長々と述べたが、提唱する具体的方法は極めてシンプルなものである。以下基本的なものを列挙する。
①書物や新聞など、文章の音読。
②単純な計算問題(小学校レベルの一桁同士の計算でいい)。
③文字を書くこと。筆写や、写経など。
④手先を使い、何かを作り出すこと(工作や編み物、料理、折り紙など)。
⑤楽器の演奏。
⑥伴奏無しで歌を歌うこと。
⑦ペットなど、動物を可愛がること。
⑧麻雀、将棋、囲碁。
⑨家族や親しい人と直接コミュニケーションをとること。
⑩自然と触れ合うこと。
とりあえず上記が基本である。これらは何か?何を隠そう、科学的に証明された、前頭葉を鍛えるための種目である。
ソースは主に、脳科学者の川島隆太氏の著書に基づいているが、これらを習慣化し、続けていくことによって、誰でも必ず脳が鍛えられる。ここでいう脳とは、理性を司る前頭葉、詳しくは前頭前野という部分である。
その効力に関するデータを引用すれば、健常者が①の音読を1日20分、毎日行ったところ、一か月毎に記憶力が10%ずつ上がっていったというものがある。勿論これは記憶力のみがアップしたのではなく、前頭前野そのものが鍛えられた結果の側面としての表れであろう。
また、健常者に関する事例ではないが、認知症やアルツハイマーにかかってしまったお年寄りに①の音読などを処方したところ、数ヶ月、早くて1ヶ月で全てのお年寄りに効果が表れ(オムツが取れた、笑顔が戻った、記憶を取り戻したなど)、改善に向かった。理性を司る前頭葉を活性化させ鍛えることで、老齢からくる認知機能の改善も可能となったのだ。更に、ダウン症や、自閉症の改善もみられたという実例もあった。
脳科学的な理論に基づき、理性を鍛えることは、従来は回復不可能とされていた症状でも改善させるパワーがあるのだ。そして、人間の脳には可塑性があり、鍛え続ける限り、いつまでも成長し続けるという特質がある。
上述した中で、最も推奨したいのは①の音読である。音読は、脳全体の70%以上を活性化させる全身運動であり、川島氏曰く、現時点で音読を超えるものは無いらしい。他のものは趣味や生活スタイルと上手く重ねれば一石二鳥となろう。音読は1日20分以上、午前中が望ましいが、5分でも効果があるようだ。勿論毎日続けてこそ効果がある。
次回からは、これらの有用性につき、更なる説得を試みたいと思う。