ノゲシって知っているだろうか
タンポポの花を小さくしたような花が咲く、
背は人間の膝下くらいまで伸びて、
葉っぱがトゲトゲっとしてて、
全体的にちょっとワイルドな感じのやつ
ちょっと前に、
散歩している時に立派なノゲシがポツンと咲いていた。
調度近くに切り倒された木の幹が転がっていたので、
その上に座って勝手にノゲシに向かって私は愚痴をこぼした。
「あのね、こう言う事があってね、
それで、こんな風に言われたの!
でね、結局、私は約束破られて、
時間も思いも健康も仕事も全部失って、
嘘ついた方は何も失わない上に、
仕事も何もなかったみたいに続けて、
他の女と結婚してるんだよ?
意味わかんなくない?」
と、浮気、嘘、モラハラパワハラで別れた、
元同じ職場の元彼の話を一方的に勝手に話した。
特に何の反応も示さないでただ咲いているノゲシに、
「酷くない?!
どう思う?!!」
と聞くと、
「えっ?!私?!!」
と、すごく動揺した感じが伝わって来た。
まさか意見を聞かれると思わなかったみたいで、
ビックリしていた。
私もノゲシが話を振られてビックリすると思わなかったので、
可愛い反応に吹き出してしまった。
ノゲシは、
「……私は、
全部もらえるよ。
お水も、あったかい光も、地面の栄養も。
全部タダでもらえるよ…?」
と、ちょっと戸惑いながら教えてくれた。
私は、目から鱗が落ちた気がして
「確かに!
私は元彼から色んなものを奪われたと思っていたけど、
確かに私もタダで日の光も水も(水道水はお金がかかるけど)もらってる。
そう言えば、私は生まれた時は手ぶらで何一つ持ってなかったかも。
てことは、私の持ってるものも、全部タダでもらったものかも!」
と、ビックリしながらノゲシに目をやると、
「うん、
踏まれたりかじられたりする時もあるけど、
全部必要なものはいっぱいもらえるよ」
と、教えてくれた。
そう言われると、
人間社会と切り離されたとしても、
自然は水も植物や魚や貝や色々な食べ物をタダで用意してくれていて、
私は勉強して成長して働いていたけど、
その働くための体も命もそもそもタダで自然からもらっていて、
成長するためのご飯も知恵も、
大人になるまでは周りの人がタダで与えてくれて…
てことは、
あれ?
私が持っている物って、
全部実質タダで手に入れたものじゃね?
じゃあ、別に何も奪われてないのか?
どうなの?
ん?
でも、だからって、嘘ついて騙して持ってくのは違うよね?
え?
「どうおもう?!
君はさ、
一生懸命大きくなったのに、
いきなり意地悪で引っこ抜かれたら、
どう思う?
嫌じゃない?!」
と、またいきなりノゲシに聞いたら、
「え、
うん…、嫌だけど、
でもまた生えるよ?
太陽があったかくて、
お水があって、
気持ちいいな~って思って、
また大きくなる。」
と言うので、
「でも、根っこから抜かれちゃうんだよ?
そしたら、もう大きくなれないじゃん。
そしたら、どうするの?
嫌でしょ?」
と、しつこく聞いてみると、
「それは悲しいけど、
でも、よくある。
色んな所で生えてるから大丈夫。
抜かれたくないけど、
そういう事もあるから。
だから、色んな所に生えれるようになってる。」
と、教えてくれた。
このおしゃべりしてくれるノゲシには、
個性?というか、個別の人格のような性格があるようだけど、
それはすごくボヤっとしていて、
他の世界中のノゲシとグラデーションで意識が繋がっているような、
全部で一つのような、
そんな感覚のようだった。
「ふーん、
そうか~。
君は、私が感じるみたいに悔しくなったりしないのか~。
でも、確かに、
私も君と一緒で、
色々なものをたくさんタダでもらっているんだよ。
これからもいっぱいタダでもらえる。
今、私は私の命をもらっているし、
命をもらっているという事は、
時間をもらっているって言う事で、
その時間を過ごす体ももらっている。
それに、こうやってお話しして、
自分が持ってなかった考えも心ももらってる。
あれ?
なんか色々取られた気がしたけど、
たぶん、取られたんだけど、
でも、一番大事な命も、体も、心も、
これから沢山タダでもらう色んなものも、
奪われていないし、
もうあの人は奪う事は出来ないんだ。
じゃあ、私は大丈夫かも。
あの人は、きっと、
あの人も沢山全部タダでいっぱいもらって来たのに、
一つも気づかないで、
一つも感謝しないで、
だから嘘ついて騙して人から奪ってばっかりなんだ。
全部タダでもらえるのに。
無限に。
かわいそう。
きっと、一生そうやって生きるんだ。
でも、私は知ってるもんね。
どんなに奪ったと思っても、
また沢山もらえるもんね。
傷ついても悲しくても、
こうやって教えてくれる優しいひと(草)が沢山いるもんね。
そっか、ありがとう。
たくさんお話し聞いてくれて。
お話ししてくれてありがとう。」
そう言って私が立ち上がると、
ノゲシはまたまっすぐお日様を向いて立っていた。
いつもこう言う人生相談は、
神様か仏像か、海とか空とか大きな存在にしかした事がなかったけど、
まさかこんなにノゲシがお話ししてくれるとも、
まっすぐで素直な意見をくれるとも思っていなかったので、
とっても嬉しい出来事でした。
ちなみに神様は基本的にめちゃくちゃ優しくて、
「大丈夫。大丈夫。」と慰めてくれる。
とにかく優しくて沢山アドバイスもくれるけど、
温泉に入ったみたいなサッパリした気分で眠くなって、
家に帰ると具体的に何を話したか忘れてしまう。
仏像はそれぞれ形によって性格が違うけど、
「全ては一体であり、全ての光とともに私がある。
その悩みもあなた自身も私と一身である。」
みたいな、なんか高尚な事を言ってくれて、
毎回話を聞くと、
「なるほど…!ありがたや…!」ってなるけど、
日常生活に戻るとすぐに忘れてしまう。
海とか空は、
「それはどういうこと?」と、深堀しつつ、
「それは、こういう真意があるからこうなった」
とか、自分で気づかなかった視点をバーンと教えてくれる。
人間に相談すると、
どう考えても私は悪くないのに怒られたり、
勝手にいつの間にか他の人に話されたり、
とっくに何十回も試した事を「やってみなさい」とアドバイスされたり、
「そんな事、みんな悩んでる。自分ばかり不幸な顔をするな。」とか、
意味不明な事を言われて何の解決にもならなかったりするので、
人間に相談するのは苦手だ。
今回、元彼との事で色々あった時に、
色んな人に「人に相談しなさい」「頼りなさい」と言われた。
今まで人に相談しない人生だったので、
家族、友達、元同僚、大学の頃の先生、カウンセラー、霊能者など、
20人くらいに対面で相談してみたし、
youtubeやブログ、電話占いなど、不倫や人間関係の専門家と名乗る人たちにも相談してみた。
でも、結局、疲れたり人間不信が強まっただけだった。
ノゲシさんの方が、
よっぽど優しくて温かい、まっすぐな言葉をくれたよ。
人間同士の方が、
同じような経験をしているはずなのに、
植物の方が心と心が繋がる感じがするのはなんでなんだろう。