slalom | かや

かや

かやです。



一昨日は朝、葉山から海に出て、午前中友人男性の操舵でクルージングし、海の上で過ごし、昼前に戻り、友人が予約を入れた見晴らしの良い立地で、太陽という意味のラテン語の入った店名のイタリア料理の店に向かう。可能な限り葉山(三浦半島)地産のものを使っているという葉山牛フィレの完全おまかせコースで広々とした景色を眺めながらゆったりとひとときを過ごす。
クルージングの前日、かかってきた電話で、友人が「そういえば小型船舶一級免許は更新しているの?」と言った。
「免許は持っていないから更新はしていないの」と応え、「あれ?持っていなかったっけ」と訝るので、
「持っていたのは特殊小型操縦士免許」と応えた。ジェットスキーつまり水上バイクの免許だ。
「一度更新したけれど、それきり」と言うと、
「ああそうだった、思い出した。小型船舶二級も一級もジェットスキーは操縦出来ないから取得する意味が無いと言っていた」友人は言った。


883にすっかり冷めた頃、江の島でジェットスキーの若者が切れの良いスラロームを操縦しているのを見た瞬間、乗りたいと思い、講習や実技などの教習を経て、受験し取得した。
当時、都内四日沖縄三日という感じで往復していた時期が有り、色々に過ごしていた。
東海岸から無人島や離島へのジェットスキーツーリングが有り、スタッフの操縦でツーリングも出来るが勿論免許が有ればレンタルで操縦が出来た。免許を取得してからは、何度か碧落のもと青海原を自らの操縦でジェットスキーで楽しんだ。
陸を散々883で日本中を浮遊し続け、不意に興味が失せて、暫くした時、たまたま間近で見たジェットスキーに興味を持ち、僅かな期間だが夢中になった。

毎週沖縄に行き、陸のオートバイ同様ジェットスキーもツーリングも楽しかったが、八の字旋回からスラロームをしたりする操縦そのものが特に楽しく飽きなかった。
オートバイと同じでスラロームはアクセルワークとライン取りが全てだ。それが面白くて面白くて仕方無かった。
ジェットスキーにはスラローム大会などが多く存在しているようだし、それだけ操縦操作が面白いということだが、今時の言い方をすれば、スラロームの沼にはまりかかり、海上ツーリングも楽しいが、広々とした海原で八の字旋回からスラロームをのびのびと心ゆくまでするのはもっと楽しかったったし、かなり上達もしたが、暫くして、会社ごっこがやや忙しくなり、沖縄からは遠ざかり、気付けば海外を頻々と往復する生活になり、いつの間にかジェットスキーの特にスラロームへの興味も冷めた。


その後免許は一度だけ一応更新したが、ただ更新しただけで気持ちは全く向かわずにそれきりとなった。
今思えば、会社ごっこがタイミング良く忙しくなったことで危うく海原を放浪せずに済んだとでも言えば良いだろう。
更に今思えば、何故そんなに楽しいと感じていたのだろう。
その時その時に何かしら夢中になる対象がある。
その渦中に居る時はこれ以上の楽しさは無いと思っているのだが、歳月を重ねると記憶の中に静かに感情は溶け込んでしまい、むしろ熱意というか傾ける熱量に自分のことながら、やや引く。ややでは無く、ドン引きだ。
その時その時に何かしら夢中になる対象がある、その時その時の自分はまるで今の私とは別人だ。
別人の私が途切れること無く連続している。それが自分なのだと思うと不思議だがそれが現実だ。人はそう簡単には変わらないし、変わることなど出来ないということだろう。


sunday morning白湯を飲みつつ、ずいぶんと削れている月を眺める。

本日も。淡く薄い。