江副浩正著「リクルートのDNA―起業家精神とは何か」を読みました。
リクルートのDNA―起業家精神とは何か (角川oneテーマ21)/江副 浩正

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リクルートの起業家精神について、新しい知見が得られることを期待したのですが、新たな気づきはあまりありませんでした。
2007年3月に初版発行なので、市場環境も4年間でずいぶん変わっており、企業状況も江副さんの予想とはだいぶ様子が異なっています。(たとえば、ソフトバンクが行き詰っても、KDDIが買収しNTTを追随するのではないか、とのコメントがありますが、いまや、ソフトバンクはKDDIを上回る勢いになっている等)
と、少々期待とは違った本書ではありますが、その中で印象に残ったこと。
・社訓と行動指針が、リクルートの行動を支えている。
-社訓:自ら機会を創り出し、機会によって自らを変えよ
-行動指針:
1. 誰もしていないことをする主義 ★
2. 分からないことはお客様に聞く主義
3. ナンバーワン主義 ★
4. 社員皆経営者主義-起業家の集団 ★
5. 社員皆株主
6. 健全な赤字事業を持つ ★
7. 少数精鋭主義
8. 自己管理を大切に
9. 自分のために学び働く
10. マナーとモラルを大切にする
注:★は、自分が特に共感したもの。
・「誰もしていないことをする主義」の事例だと感じたのは、リクルートブック。求人広告という広告だけで書籍にしてしまうという発想。これを、本屋さんには無償で提供して高い利益を得てもらう(リクルート側は広告掲載料で儲ける)Win-Winのビジネスモデルの創生。
・後に、この直販部隊は、書店だけでなく、キヨスク、地下鉄互助会、駅の新聞スタンド、コンビニ等に販路を拡張していく。これによって、追随してきた他社の情報誌を撃退し、ナンバーワンの座を確保。ライバルの出現で市場が形成されるが、同じ領域の情報誌は1位が圧倒的に強い。ナンバーワンの座からの転落は事業の死を意味する。
・「社員皆経営者主義」の実例と感じたのは、よく知られた話ですが、社内のProfit Center(PC)制度。会社の中に小さなPCをたくさん作り、そこに大幅な権限を委譲すると同時に高い成果を求める仕掛け。これが「リクルートは商売の勉強ができる会社」という評判をよんだ。
・起業はボトムアップでどんどんPCを作っていくが、撤退はトップダウンで判断すべし。リクルートにも失敗して撤退した事業がいくつもある。どんな良いアイデアもタイミングを間違えると早すぎて成功しなかったりする。事業には「時」が重要。