すごい小説
に巡り合う事が出来た![]()
コロナ禍のこの状況だからこそ手にしたのかもしれないが、あまりにも現実に起こっている事と酷似している内容には、心底驚かされ
ただただ感心するばかり
。初刊が2013年となっているので、作者の高嶋哲夫さんは7年前には既に、このような未来が起こり得る事として予測していたわけである。さらには舞台も時が「東京五輪開催前とW杯開催中の北京」ならば、感染症の発生地が「同じ中国の湖北省・武漢と雲南省」という極めてニアな設定だったり、ここ数カ月の間ですっかり聞きなれた「パンデミック」や「PCR検査」「空港閉鎖や都市封鎖」さらには「サイトカインストーム」なる言葉まで、次々と登場してくる。少々ネタバレにはなってしまうが、登場人物のその時々の印象的な発言だけ拾い集めてみても、いかにこの小説が単純な想像だけでない綿密な構想と、膨大な取材と調査の上に成り立ったものだという事を感じ、心からの敬意を表したい
。
「なんとしても封じ込めろ。外国に悟られるようなことがあってはならぬ。これは党の総意でもある。」
「来週にはワールドカップが終わり、観戦に行っている膨大な数のサポーターの帰国が始まります。中国から世界中に人が散ってゆくという事です。」
「雲南省を中心に原因不明の感染症が広まっております。北京でも複数の患者が発見されました。それに伴いサッカーW杯、決勝戦中国対ブラジル戦は中止致します。」
「前の豚インフルエンザの診断手順は時間がかかった。しかし今はもっと早く判定できる検査キットが開発されていると聞いている。」
「全員隔離して、潜伏期間の5日間様子を見ます。異常なしと判断したら帰宅を許可します。そのために飛行機から直接バスに乗せて、隔離の出来る場所に移動します。」
「中国の空港をすべて閉鎖すべきだ。このままだと感染は世界に広がる。WHOが動いてくれると有り難い。」
「遺体はすぐに火葬してください。斎場に運ぶ場合も専用の車を用意して感染には最大の注意を払ってください。」
「現時点での世界の感染者数は4億人。ほぼ70%の患者が重症です。すでに死亡者は2億人以上と考えられており、致死率は50%を超えているという報告があります。」
「我々は多くの幸運にも恵まれましたが、1番の力はみなさんの決断力です。中国からの乗客全員を五日間ホテルに拘束する。空港閉鎖、国内長距離輸送の停止、世界で日本のみが取った措置です。簡単なようで出来ない事なのです。せっかくの奇跡を出来る限り維持したいのです。そのためには東京の封鎖しかありません。」
「インターネットじゃついに、タミフルとリレンザが一錠一万円を越しました。実際は75ミリグラムカプセルで300円程度ですから、30倍以上の高値です。」
「日本人の責任感の強さ、自己犠牲の精神、理知的な考え方などすべてのおかげだ。」
「日本人の優柔不断で集団行動しか取れない、消極的なところが封じ込めに合ってるってことね。」
読み進めれば読み進めるほど、あれもこれも安倍首相やWHOのテドロス事務局長に伝えておければよかった事ばかり
。テドロスさんはともかく、安倍首相や加藤厚労相、西村経済担当相には、せめて2月くらいに読んでおいてくれれば、その後のコロナ対策もかなり変わっていたのではないかと、本気で思える予言書であり指南書なのである![]()
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そして小説を読み終えてふと現実に戻った時に思ったのは、「事実は小説より奇なり」という言葉はあるけれど、これに限って言えば「小説の方が奇なり」で良かったかなという事
。「小説:現実」と比較すると「世界の感染者数=57億人:600万人」、「死者数=12.5億人:36万人」と、桁が2つ3つ違う![]()
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。
そんな中、昨日の東京の感染者数は34人と大幅増
。ウィルス自体が強毒化する可能性も無きにしも非ず。緊急事態宣言は一旦
解除されたものの、引き続き新しい生活様式の中で、しばらくはおとなしくしていた方がやはり良さそうではある
。
