遅くなりましたが、10/24-25 日本経済新聞社主催の「世界経営者会議」への参加報告です。
http://www.ngmf.jp/
4年ほど継続して参加していますが、その時々の時勢が反映した経営者の顔ぶれとその決意表明を聞くことは刺激になります。昨年はグローバル化がテーマでしたが、本年度は、グローバル化は当然のこととして、どのようなパートナーシップを組むべきかがテーマ。
新興国企業の登壇者が増え、相対的に日本企業の経営者の登壇が少なくなったのですが、日本企業の経営者の講演も面白く(人にもよりますが)、もっと日本企業にも登壇してもらって、経営への思いを語ってほしい、とも思いました。
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第13回 日経フォーラム「世界経営者会議」報告
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日時:2011年10月24日,25日
場所:帝国ホテル 東京
主催:日本経済新聞社, IMD, 日本経済研究センター
テーマ:パートナーシップ時代の企業戦略~復活への新たな力
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<所感>
・新興国企業の登壇者が増え、相対的に日本企業の経営者の登壇が少なくなった。
その中で、新日本製鐵 三村会長、武田薬品工業 長谷川社長から次のような同様の主旨の主張があったのが印象的でした。
-従来の国内市場の中での相似形の成長に対し「非相似形の成長」が必要な時代
-そのために「国内事業(企業)の統合再編により収益力を確保し海外市場に出て行く力をつけること」が必要
-海外展開の手段として「パートナーシップ」が重要 (三村会長:緩やかな連携推進、長谷川社長:M&Aでの自前主義でキャッチアップできないGap Filling、という 手段の違いはあれど)
・セブン&アイ・ホールディングス 鈴木会長のお話も面白かったです。常に反対にあいながら改革を進めてきた姿勢は見習うべきですね。トップ自らが強い意志を持って語る経営姿勢には引き込まれます。
・切り口は異なるが、歯に衣をきせずに日本の課題を切ったWL ロス・アンド・カンパニーウィルバー・ロス会長兼CEO(企業再生王との異名のある人物)の講演からは、外から日本がどういう姿に見えているかを知ることができた。経営者云々の前に、企業人として認識しておくべきことではないかと思います。
・IT関連企業としては、インフォシス(@インド)、レノボ(@中国)、アドビ(@米国)等の登壇がありましたが、今後のIT産業がどう変わっていくかの長期展望があまり語られず、現状起こっていることの延長との印象で、若干食い足らなさがありました。
・余談:当初のプログラムでは、企業買収に絡む不明朗な支出騒動で10/26に辞任したオリンパスの菊川会長兼社長が登壇する予定でしたがキャンセル。登壇予定のセッションが、企業のCSRを考える対談であったのはなんとも皮肉でした。
-以下はお時間のあるときに-
<講演概要(10/24)>
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●セッション1:変化に挑む経営ビジョン
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(1) 李 潤 雨(イ・ユンウ) サムスン電子 副会長
・金融、エネルギー、サプライチェーンなど企業環境の変化の時代。
-金融危機リスクはグローバルに波及しアジア経済にも波及-タイの洪水による生産中断等サプライチェーンリスクもアジア全体で解決すべき問題
-エネルギー資源の海外依存度の高さもアジア経済にとってリスク要因
-産業間の境の不明確化、ハード中心からソフト中心などの変化
・サプライチェーン構築や未来技術への共同投資など、企業間で協力できる分野は多い。
アジア域内の交通フリーパス化などサービスインフラの統合、アジア共通通貨制など金融共同体化、海外事業での協力関係(新規市場を共同開拓)なども推進すべき。アジアは、経済統合の協力関係が他地域に比べて弱く、FTAで試みながら段階的に開放の幅を広げていくのがよいのではないか。
・東日本大震災、タイ洪水などの災害からの復旧は進むが、欧州金融危機など課題は続く。それに対して「One Asia Vision」を持って協調関係を推進すべき。新しい成長の原動力となる産業の育成を日本、韓国、中国等の協力により育成していくことが必要。
・会場から「日本企業の競争力低下と韓国企業の元気のよさの違いをどう考えるか」という質問があり、日本は部材/素材でグローバル市場を押さえているとの断りをはさみながらも、①韓国国内市場の小ささ、②(資源がないため)人材へ投資、③スピード感/タイミングを捉える感覚、が韓国企業がグローバル展開での強みとの分析を回答。
(2) ウィルバー・ロス WL ロス・アンド・カンパニー 会長兼CEO
・企業再生時には、後ろ向きな現経営者を入れ替えてリストラクチャニングする決断が必要。新しい顔だからこそできることもある。自治体/国レベルでも同様。
・世界は日本に否定的。日本自身も弱気になっている。日本に問題が多いのは事実だが見過ごされている強みがあるのではないか。世界3位の経済規模を持つ日本株式会社に市場が価値を認めないことが不可思議。
・大震災からの素早い生産再開は世界の経営人に感銘を与えた。政治的な不安定さはあるが、復興に向けた予算を有効に使うべき。国家の過剰な規制は民間の活力を削ぎ効率を悪化させる。原子力を含めたエネルギー政策の不透明さが中国、韓国に比べ電気料金の高止まりを招いている。農業問題、環境産業なども改革が必要。
・日本の製造業が、上流で価値を出すことが必要と考えると、研究開発投資をもっと増やすべき。現状のR&D費の割合は、米国や中国に比べて低すぎる。日本は部品産業をやっているが、米国はシステム視点でもっと大きく儲けている。
・日本に対して最もネガティブなのは日本人。逆境に対する戦う精神と武士道を思い出し日本人が自信を取り戻すことが復活への道。
・会場からの「求められるリーダー像」に関する質問に対し、日本の強みはコンセンサスとしながらも、社会でコンセンサスを得るには時間がかかることから、現時点で必要なのは、独裁的なリーダーシップではなかろうか、という回答。
(3) 胡 厚 崑(ケン・フー) 華為技術(ファーウェイ) 副会長
・ファーウェイはこの10年で急成長したが、海外(特に新興国)での市場開拓を進めてきた。自身もブラジルに駐在していたが、中国での経験のコピーでは成功することはできず、ブラジルの市場特性をつかみそこに中国での経験を注力することで新しい価値を生み出すことができることを実感した。
・市場を理解しビジネスに対する洞察力を養うことが必要。成長力が強いことは間違いないが、新興国でもいろいろな多様性があることを知ることが必要。ただ、どんな苦境にある国でも幸福な生活に対する欲求はあり、市場はあると楽観的に考えている。まずは低価格な商品で市場に入り込み、将来はより大きな購買力に育てる。その意味では、どんな企業もグローバル化の魅力には抗うことはできない。
・どこでビジネスをするにせよ、人材の確保は必要。新興国で専門人材が不足しているのは事実だが、人材のストックは大きい。開拓と育成が必要。
・現地の消費レベルに適応したイノベーションが必要。例えば、ファーウェイでは、現地の電力事情に合わせて通信基地局の小型化をした。引き算のイノベーションにも注目すべき。一方で、足し算のイノベーションもある。例えば、ケニアでは携帯電話を使用したモバイルバンキングが進み、銀行口座は持たなくても送金・決済といった銀行機能を実現している。新興国で起こったイノベーションによって先進国が恩恵を受けるリバース・イノベーションにも注目。
・経営モデルのイノベーションも必要。販売モデル、パートナーとの協業、経営スピード。新興国のスピードについていくための意思決定をするには、現地への権限委譲を進め本部はバックアップ機能に徹するといった逆ピラミッド型組織も手段のひとつ。
(4) 三村 明夫 新日本製鐵 会長
・既存事業の相似形での成長ではなく、非相似的な成長が必要な時代になっている。人材の獲得、パートナーの獲得が必須であり、そのためには、パートナーから見て魅力があり信頼される企業であることが必要。
・方向性のしっかりした経営と、鍛えられた現場の両輪が必要。現場の強さとは、想定外の事態でも現場判断で適切に対応できる力であり、先の東日本大震災直後、その後の復興を見ても日本企業は強い部分。
・ただし、非相似的な成長には現場力だけでは不足であり、経営力が必要。企業は成長を目指さなければならない。成長のために何をすべきかを考えることによって、観察・洞察・シミュレーション・イノベーションに対する意欲が生み出される。
・日本企業は、国内市場頼みからの脱却が必要。そのためには、国内事業の統合再編により収益力を強化する必要がある。日本の経営環境が悪い(ex. 高い法人税、電力不足問題など)ため海外移転が進むが、個別企業の最適化が日本にとっての全体最適なのかも考えなければならない。
・過去の海外展開は、海外への技術移転を伴う短期的なリタンを求めない国際協力の側面があった。今後は、そこで培ったパートナーとの信頼を元に、win-winでの提携(三村は"ソフトアライアンス"という言葉を使用)でグローバル展開を進める。ミッタルスチールのような敵対的買収のやり方もあるが、企業統合はハードルが高く、新日鐵としては資本による支配ではなく独立を保ちながらシナジーを得る戦略。
・しかし、海外に出ていくと日本企業よりも巨大な競合相手との競争が待っている。まず企業体力をつけることが必要。住友金属との合併もそのため。住友金属とはホールディング形式ではなく企業体として統合しようとしているが、それも、10年に渡る提携関係を経てのこと。日本には同一産業内に企業数が多すぎる。世界で戦える企業体がもっとできてくることを期待する。
・会場からの「住金との合併の各産業への影響」の質問に対して、自動車産業、電機産業も企業の数が多すぎると明言。国内生産力 > 国内需要の中、設備の統廃合を進めるには合併しなかい、鉄鋼を購入いただく顧客も含めて新日鐵と住金の合併に対して好意的な見方が多いのは、日本企業の多くが同じ問題意識を持っているということと回答。
(5) ジェームス・ターリー アーンスト・アンド・ヤング 会長兼CEO (対談=ドミニク・テュルパン IMD 学長)
・日本企業は、次を認識し推進することが必要。日本だけのチャレンジではないが、特に文化的に、失敗を許さない風土などが強いように感じている。①日本はグローバル市場の一員であるという意識を持つこと②長期的いは日本人の人口は減る中でダイバーシティを進めること③イノベーションを生む起業家精神を育成していくこと
・直面している課題はビジネスチャンスでもある。勇気をもってリスクを取るべき。リスクをとって諦めずにやり抜いた企業が成功している。また、外の世界(どんな需要があるか)をまず考えてサービスを創った企業が成功しているということを認識せよ。
・イノベーションは製品だけではなくビジネスモデルにもある。例えば、スターバックスの成功はビジネスモデルのイノベーションと言える。米国では、イノベーション企業は景気の悪いときに生まれている。政府はイノベーションを阻害する規制を止め財務面でサポートすることが必要。また、企業は失敗のペナルティを大きくし過ぎないこととダイバーシティ推進が必要。多様性の中からひらめきが生まれる。
・日本企業のグローバル化は数年来議論されているが、取締役メンバの多様化を進めるべきだろう。利益率の高い企業は、ボードメンバのダイバーシティドも高い。国家レベルでは、移民政策を含めた労働人口の多様化にもチャレンジすべき。
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●セッション2:台頭する新興国、変わるIT業界の構図
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(6) クリス・ゴパラクリシュナン インフォシス 共同会長
・世界の人口像の多くは新興国によるものだが、増える人口にインフラが追いついていない。より効率的な社会インフラの実現に向けてITを活用すべき。例えば、モバイルマネーもそのひとつ。
・消費者は情報に対して受身ではなくなっている。ソーシャルメディアによるコミュニケーション、パーソナル化が進む。正しい時に正しい情報を与えることが生産性の向上につながり、将来を予測した意思決定がより成功の確率を上げる。ITの活用で中小企業も同じ土俵で競争できるようになったこともネット時代の特徴。
・オペレーションの簡素化や、限りある資源の活用状況の監視などでもITは活用できる。新しい消費者に対し新しいサービス(ビジネスモデル)を考えていくべき。
・会場からの「インフォシスのビジネスモデルの将来への変化をどう考えるか」という質問に対しては、どんなビジネスでも同じだが継続して変化していくことが重要と考えていると回答。クライアントの現場が変わるのにインフォシスも合わせていく。例えば、ユーザはアプリケーションそのものを納めてもらうことを欲しているのではなく、業務をするためのサービスを提供してもらいたいと考えているはずで、日本市場では日本企業とも協業しユーザエクスペリエンスを提供していく。
(7) 楊 元 慶 (ヤン・ユァンチン) レノボ・グループ CEO
・2011年 AcerとDellを抜きPC事業で世界2位になった(1位はHP)。成功の要因は、-オーナーシップ:当事者意識、会社へのロイヤルティ-ダイバーシティ:IBM PC事業買収により急速に進展-正しい戦略:中国市場での法人向けビジネスを守りつつ新しい市場を攻める (ex. 日本でのNECとの合弁でのPC事業など)-イノベーション:世界のイノベーティブ企業Top50(Business Week誌)に2年連続 ランクイン、ThinkPad Tabletも発売
・ノートPC ThinkPadを生み出したチームがレノボのイノベーションを牽引。10/25に横浜に研究所を開設し大和から移転(#余談:IPAでご一緒したIBMの方とお話する機会があったのですが、大和の建屋の フロアをレノボに貸して賃料をもらっていたが、往来は自由にはできないように ガードされていたそうです。)
・PC業界は、水平分業モデルから垂直統合モデルへ変化している。Intelに牛耳られて輝きを失った組み立てメーカから脱し、最終顧客のニーズを理解できるメーカとして顧客志向のイノベーションを目指したい。
・会場から「IBMブランドをまだ使える期間中にレノボブランドに切り替えた理由」を聞かれ、自分のお金を使って他者のブランドを育てるのは賢いやり方ではない。ビジネスが安定した時点でレノボブランドに投資しプロモートしたとの回答。
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●セッション3:伝統と変革
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(8) フェルッチオ・フェラガモ サルヴァトーレ フェラガモ 会長 (対談=田中 陽 日本経済新聞社 消費産業部編集委員)
・フェラガモは同族経営の企業であるが、ひと世代で入社できるのは3名まで、入社前に資本関係のない他社での勤務経験が必要というルールを設けた。いまのところ、それがうまく機能してきた。一方で、時代も変わり、ファミリーから少し距離を置いて結果を出す経営陣を迎えることを可能にするという意図で、IPOを行い上場した。
・ブランドは長期間をかけて価値を獲得することが必要で、短期的なリタンを求められる上場との両立を心配する向きもあるが、例えば、それまで made in Italy が絶対的な価値の源泉と思っていたが、利益の拡大という視点でそれが本当によいのかを見直すなど外部の目によって気がつかされたこともあり、別の観点で見られるというメリットがある。
・成功に必要なものは、品質や職人技といった技術だけではなく、好きなことをやっているという情熱が大切。組織の中で、クリエィティビティを発揮してもらうことが必要であり、フェラガモの価値観というフェンスは設けて、その中では自由にやってもらうという形をとっている。
・独創的であることも必要だが商売である以上市場ニーズは何かを合わせて考えることが必要。かつては卸経由で販売していたが、現在は直営店(アンテナショップ)でお客様の気持ちを肌で感じ取ることを重視している。正しいことをすれば市場は応えてくれる。ただし、そのためには市場を理解しなければならない。
(9) 長谷川 閑史 武田薬品工業 社長
・3年間で2兆円のM&A資金を投入したが、経営は成果が出てこそ。その意味では、刈り取りはこれから。
・同友会で、日本の優良企業を調査した結果、長期的視野に立脚した経営が強み(①企業理念に基づいた経営、②現場の強さを引き出す経営、③人作りを重視した経営、④社会性を重視した経営)。一方で、リーダーの育成については世界に誇れるシステムを持っていないことも、また認識が必要。
・従来は、先進国中心に高性能・高機能が価値であったが、日本が成功してきたこのモデルは崩壊した。21世紀は新興国中心の時代であり、その市場に本当に合ったものを現地で作らないとボリュームゾーンを取れない状況になっている。成長する新興国に出ていかない限り成長は望めないと考えるべき。
・グローバルに対応する中で、M&Aは避けて通れないとかが得ている。日本企業は、国内の過当競争から脱却するためにもっと再編・統合をするべき。本当の競争相手が海外にいる中で、国内で消耗戦をやっている余裕はないはず。
・今後も、海外でのM&Aを進めるべきと考えるが、過去の買収の経験では、(単なる規模拡大ではなく)不足している資源を手に入れるGap Filling型の買収がうまくいっている。何のために買収するのか、買収した後に統合するところまで自分に実力があるかを見極めて行なうことが必要。
・武田薬品工業としては、基本戦略は自社開発だが、パラダイムシフトにおいてギャップを埋めるためには、時間を金で買うM&Aが有効な手段との認識。自前主義だけで、キャッチアップすることは困難な時代。
・M&Aの経験から学んだことは、-何かにチャレンジすることのリスク < パラダイムシフト下で何もしないリスク であること-統合にはじっくり時間をかけること。ミッションは受け入れてもらうしかないが、 ビジョンはネゴシアブル。お互いのビジョンを擦り合せよりよいものにしていく。
・日本企業が変わるべきことは、①本社のグローバル化、②グローバル人材の育成、③意思決定のスピードと透明感・権限委譲、④制度/ガバナンスの透明化、⑤評価・キャリア開発の透明性。
<講演概要(10/25)>
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●セッション4:グローバル化で変わる企業の使命
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(10) アンドリュー・ウィティ グラクソ・スミスクライン CEO
・急速に変化し課題が増える世界の中でいかにビジネスの成長を求めるか、長期的なイノベーションが医薬業界には必要。合併や買収によりシェアを拡大してきたが、その次の何をするかを考えた場合、研究能力を高めることが重要。
・産業的なアプローチを創薬に当てはめることを止めた。従来のフレームワークと大きな施設による創薬はコスト増と複雑さの増大を招いた。これは間違っていた。創薬は非常に人間的な作業でアートであり、パーソナライズされた小さな創薬チームを作って個人に権限を委譲する形に変更した。
・それでも、GSK 1社で全創薬をカバーできるわけではないので、パートナーとのアライアンスにより、より多くのリサーチと協力している。50社以上のバイオテクノロジー企業と協業しており、これがGSKの開発力を支えている。
・GSKの成長する市場として新興国を位置付け、安価に薬を提供して社会貢献するとともにGSKのブランドを浸透させることを優先している。利益だけを追求すると、単なる経済的旅行者になってしまう。そうではなく新興国のパートナーとなる。
・日本でも、シオノギや第一三共などとアライアンスを組んでいる。GSKは、M&Aを大規模にやることはしていない。創薬は個人のクリエィティビティによる部分が大きく買収先によって人材が辞めてしまうとその価値を壊してしまうため。製薬では、ビジネスのコアは人材であり、長期的な視野で開発面・販売面でパートナーシップで対応していく。
(11) ドナルド・ウォーカー マグナ・インターナショナル CEO
・自動車産業が景気に影響を受ける古い産業であるという認識は誤り。もっともハイテクでグローバル市場を相手にしており、技術革新を常に行っている産業。
・2008年の金融危機からも急速に回復している。金融危機でスリム化/効率化を進め、より高収益体質になった。マグナの顧客である自動車メーカが新興国市場での現地生産を進めるのにマグナもついづいしていく。事業の地域ポートフォリオも北米中心から新興国での割合を増やしていく計画。
・マグナの最大の資本は人材。地域への権限委譲を強めることで現地へのきめ細かなニーズに応えるとともの、エグゼクティブチームがグループの組織戦略と資金繰りを分担していく。
・会場からの「タイの洪水等によるサプライチェーンへの影響」への質問に対し、ジャストインタイムで製造している完成車メーカーのみならず部品メーカまで含めて大きな影響があり、対策についてセカンドソースを作る、在庫を持つなどを検討中。グローバル化においては、プライオリティ付けをしてリスク分散と協力体制をビジネスモデルの中に組み込むことが必要と回答。
(12) シャンタヌ・ナラヤン アドビ システムズ 社長兼CEO (対談=関口 和一 日本経済新聞社 論説委員兼産業部編集委員)
・スマートフォンやタブレットなどのデバイスが対等してきたのは、非常にエキサイティングな状況。情報のパーソナライズ化、デバイスにあわせた情報配信の分野で、アドビにとって大きなビジネスの機会ととらえている。
・トレンドは、①モバイル化、②ソーシャルコミュニケーション、③クラウド。アドビは情報を見るという技術に深くかかわってきた。今まで出版事業はコンテンツのデジタル化に対して収益を得るモデルが十分にできていなかったが、マーケットができつつある。今後、収益化のが進むだろう。クラウドに対しても、デスクトップパッケージ販売から、クラウド上でのサブスクリプション販売などで対応していく。
・Omnitureという会社を買収した。Web上のユーザ操作をトラッキングし分析することでユーザの嗜好にパーソナライズした情報を届けることで購買を促すような仕掛けを作る技術を提供する。[Adobe Online Marketing Suiteのデモ]
・独自のテクノロジーを創生するには、社内でイノベーションをたくさん発生させることが必要。世界各国でR&Dを行なうとともに、必要な技術/人材を獲得するためにM&Aも行なう。両方が必要。
・シリコンバレーは、夢を持つ人が成功を求めて集まってきてアイデアが火花のように生まれる場所。今後も世界を変えたい起業家を引きつけ続けるだろう。ただし、ベンチャを立ち上げるのは世界中どこでもできる。気持ちの持ち方の問題。
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●セッション5:GSR、日本から世界へ
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注:GSR(Global Social Responsibility)。「攻めのCSR」と表現していました。"NIKKEI GSR PROJECT" Web Page http://www.nikkei.co.jp/gsr/
(13) パネリスト:竹内 弘高 ハーバード大学経営大学院教授 佐藤 正敏 損害保険ジャパン 会長、ドミニク・テュルパン IMD 学長
・2010年にGSR白書を作成した。攻めのCSRを日本発で発信している。時代に変化により起こってきた、企業の善意だけでは解決できない地球規模の課題への解のひとつ。
・ハーバードビジネスレビュー誌で、The Wise Leaderという論文を竹内教授と野中郁次郎さんと共著で寄稿したが、そこで取り上げたほとんどは日本人経営者。日本企業は自信がなくなっているようだが、世界からの見方は少し違う。日本の良さを見つめ直すことも必要。
・企業にとって利益の最大化は宿命だが、GSR(CSR)を社会に存在させてもらっているための活動と捉えれば、中長期的に見て企業利益の最大化と矛盾はしないと考えている。今後、CSRは競争優位性にもなるう。both 経済的価値 and 社会的価値が求められるようになっていくだろう。
・ハーバード大学では、従来ケーススタディ方式の教育のみだったが、体験に対して単位を与える試みを始めた。現地の体験からケーススタディ化していくことを学生と一緒に行なう。インド、中国、アラブ、日本(東北)に行くプログラムを立ち上げた。
・Wise Leader(賢慮のリーダ)は、善を判断し、本質を理解し、場を作り、本質を伝えるといったことをすべき。
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●セッション6:リーダーが求める不断の改革
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(14) 鈴木 敏文 セブン&アイ・ホールディングス 会長
・改革を始めたのは1982年。不景気になり売上・利益が伸びない状況の中、何万とあるスーパーの商品を何が売れて何が売れていないかの単品管理をすることから始めた。改革推進は、営業だけでなく、会社幹部全員を集めて行なった。ひとつの改革をするにも、全部門が手を携えないと改善しかできないと考えたため。
・結果として死に筋商品が多いことが判明。不良在庫を徹底的に少なくすることをした。当時の常識とは正反対の施策でマスコミ当からも叩かれたが、結果として利益増を達成した。新しい観点から見ることが大事。
・以後、グループ各社で業革を継続して進めている。すべてうまくいったわけではない。イトーヨーカドーの業革とセブンイレブンとの業革は異なる。イトーヨーカドーの場合は、いかに過去を断ち切れるかが成功の鍵となった。
・セブンイレブンの場合は、過去の成功体験にとらわれない自由な発想が大事。セブン銀行を開始した際も、メインバンクからずいぶん反対された。しかし、顧客の便利性をとことん追求するなら、15:00まで等の銀行の制約を取り払うべきという結論になった。常に人がいることを前提にすることで、NECにATMの機能の見直しをしてもらいATMの価格を1/4にした。違った視点で考えることが必要。
・セブンプレミアムも、PBはNBよりも安価で品質が悪いという考えを捨てさせて作った。これをやると言った時には、デパート、スーパー、コンビニがそれぞれの理由で反対してきた。今では、どのチャネルでも売れている。固定観念にとらわれないこと。
・ネットスーパーも伸びている。物流コストが高い等の反対があったが押し切った。これからは、ネットを制するものがリアルを制し、今後のビジネスを制する。目指す方向はネットとリアルの融合。
・改革は、自分達で考えたことを信念に基づいてやるところに意義がある。改革3ケ条。①モノマネをしない、②過去にとらわれない、③常に新しいことに挑戦する。学ぶことは大切だが、マネは過去にとらわれる。自分の考えには制約がないからモノマネよりも挑戦する方が実は楽。
・変化への対応を徹底し、改革を続ければ「市場の飽和」はない。飽和とは同質のものが十分揃うこと。質の違うものを準備すれば飽和はしない。常に改革して市場をリードすればよい。妥協せず考え続け、仮説と検証を行なうことが重要。
(15) 辻 慎吾 森ビル 社長
・75%の人が5%の都市に集中して暮らしている。都市の時代。
・東京の都市総合力ランキングは、4位を維持してきたが、シンガポールや香港が急激に追い上げてきている。東京の国際競争力強化が必要。
・森ビルは、ハードだけではなくソフト面からも街づくりをしていく。タウン・マネジメントという考え方。都市再生には、多くのステークホルダーがいて非常に大変だが、長時間かかっても高い目標が成功するまでやり続ける。心を折らないことが大事。
(16) アレクサンドル・メドベージェフ ガスプロム 副社長
・エネルギーを含め資源をいかに安定的に確保するかは各国共通の課題。2030年までに全世界の人口が増え続ける結果、エネルギー使用は53%増加する。中国、インド、ブラジル、インドネシア当で工業化・都市化によるエネルギー需要の増加が見込まれている。天然ガスにとっては大きなビジネス機会。
・ガスプロムは、アジア新市場開拓、発電ビジネスへの投資、供給の安定化などに十分で長期的な投資を続けており、持続可能なガス産業の発展には国際的な共同プロジェクトを組んで、川上から川下までのバリューチェーンを確保する。
・ロシアにエネルギーを握られるという誤解はしないでほしい。中国とパイプラインを建設するなど、ロシア外での開発をパートナーと組んで推進したい。21世紀はアジアの100年でありロシアの100年。協力関係によって多くの課題は乗り越えられると確信している。
以上
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