした。吃音に悩む少女・京子。強烈なコンプレックスとイジメに苦しみながら、同級生の少年や美術部の顧問との出会い関わりを通して、「自己否定」から「自己承認」へと変化していきます。

そのキッカケとなる言葉が、顧問の教師が言う「(吃音は)病気やない。個性や」という言葉。コンプレックスは、欠点ではなく、個性である・・・と。究極の「人間承認」とも言える、この言葉はグサリと刺さりました。

吃音に限らず、何か強いコンプレックスを持っている人は、この本からそれを乗り越える「ヒント」と「勇気」をもらえるでしょう。