花火の心理学 なぜ花火は感動するのか? その1
「神奈川新聞花火大会」に行ってきました。天気か少し曇りぎみで、見づらい部分もありましたが、楽しませていただきま
海上での打ち上げということで、川や内陸では打ち上げにくい二尺玉という巨大な花火が、たくさん上がることで有名な花火大会です。感動しました。それにしても、「花火」というのは、なぜ感動するのでしょうか?
美しいから。そして、その美しさが一瞬で消え去ってしまうから。それも一つの理由です。しかし、「花火はすごく美しい」といっても、テレビで花火の中継を見てもほとんど感動しないと思います。「世界遺産」や美しい自然を紹介する番組をテレビを見ても結構感動しますから、「美しさ」が花火の主たる魅力であるのなら、花火をテレビで見てもそれなりに感動するはずです。
私は花火の魅力の中で、「音」と「振動」が非常に重要だと思います。テレビで花火を見ても臨場感が全くありませんが、それは「音」と「振動」が伝わらないから。特に「振動」です。「ドーン」という「音」とともに全身に伝わってくる「振動」。これが花火の醍醐味ではないでしょうか。その証拠にというか、打ち上げ地点から遠いところで花火を見ても、感動は小さくなります。それは「花火が小さく見えるから」ではなく、「振動」が伝わらないからだと思います。
私は、「映画は絶対に劇場で観る派」で、家で映画のDVDを見るということは、まずありません。その理由は、DVDで見ても感動が小さいからです。なぜDVDで見ると感動が小さいかというと、画面が小さいということが一つありますが、私は「音」と「振動」が弱いから、というのも関係していると思います。
最近のテレビは画質は非常に良いです。しかし、普通の家では、劇場の音響は絶対に再現できません。完全防音のホームシアターでもないがきり、近所迷惑になるので大音響で鳴らせません。ちなみに、友人宅にある一千万円近くかけた完全防音のホームシアターで映画を見せてもらったことが何度かありますか、この場合の感動はほとんど劇場の感動と変わりありませんでした。
音楽の場合は、音質や歌、演奏のクオリティだけでいえばCDの方が良いはずですが、コンサートに行くとCDの何倍も感動します。特に有名なアーティストでなくても、生演奏を聞くと心が動きます。これは楽器を演奏することで生じる空気の振動を、身体で感じ取っているからではないか、と私は思うのです。
「臨場感」とか「ライブ感」という言葉で表現されますが、これは「その場で演奏している」という「心理的な効果」が一つあるものの、「振動」という体感を「臨場感」「ライブ感」としてとらえているのではないでしょうか。
太鼓、ドラムなどのパーカッション、打楽器。太鼓の響きというのは、心を直接的に動かすような気がしませんか? これはもう、まさしく、「振動」そのものです。つまり、パーカッションというのは、「音」だけを楽しむ楽器ではなく、同時に「振動」も楽しむ楽器ではないかというか「振動」をメインに楽しむ楽器ではないかと思うのです。
日本の宇宙開発、ロケット開発の父と呼ばれる糸川英夫博士が、音楽の振動と恍惚感の関係について、興味深いことを言っています。「楽器を演奏する人は、耳で聴く音のほかに、楽器を持つ手、身体を通して直接振動が伝わり、聴覚系伝播されるが、音楽の中で聴く人に真の恍惚感を与えるのは、直接伝わる振動、ボーンコンダクションである」。糸川博士自身が、チェロ奏者として知られますが、自らの演奏経験からこうした振動と恍惚感の関係を実感したのでしょう。(続く)