私の国では年に一度、空について話し合う空会議なるものが行われる。
何千年も前から行われてきたそれは様々な決まりがある。まず国内から抽選で5人が選ばれる。5人は決してそのことを口外してはならない。
そして5人は後日指定された場所へ向かう。そこはビルのオフィスであったり、海の見える公園であったり、ときには公衆便所の前であったりと毎年コロコロと変わるそうだ。
ちなみに今年は学校の屋上で行われる。そう私は空会議に選ばれた。手書きの手紙が届いた時は嫌がらせだと思った。今もその思いは消えてないが暇なので行くことにした。
学校の屋上に着くとすでに年齢も性別もバラバラな4人がぎこちない距離で椅子に座っていた。とうとう空会議が始まる。眼鏡をかけたスーツの男性を始めとして次々に空にまつわる話がされていく。
「太陽の光や工場の煙で染められているから空の本当の色を誰も知らない」といった話や「空に溶かしたチョコを流し込んで固めたらどんな形になるのか」、「空に寿命があるとしたら今見ている空は何代目の空なのか」など取り止めのない会話が続いた。
これのどこが会議なんだろうと危うく言ってしまいそうになる。空以外の会話はNGなのだ。それから何か事件があるでもなく呆気なく空会議は終わってしまった。
5人はそれぞれ別の道で誰とも合わずに家に帰る。その後は何事もなかったように暮らしていく。それが空会議の最後のルールだ。
帰り道でどうしてこんなものが毎年行われるのか考える。そして私は空が灰色になるまで機械化が進んだこの世界で空の色や形、本来の姿を覚えておくためなんだと思うことにした。きっと答えはないから。
