南場智子(著)「不格好経営―チームDeNAの挑戦」を読了。

不格好経営―チームDeNAの挑戦/日本経済新聞出版社
¥1,680
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先日の日経BPフォーラム 世界経営者会議で、パネル討論に登壇された際の言動の恰好よさに惹かれて購入。

本書の回想の中から、南場さんの人間的魅力が伝わってくるのはもちろんですが、実経験でもがいた経営者の生の姿は、ビジネス書としても十分に魅力を感じました。良い意味で想定外。

思わず涙腺が緩みそうになる場面が、いくつも描かれています。が、ここでは、その内容は本書を読んでいただくとして、共感したことを記しておきます。

<心意気>
・DeNAを世界のてっぺんに押し上げたい。
・日本発のチームとしててっぺんに挑戦。この挑戦には世界中の人材が必要。閉じられた日の丸では成功しない。
・狙ってもなかなか達成できないような難しいことが、狙わずにできないはずがない。
・経営課題の前に階層なし。
・選択に正しいも誤りもなく、選択を正しかったものにする行動があるかどうかだけ。

<ビジネスの展開>
・試行錯誤を続け、何度か事業の基軸をずらしつつ、成長を模索。失敗の連続を、ひとつひとつ血や肉として強さに結びつけていった。
・とんでもない苦境ほど、素晴らしい立ち直り方を魅せる恰好のステージ。必ず大きなプラスアルファの拾い物をしようと考える。
・ノウハウが確立していない時代に、ユーザと徹底的に対話することでサービス業の本質を手探りでつかんだ。
・時代の波をとらえ、タイミングに合ったものを一番使いやすい形でです。これを実現してNo.1になった者だけが、拡大の良循環を手にする。
・特化したサービスを展開することの重要性。・逸失利益は大きいが、機動力やユーザ基盤など、本質的なものを失わない。
・ユーザーの反応に応じた施策をタイムリーに打って盛り上げ続ける運用ノウハウ。
・オープン化により、自社単独のサービスから、ほかの企業も事業を展開できるプラットフォームへと、その性質を大きく拡大。

<経営者の本質>
・経営者は、調整ではなく決めるのが仕事。最後は自分の腹に聞くこと。
・利益は世に中にどれだけの価値を生み出したかの通信簿。赤字は資源を食い潰している状態。
・市場に対してはできる限りの情報提供を行い、課題にどう対処しているかを理解いただくことで、短期の行政の良し悪しよりも経営の確からしさへの信頼を得る。
・事業者は、問題を起こさないようにびくびくするよりも、新しい問題にアンテナを張り巡らし、積極的にユーザーや社会、行政と対話しつつ柔軟に対処し続ける姿勢と能力が重要。
・意思決定については、緊急でない事案も含め、「継続討議」にしないことが極めて重要。事前に、意思決定にはどのような情報がポイントとなるか、大まかに擦り合せておくことも必要。
・物事を提案する立場から決める立場への転換に苦労。
・不完全な情報に基づく迅速な意思決定が、充実した情報に基づくゆっくりとした意思決定に数段勝る。本当に重要な情報は、当事者となって初めて手に入る。
・勝敗を決めるのはユーザーの審判以外の何ものでもない。優れた意思決定と高い実行力が試される。

<組織論>
・互いに切磋琢磨し、ときに激しく競争しても、チームのゴールを達成したときの喜びが全員に共有され、力強い高揚感でシンプルにドライブされていく組織。
・人材がどんどん生まれ、引き寄せられ、埋もれずにステージに乗っかって輝いていく組織。それが成長するだけでなく、本質的な強さを手に入れる。
・意思決定のプロセスを全員にシェアしてしまうと、決定の迷いを見せることがチームの突破力を極端に弱めることがある。チームには、これしかない、いける、という信念を前面に出した方がよい。

元気の出る一冊でした。
10/21,22 開催の日経フォーラム 世界経営者会議 (2013年度) から。

永井孝尚さんのオルタナティブブログで、詳細が掲載されていますので、内容はそちらを参照いただくと、様子がよくわかるかと思います。(^-^;A

永井孝尚さんが聴講を逃された、最終セッションのパネル討論会の部分についてのみ記載します。

■パネル討論
スコット・クック インテュイット 経営委員会会長、ファウンダー
南場智子 ディー・エヌ・エー 取締役、ファウンダー
竹内弘高 ハーバード・ビジネススクール教授

・冒頭、竹内教授が南場さんの著書名を「不合格経営」と間違えて紹介され、どうするのかな?と思っていたら、南場さんがユーモアを交えつつも「不格好経営」と訂正されました。すでに、ここで負けん気の片鱗を覗き、一発で魅了されました。(本、買っちゃいました。) 

・パネル討論に入る前に、スコット・クック氏から、「リーン スタートアップ」の考え方が紹介され、意思決定を実験によって行うということが重要というお話。エリック・リース(著), 「リーン・スタートアップ ―ムダのない起業プロセスでイノベーションを生みだす」は、一時期シリコンバレーでバイブルとなったそうです。(実は、購入済ですが、読む時間が取れず積読本状態。別途。)  

・DeNAの事例では、当初想定した業態と全く違うことで成功した。何年もしがみついて新しいことを次々に試している中でヒット。今も、日々の提供サービスの中で新しい実験を続けている。Quickに作り、ユーザの審判を受け、うまく行けば投資を突っ込み、ダメならすぐ引っ込めることの繰り返し。

・従来のビジネススクールはサプライズを取り除くことをケーススタディで教えているが、驚きがあるということは、まだまだ我々が知らない事が数多くある、ということで、それを認める謙虚さが必要。ユーザは、提供側が想定していなかった使い方を始めるなどの経験から。

・「DeNAは頂点になる」という宣言は、狙わなければ入らないから。ゴルフと同じ。世界No.1を目指さない起業家にシリコンバレーはカネを出さない。まず黒字化を求める日本のベンチャーよはスケールが違う。戦後の日本企業も、世界への想いが最初からあったはず。Sonyしかり、HONDAしかり。

・日本企業の問題は、チ-ムがドメスティックなこと。シリコンバレーのベンチャーは、5~6人でも国籍が非常に多様。DeNAは、エンジニアリングは国籍多様性はあるし、経営陣も世代の多様性は実現しているが、まだ外国人がトップマネジメントに入ってきていない。多様性をもっと強化していく。

・Intuitは、小さいチームを作ってネットワークで経営をしようとしている。大企業になった世代、成功した高齢者の世代は、若いチームをファウンダーとして資金面でバックアップしたり、従来のプロセスを壊しPoCを回せるような環境を作ってやったりすることが必要。加えて、自分自身も同じルールで日々を過ごし、自身もアイデアをどんどん出すこと。

・DeNAでは、経営課題の前にヒエラルキーなし。若者が創造性を発揮して、経営会議にどんどん提案してくる。自分もそれに負けじと同じ土俵でアイデアを出す。負けて悔しい思いをして、次は絶対に勝ってやる、という気持ちで次のアイデアを練っている。

・日本の伝統ある企業は、下に任せることがなかなかできていない。ただ、全部を部下に投げればよいということではないので、ここは間違えないように。「自由に実験させるアプローチ」と「厳格な判断による経営」このふたつを同時に回して経営していくこと、両者間で意見を闘わせること、をフェアに行っていくことが重要。

・日本の経営者は、頭はよいが情熱を共有する、という教育を受けていない点が残念。このままだと世界に通用するリーダーが生まれてこないことを危惧。米国では自分のこだわりを共有することを学ばせるのに対し、日本の学校では人と違うことは叩かれる。真逆。
・知識は、オンライン教育システムの充実で、入手しやすくなっていく。今後の教育は、むしろ、実行力・リーダー力を教えることに力をいれるべき。日本の教育は、トータルでは非常に充実しているが「間違わないこと」を教え過ぎ。これがビジネスをするときには邪魔になる。

・世界は、日本の質の高いサービス、優れたイノベーション力を必要としている。外から見るほど、日本の素晴らしい点がむしろ見えてくる。 World needs Japanse Innovation!! 
・間違っても任せる、非常識と思える実現方法も試させてアントレプレナーシップを育てる。それを許容する鍵は、実は、日本的なGNN(義理・人情・浪花節)の精神だったりする。


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<自分なりの所感> 

昨年度までは、新興国の急速な発展、日本企業のグローバル化(多様性)、イノベーションの必要性、などがテーマとして非常に多かったのですが、今年は、テーマとして取り上げられることが減っていたように思います。ある意味、日本企業は、それらの環境変化には対応しつつある、もしくは対応済み、ということなのかもしれません。

私が今年印象として持ったキーワードは、アントレプレナーシップです。日本経済の再生に向けた動き、として捉えてもよいかもしれません。若手経営者であり起業家でもある、三木谷氏や南場氏が目玉経営者として登壇されていたことに加え、伝統ある大企業においても新陳代謝に向けた経営改革をこなっているお話など、ある意味、第二の創業とでも呼ぶべき事業構造改革の必要性を主張されているように感じました。

日本経済が明るさを見せる中で、それにとどまらない何度目からの日本の生まれ変わりに向けた新しい潮流が生まれつつあるのではないか、と感じた次第です。

[2013-11-03 昨年度との気持ちの違い] 

10/20の中小企業診断士試験が終わって2週間。この2週間は、仕事がかなり立て込んでいて、毎日24時過ぎまで会社にいる、という生活をしていたので、なかなかblogを更新できませんでした。

ただ、それでも勉強していた隙間時間で、積読状態になっていた小説などを読んでいると、結構な量が読めるものですね、と再発見。

さて、今年の2次試験ですが、結論から言えば失敗でした。
自分自身で認識している力に比べても、半分も出せず、といった感覚。ただ、試験終了後の、この1~2週間の自分の気持ちというか、結果に対するとらえ方に、だいぶ差があるように感じていますので、記しておきます。

昨年度は、とにかく事例Ⅳの出題パタンの変化に完全にペースを崩され全くできませんでした。終わったの1週間は、あまりのショックに、布団の中でなかなか寝付けず悔しさに涙したことを覚えています(マジに)。

本年度も、事例Ⅳ難しかったですね。昨年度とは質の違う難しさでしたが。今年は、おそらく多くの受験生がカバーしていなかった知識を問われましたので、昨年度とは違った意味で完敗です。加えて、事例Ⅰが自分としては最悪でした。振り返ってみると、いつもの解答プロセスをきちんとできなかったことが敗因。皆が絶対に書けるはずのことを、なぜ書けなかったろう、という不思議。事例Ⅱ、事例Ⅲでも、多かれ少なかれ、予備校の演習であれば書けていたはずのことを書けておらず。

ただ、昨年度の「できなかったこと自身へのショック」という感覚とはちょっと違うのです。「自分の実力を出し切れなかったことへの残念さ」とでもいいましょうか、なかなかうまく表現できないのですが、もちろん口惜しさはあるのですが、自分自身の至らなさに対する謙虚さを感じています。昨年度に比べると、ずいぶん心穏やかです。(むしろ、昨年度よりもできなかった感が強いんですけどね。)   

先週、TAC横浜校での2次本試験分析会に行って、終了後の飲み会等で先生方ともお話しました。「それは、実力がついた分感じ方も変わっているのだ」「むしろ、そういう状態の方が受かっていたりする」と声をかけていただきましたが、実力が発揮できなければ、宝の持ち腐れですな(笑)。 ( ̄ー ̄;

さすがに、結果が出るまでは、がしがし勉強を再開する、という気にはなれませんが(万一がないわけではないですし)、春秋要約など、毎日欠かさず行っていた習慣は、試験終了後も継続しています。全力疾走したままでは、身体が持ちませんので、今は、暖気運転というところでしょうか。 

幸か不幸か、結果発表まで、むちゃくちゃ仕事が忙しいことが保証されています(こんな保証いらんのですが...)ので、あっという間の1ケ月になりそうな予感がします。 本当は、もうちょっと積読本を消化したいんですけどね。サイド机には、ビジネス書が約25冊、小説が約20冊溜まっています。なるべく、軽めのものから消化して、冊数を少しでも削減しないと、来年度のこの時期には、100冊くらいになりかねないなぁ..。