最近の楽しみは、旅行中に各地の訪問を通じて歴史の裏側を知り、同時に歴史の中での影の部分を理解し、歴史を多面的に見ることで自分の知的好奇心を満たすことである。


昭和生まれのKJにとって、死ぬまでに訪れたい場所の一つが野麦峠だ。この野麦峠は、自分が小学生時代に見た映画「あゝ野麦峠」の舞台であり、NHKの連続ドラマ小説「おしん」に並ぶ、日本の明治からの発展の影の部分にスポットを当てた映画の一つである。この映画を見た時の鮮烈なインパクトを今でも鮮明に覚えている。


この映画は、明治から大正にかけて10代前半の飛騨の少女達が諏訪湖周辺の糸掛け工場に工女として働き、現金収入が乏しい家族を支え、家族への愛と望郷への思いを描写し、飛騨と信州の陸路の移動を阻む野麦峠と工女の哀しい物語である。


前日に泊まった温泉宿(高山市高根)には、「あゝ野麦峠」のポスターが飾ってあり、野麦峠への旅心を上げてくれた。

この映画の主演は大竹しのぶ。その他、自分たちの世代の憧れの女優の原田美枝子、古手川祐子等が共演。



高根の宿を出発し、野麦地区の野麦学舎。

美しい校舎だ。

雄大な山々を見ながら、くねくねした山道を登り、野麦峠へ。野麦峠のモニュメント。病気になり、工女を続けることができなかった妹を背負って野麦峠を越える兄との姿。

妹の叫び。


モニュメントからは、乗鞍岳が見える


野麦峠の野麦街道を探索

この坂を降りていくと松本へ

至る所に石仏がありました。



高山市高根〜野麦峠〜松本を繋ぐ野麦街道は標高差が大きく、同時にカーブが多く、秘境好きのKJにとって、とても楽しいドライブでした。しかし、5月の連休中にも関わらず、対向車も極めて少なかった。今では、複数のルートで立派な国道や県道が整備され、山々を貫くトンネルの開通により、高山と松本の間の距離が大きく縮まった。日本はどんどん便利になっていく一方で、残念ながら野麦街道は、忘れ去られる道となっていく。同時に、日本の近代化を支えた歴史が消え去るのは、寂しい。