28日(金)ZOZOマリンスタジアムにプロ野球千葉ロッテ対オリックス戦を見に行ってきました。

この日のお楽しみは、年1回地元の県立習志野高校吹奏楽部をライトスタンドに招いて、応援歌を演奏してもらうこと。

各選手の応援歌はもとより、試合開始前の君が代から7回裏攻撃前の応援歌、勝利後の歓喜の歌に至るまで、高校生たちの演奏がファンの歌声と共に球場に響き渡ります(既にYouTubeにかなりの数の動画が上がっていますので、ご覧いただければその迫力と素晴らしさを実感できます)。

 

普段は応援団のトランペット1本と大太鼓1台で演奏される応援歌が、多数の管楽器によって演奏されると、スタンドに巨大なステレオを持ち込んだような重厚な音が拡がり、試合観戦に加えて1試合で2度おいしい思いができます。

私が特に感心したのは、普段は単一のメロディーで演奏される曲に和音が加わり、曲によっては普段は聞けない前奏が挿入されたりすることです。

こうした編曲はすべて吹奏楽部の高校生たちが自ら行っているもので、1曲1曲をよく聞き込んでいないとこうした編曲は生まれてきません。

音量に厚みが増すだけでなく、音楽そのものに厚みが増し、普段聴いている応援歌の潜在的な魅力を引き出してもらった思いがし、熱のこもった演奏に加え、こうした見事な編曲で試合観戦の楽しみを増やしてくれた高校生たちにはただただ頭が下がる思いです。

 

考えてみれば、例えば料理の世界で、素材に一手間加えて違った味を演出し、素材のあらたな魅力を引き出すと言ったこともよくありますし、ファッションなどでもアクセサリー一つ加えることでそれまでなんとなく平板に見えていたものにアクセントがついたりと言ったことは珍しくありません。

 

これらに共通しているのは、元の素材をよく吟味していると言うこと。

その上でどうすれば素材の良さを更に表現することができるかを考えていることです。

素材はそのままでは素材そのものにとどまってしまいます。

それでも十分魅力ある物ならそのままでも構いませんが、素材そのものの良さを際立たせるために敢えて別のものを加え、加えたものとの対比によって素材そのものの良さを際立たせると言う手法は、素材がそれ自体単体でも成り立つが他のものとの対比によって別の側面を見せると言うことを証明しています。

いわば平面的に見えたものが多面的あるいは立体的に見えるというやり方です。

元の素材に組み合わせられるものがいくつもある、と言うことがわからないとこういうまねはできません。

 

素材の持つ魅力やリソースは、そのままでも十分理解されるものです。

しかし、それを引き出すために他のものとの関係(対比)で、そのものの良さを引き出す人の眼力が必要です。

対話力と言い換えてもいいかもしれません。

五感をフル活用して素材と対話することで、その魅力を引き出すための手段も見つけ出す人の引き出しから自ずと出てきます。

それが素材を多角的に理解し、多面的立体的に表現することにつながる。

「厚みを増す」とは素材の魅力を多く引き出すことです。