浅草寺の裏手、ゴロゴロ会館を少し入ったあたりは花街の名残を感じさせる料亭や割烹が、程よい距離感をとって立ち並んでいる。そんな一角にひっそりと構える「とり幸」という鳥料理の美味い店がある。もう10年以上前になるだろうか、今の季節になると当たり前のように週3〜4で入っていた忘年会の新たな店探しを、得意のぐるなびを駆使して辿り着いたのが最初であった。少し年上かと思われる姉妹の女将が振る舞ってくれる鍋料理は水炊きと鳥すきの二択で、自分はいつも鳥すきを好んだ。先付けから登場する大きなつくねにたっぷりと七味唐辛子をまぶしていただきながら乾杯する🍻ビールは極上で、締めの鳥すき
まで堪能すれば十分な満腹感は得られるのだが、いつの頃からか見つけた裏メニューのチキンライスの濃厚な味に病み付きになり、鳥料理のトリ
は、自然とこれになった。
そんなこの店への想いがさらに深まったのは、愛読していた伊集院静氏の「大人の流儀」シリーズに偶然にもその記載を見つけてからである。「へぇ〜
、夏目雅子と篠ひろ子という稀代の美人女優2人を妻にめとったあのオッサンも、密かに足を運んでいたのか。」と、なんだか自分も氏の言うところの一人前の大人の域に達した気がして、一人ほくそ笑み親近感を覚えたものである。そして先月1年半ぶりに昔の仲間とこの店を訪れ、いつものメニューに舌鼓を打った
ばかりだった。そんなタイミングで飛び込んで来た伊集院氏の訃報。先日の上司も谷村新司の時もそうであったが、心を寄せる人・師事する人との別れはいつも突然である。ただ、ギンギラギンに
さりげなく
生きられたであろうその人生に、心からの敬意と静かに拍手を送りたい👏合掌🙏
