レコード音楽は無料にし、アーティストはライブで稼ぐべきか。(導入編) | ただの音楽好きの戯言

ただの音楽好きの戯言

元CD屋さん邦楽ロック担当です。
現職は全然音楽とは無関係でございます。
とりあえず、戯言ブログに変更。
あと、結構辛辣なことを言ったりするかも、御心を害しましたら失礼。

どうも、お久しぶりでございます。
カバです。
一応元気にやっている次第で御座います。
近況というか、現在生存場所はtwitterに完全に移行しております。
TwitterIDは「kaba_rockin」で御座います、宜しければフォローを。

さて、今回の話は長文になることが確実でございます。
読むも読まないもお好きにどうぞ、話の内容は「音楽」に関してで御座います。

さて、今回の話を書こうと思った発端は2つ御座います。
まず、その話から触れたいと思います。

次のブログ記事をお読みください。

若者のCD離れがヤバイ オリコン3位が693枚 当然史上最低最悪の記録
http://netaatoz.jp/archives/7010289.html
(参考元)12/04/23(月)付オリコンシングルデイリー:デイリー3位の売上はたったの693枚…オリコン史上ワースト記録を大幅更新
http://blog.livedoor.jp/ustan777/archives/51901754.html

事の発端は、4/23(月)のオリコン3位の売上枚数が1000枚を切り、過去最低の数字。
なお、4/23以前の過去最低の数字は、東日本大震災直後の流通が滞った状況での枚数であるため、今回の数字がCDの売上が非常に深刻な状況にあると裏付けるものだ。
というものです。

僕が勤めてるCDショップは複合書店のCD販売部門でして、大型スーパーの一テナントで、そのスペースの1/3も無い面積の店舗です(めっちゃ小型、コンビニぐらいの敷地面積)。
なお、売上が悪く、5月には店内改装を経て更に面積を減らすことになっています。
CDショップ店員になって、もうすぐ丸4年が経ちますが、はっきり言ってCDの売上が激減しているのは、ひしひしと体感しております。
店舗の面積は、僕がバイトを始めた頃と全く変わっていません、営業時間も変わっていません。

何年前だっけ、Mr.Childrenのオリジナルアルバム「SUPERMARKET FANTASY」がリリースされた日の売上は確か80万を超えたと思います。
ちょうどリリース日の夜に出勤していて、尋常じゃない忙しさを今でも覚えています。
でも、次のMr.Childrenのオリジナルアルバム「SENSE」のリリース日の売上は、40万を切っていたと思います。
数年も立っていない間に、同一アーティストのアルバム売上が、半減です。
ただ、40万を切っていても、「やっぱりMr.Childrenは売れるなぁ」と改めて実感したのを記憶しているので、どうやら売上額の感覚が昔に比べて狂ってしまっているのだと思います。

こんな事言ったらまずいんでしょうが、
4/24(火)の売上は10万を切ってました。
うちの店は1日早く入荷する、いわゆる「フラゲ店」なので、割とお客さんが来てくれるのですが、それでも、この額です。
なお、4/24は大型商品である、ゆずのベストアルバムがリリースされてます。
それでも、これです。
僕は店頭に行って同僚から話を聞いて「うっは、ゆず爆死したなぁwww」って言ってましたが、冷静に考えれば、明らかに笑っていられるような状況ではありませんでした。

なお、入荷日の前日である月曜日は、下手をすれば売上が5万を切ることもザラです。
人件費、営業にかかる諸費用を考えると、大赤字じゃないの?と思うところはあります。

とりあえず、言いたいことは、CDの売上の状況は深刻な危機に瀕しているということです。

さて、もう1つの発端に参りましょう。

こちらはWebニュースの記事ですかね、お読みいただけたらと思います。

「レコード音楽は無料であるべき」と考えるGroovesharkの「6つの理由」
http://www.gizmodo.jp/2012/04/grooveshark6.html

Groovesharkという音楽ストリーミング配信サイトの共同創業者へのインタビューです。
Groovesharkは、無料で音楽をストリーミング配信しているものの、複数のレーベルからライセンス料を払ってないことで訴訟を起こされている会社なようです。
このインタビューでは、共同創業者の方が「音楽の無料配信を行うか」という理由に触れられています。

簡潔にまとめますと、
その1.
「レーベル会社は音楽に対して高い料金をふっかけすぎている」
その2,
「アーティストはライブで生計を立てるべきだし、立てられるはずである」
その3.
「現状の音楽業界のシステムは破綻している、だからシステムを再構築すべきだ」
その4.
「うちの事業モデルはYoutubeと同じ、初期のYoutubeも訴訟を起こされたでしょ?」
その5.
「うちはルールに基づいて、削除勧告されたものは削除してるから問題ない」
その6.
「うちの方がアーティストの宣伝には有効である」
というものです。

好意的に見れば「一理ある」とも取れますし、批判的に見れば「盗人猛々しい」とも取れる内容で御座います。
この記事の内容に深く触れると、本題に一気に突入することになりますんで、ここで詳しく触れるのはやめておきます。

さて、今回の表題にもある通り、今回のブログ記事のテーマは「レコード音楽は無料にし、アーティストはライブで稼ぐべきか」というものです。

これは、昨今、CDの売上が不調だと言われれば「CDはオワコン」と言われるようなものの延長線上にあるものだと思います。

現在の音楽業界を取り巻く状況を見ますと、CDの売上は年々低下している。
それは、配信による影響なのではないか、とも言われますが、配信による売上も低下しています。
では、違法ダウンロードが問題なのではないか、とも言われますが、個人的には微々たる影響ではないかと思います。
むしろ、Youtubeやニコニコ動画などによるアーティストの知名度上昇のメリットの方が大きいと思います。

では、何故、これほどまで音楽業界、もとい、音楽コンテンツは厳しい状況下にあるのか。

私見ですが、

【私見その1】
「一般大衆の嗜好が複雑化、バリエーション豊かになった結果(テレビの影響力の低下)」

例えば、ミリオンヒットがばんばん出ていた90年代。
当時はインターネットもなく、情報を得る媒体はテレビや新聞、雑誌が基本でした。
そのような状況で、テレビで主題歌に起用される、もしくは、情報バラエティ番組で取り上げられる、といったことがあれば、大きく注目を浴びるでしょう。
また、当時は音楽番組も多数ありました(歌の大辞テンとか、夜もヒッパレとか見てたなぁ)。
売上が伸びれば、更に音楽番組で取り上げられる、より注目を浴びてトレンド化する。
といったループが生まれると思います。
それこそ、世の中のそこらじゅう流行モノだらけでしたからね。

しかし、インターネットという新たなメディアの登場。
更に、技術の発達から、様々なコンテンツが増え、情報の発信者と受信者が近い、果ては同一であるといった状況が現在であります。
メディアが「大衆メディア」から、「個人が発信するメディア」に移行した訳です。
その中で、どんどん様々なジャンルのコンテンツの発信が行われる、そして、それに対する情報が無料で手軽に誰でも得られる状況になる。
そうなれば、様々なジャンル・コンテンツに対して、大小様々なコミュニティが発生し、醸成されていく。
このコミュニティの醸成には、古くは各種掲示板に始まり、mixiを始めとしたSNSサイトの登場も一役買っていると思います。

となれば、最早「大衆メディア」であったテレビの情報より、各自が所属するコミュニティの情報を重視し、そこでの嗜好に自分も同一化していくでしょう。
となれば、その数あるコミュニティだけ、バラバラなジャンルの嗜好が発生しているわけですから、最早ミリオンヒットなんて生まれることは有り得ないでしょう。
その様々なコミュニティの嗜好に応じた商品を常にCDショップが用意できるわけもなく(不良在庫は店を潰す原因ですので)、CDショップから離れるお客さんが出始めるわけです。

では、そのお客さんは何処へ流れたか。

【私見その2】
Amazonを始めとするインターネットショッピングの発達

さて、CDショップで欲しい商品を購入できないお客様は何処へ流れるか。
それが、Amazonを始めとしたインターネットショッピングです。
年々支払いシステム、流通システムが簡素化、配送にかかるコストも低額化されており、Amazonであれば、数多くのジャンルを、家に居ながら、クリックひとつで、膨大な在庫から入手可能。
その他のインターネットショッピングサイトでも、それぞれジャンルに特化し、ローコストで運営しつつ、マニアックな商品を用意することが可能です。
また、Amazonであれば、大量入荷の恩恵もあって、大幅な値引きなんかも可能なようです。
加えて、インターネットショッピングの強みは、都市部から離れた遠隔地でも利用可能ということでしょう。
昨今のCD不況から、CDショップは年々店舗が減少しております。
そんな状況の中、わざわざCDショップに足を運ばずとも、インターネット環境さえ整っていれば購入可能、更に購入した商品は家まで配送してもらえる、ということであれば、遠隔地の方々はAmazonに手を伸ばすでしょう。

そんなこともあって、CDショップは危機に瀕する訳ですね。
まぁ、これはCDショップのピンチであって、音楽コンテンツの問題ではないですが。

【私見その3】
テクノロジー発達によるCDというパッケージの存在意義の有無

正直、これもCDショップ存続に関する問題なんですがね。

iTunes、iPodを始めとして、現在の音楽コンテンツの利用スタイルは、データ化して楽しむのが主流です。
再生メディアはテクノロジーの発達によって小型化、大容量化、無形なデータ化をしてしまえば、何千枚のCDも再生メディアのサイズ・重量で持ち運び可能です。
いつでもどこでも好きな音楽を楽しめる。
また、Youtubeなどストリーミング配信サイトを利用すれば、無線LANないし3G回線があれば、iPhoneやスマフォさえあれば、無料で手軽に音楽を楽しむことができる。
別に、ポータブルプレーヤーやスマフォを持っていなくても、パソコンさえ持っていれば、レンタルショップからCDを借りてきて、パソコンにインポートすれば、いつでも楽しめるし、ディスク化せずに保存できるから、かさばることもないし、低額で済む。
CDを購入しなくても、今はiTunes Storeをはじめ、音楽コンテンツの有償データ配信もされてます。更に言えば、好きな楽曲だけを購入可能ですから、有償であったとしても、購入者の要求はCDを購入するよりも定額で満たされる。

それが今の状況です、それもパソコンやインターネット、携帯(スマフォ)の所持が条件となりますが、現代社会において、仮にスマフォを覗いたとしても、その他のものは生活必需品のレベルまで、地位は向上していると思います。

そりゃ、CD買わないですよね。

【私見その4】
デフレ化におけるCD価格の変動の無さ

これは「CDはオワコン」と言ってる方々が、よくおっしゃってる内容ですね。
現状、フルアルバムであれば、価格は平均して\3,000前後。
これは、昔からほとんど変わらない値段です。
しかし、現代の日本の経済状況は慢性的なデフレ、所得はどんどん減少しているのが実情です。
家計の所得が減少した時、どこから切り詰めるか。
どう考えたって、多くの方々が嗜好品の購入量や、趣味に使う金額を減らしていくでしょう。
CDがその影響を受ける品目に該当するのは言うまでもありません。

しかしながら、CDの価格は昔から何も変わっていない。
所得に対してCDの価格を比較すると、その重みが増大していきます。
ましてや、元々CD購入層の多くは消費意欲が高い若者です。
ですが、デフレ化における所得減少の影響の多くは若者へ大きく影響を及ぼしており、彼らの消費意欲は増々低下しております。
そもそも、「若者の○○離れ」という言葉は、バブル時代を謳歌した方々が、デフレ時代の若者を自分たちと比較して「消費意欲が低い」と叫んでいるに過ぎないと思っております。
そもそも低所得な状態で消費意欲が低いと言われても困ったものです。
そんな事言う前に、デフレを解消するようにどうにかしろよ老害どもと言いたいとこですが、そういう風に世代間闘争を煽っても仕方ないので、ここではそうは言わないようにしておきましょう。

話が逸れましたが、所得・消費意欲、共に低下している状況で、CDの価格変動がないという状況では、購買層がなかなかつかない。
更には、試しに、このアーティストを買ってみようかなぁなんて気も起こらないでしょう。
実際、勤務中にお客様の動きを見ても、商品を購入されるお客様のうち、元々目当ての商品を探しに来ていて、それに向けて一直線って方が、大勢を占めています。

いくらCDショップ店員がコメントカードやPOPを作ったところで見向きもされないのが実情です。
無論、そうじゃないお客様もいらっしゃるのは確かですので、作るのを止める気はさらさら無いですがね。
それこそ、Amazonでいい。

細かいところを言えば、まだまだ私見はあるのですが、あまり私見を長く話しても仕方がないですね。
本題に突入したいところですが、既に文字数が五千字を突破しておりますので、一旦話を区切りたいと思います。
次の記事で本題に突入したいと思います。

では、そんなところで、また別の記事で。