おとといは福岡に行ってきました。

目的は福岡市動物園のカバのタロー君に会うこと。

それだけです。

3度目の訪問ですが、過去福岡に行ったのはいずれも同じ目的。

それだけです。

行った動機も同じで、YouTubeに上がった告発動画からタロー君がいわば消極的虐待とでも言うべき仕打ちを受けていて(このブログでも過去に取り上げたことがあります)、実際にこの目で確かめてみたいと思ったこと、できることなら声を掛けるなりして励ましてやりたいと思ったこと、の2点です。

他の場所の観光は考えていないので、航空券も日帰りを前提に初めから羽田⇔福岡往復分を取ります。

 

傍目には「それだけのためにわざわざ?」と思われるかも知れません。

しかし私は帰宅して大満足感に満たされていました。

「行って良かった。また行こう」が偽らざる感想です。

一つには、タロー君をじっくり見られたこと(そのためかもしれませんが、いつものYouTuber氏が動画の撮影もせず1時間程度で帰ってしまいました。私が長時間隅の壁に張り付いて眺めていたからでしょうか。翌日にはいつもの動画が上がっていたので、彼には悪いことをしてしまったかも知れないと思っています)。昼間は夏日で暑かったのでプールに浸かって泳いだり寝たりしていることが多く、そういう姿を眺めているだけでもこちらは癒やされ、何時間見ていても飽きが来ません。

もう一つは、自分の目的が達成されなかったにもかかわらず他で収穫があったこと。

具体的には、動物園ヘ上がる坂の途中にカレーパンのおいしい店があり前から気になっていたので今日はそこでカレーパンを買って園内で食べようと思っていたのに、お店は直前のデパートのイベントで在庫をすっかり切らせており初めからなかったのですが、代わりにお店の方が勧めてくれたのが細うどん。詳しい説明をしてくださり、じっくり話もできたので何も買わずに店を出るのも気が引け、カレーパンを諦める代わりにお土産でその細うどんを買いました。こちらに戻ってゆでて食べたら本当に絶品。福岡訛りも聞けたし、そのおかげでよその土地に来たという実感が持てました。結局お昼は園内のレストランでパニーニと鶏モモの照り焼きを食べましたが、これが予想以上においしかった。カレーパンは次回以降の楽しみに取っておけますし、今回カレーパンを逃したおかげで別のごちそうにも出会えました。

また、動物園内のグッズショップでカバにも見えるような見えないような不思議なミニぬいぐるみを見つけたのでお店の人に聞いたところ「特にカバとか特定の動物をイメージしたものではなく制作者が独自に設定したキャラです」とのことだったので私が「じゃあ持ってる人がカバと言えばカバでもいいんですよね」と尋ねてお店の人の笑いを取れたこと(もちろん買いました)。

自分の期待とかシミュレーションとは異なる結果を得るのは旅の楽しみの一つでもあります。

見た件数や出会いの数は少なくても、質的に満足できれば旅の目的は達成できたことになります。

それでいいのです。

 

「それだけのためにわざわざ?」という感想は、費用対効果を考えると割に合わないのではないかという前提に立っているからです。

実際、旅行のツアーのスケジュールなどを見ていると、費用よりも格安に思わせるために客をあちらこちらに連れて行くものばかりです。

たくさん訪問できれば「元は取れた」かも知れませんが、果たしてどれだけの思い出が残るでしょうか?

デジカメやスマホにたくさん記録を残したとしても、自身の脳裏に鮮明に焼き付いている場面がどれくらいあるのでしょうか?

それだったら、むしろ当てのない旅をしてハプニングに出会う方がよほど「旅をした」実感が持てると思います。

 

要は、自分が満足したか否か、行って良かったと心底思えたかどうかです。

より具体的には、普段自分の暮らしている土地では経験できないような人や物に出会えたかどうか、目的を持って出かけたなら目的を十分達成できたかどうか、また目的外のハプニングを楽しめたかどうか、そういったことが判断基準になると思います。

複数人で出かける場合は、自分以外の人と楽しみを共有できることが大事ですから、他の人との関係でどうだったか、また生きたいと思えるようなことがあったかどうかが判断基準になるでしょう。

 

質的に満足できれば、それは費用対効果という観点でも十分釣り合いが取れていると言っていいのです。

旅に何を求めるか、それは自分自身を満足させることに尽きると思います。