=禅語より=

人生に達人の言葉です。

過ぎ去ったことを悔やまず、これからやってくることに不安にならず。

それも、いつまでも留めておかない。

いつも目の前に起こったことに向かい、先入観を持たず、どんなことにもとらわれない心をいうのである。

次は荘子の言葉である。

「至人の心を用ふるは鏡のごとし。将(おく)らず、逆(むか)えず、応じて而(しか)して蔵(おさ)めず」

悟りの境地に達した人は、鏡のようなものである。

鏡は過ぎ去ったことをいつまでも映しておかないし、将来のことも映さない。

何も蓄えておかないから、澄んだ青空のようにからりとして余分なものは何もない。

現実の私たち人間は、過去の悔みが積み重なって身は引き裂かれそうになり、なんともわからない未来を感じるたびにおののきを禁じ得ない。

結局は、引きずることなしに、くるべき事にも動じないのが一番。