福岡銀行本店 1975 黒川紀章 

 

福岡の天神地区の一等地に福岡銀行本店がある

築46年の建物は、古さを感じさせない。むしろ

空間という意味での斬新さが、色あせることは

ないと思う。濃灰色に大判の御影石の外壁は、

建物を落ち着いた雰囲気で包み込んでいる。

 

今まで見てきた建物の中でも、この公共空間の

作られかたは想像を絶している。大きな吹抜け

た空間を作ることを前提にしないと、この建物

のデザインにはならないと思う。公共的空間に

充てられた空間のボリュームが圧倒的である。

 

竣工当時より、公共空間へのアプローチの方法

が階段からスロープに改修されたことにより、

軒下の空間が身近なものになっているとのこと

思えば、カフェになんとなく足を運んでいた。

 

 

 

 

 

圧倒的な空間への印象も、カフェのベンチに

座れば親しみへと転じ、コーヒーを飲みながら

休日のひとときを過ごすのにとても心地よい

空間となる。日曜日の午前中、そのカフェには

思い思いに休日を過ごしている人たちがいた。

 

 

公共空間に、いくつか彫刻が設置されている。
これは本郷新氏の想という作品で、物思いに
ふけっている様子である。同様に、考え事を

しながらコーヒーを頂くには程よい空間である