輪番休日を利用して、日経のグローバルリーダーズ・フォーラムに行ってきました。
自分は個人的な興味で参加したのですが、非常に盛況で約250名程度が参加。各社の
グローバル化・グローバル人材への関心の高さがうかがえます。
結構おもしろかったので、ご参考。
日経「グローバルリーダーズ・フォーラム キックオフセミナー」
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日時:2011-07-11(月) 13:00~17:00
会場:日経カンファレンスルーム
主催:日本経済新聞社 デジタル営業局
協賛:株式会社グロービス、アルー株式会社、株式会社コーチ・エィ
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[所感]
・現地/現場でのビジネスの経験を積むことがグローバル人材育成にとっては不可欠で
あることを改めて実感。自身でも海外他社とのビジネス経験は貴重な経験だった、と思う。
・「30%の確率で動いて70%の成果を目指そう」というのはいい言葉。ビジネスに100%は
あり得ない(ましてやグローバルにおいては)以上、30%でもまず動いてみる、という
スピード感が必要。
・ビジョン→戦略→目標の関係を、上位組織ではやっていても、目標だけがブレイク
ダウンされていくというのは言いえて妙。自分個人のビジョンを持つことが重要。
一度じっくり考えてみたい。
・今回のグローバル人材のテーマと直接は関係ない感じで話をしていたコーチの伊藤氏
のとぼけた話ぶりが一番面白かった(これも作戦なんでしょう)。
「やるべきことは、Personal OSのバージョンアップである。頭の中がDOSの人に
Windowsのアプリケーションをインストールしても動かない。」秀逸な例え!
ブースで聞いてみたが、個人へのコーチングはしておらず、法人対象のみとのこと。
[講演概要]
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(1) 基調講演:住友商事のグローバル人材戦略
加藤進氏 (住友商事(株) 取締役社長)
・グローバル人材戦略を考える前提として、取り巻く環境と中期経営方針がある。
中期計画としてf(x)[エフクロス]を策定。
「顧客の多様なニーズへの対応と世の中の変化を先取りして新しい価値を創造」を
ミッションとしている。その基盤が人材。
・成長のためには、①地域横断(グローバル)、②時間横断(世代を超える)、③機能
横断(組織/企業をまたがった総合力深化)が必要であり、これらを纏め上げる人材力
が必要。
・グローバルに渡る6万5千人の社員を同じベクトルに向かわせることが必要になるため
ツールとして、行動指針 SC VALUES(Sumitomo Corporation Values)を徹底。
・人材育成にはOJTとOff-JTがあるが、OJTが重要。
-ローテーションによる育成:コーポレート部門と現場部門間のローテーションに
よって、物事を複眼的に見ることができる人材を育成
-海外駐在:現地でのビジネスを通じ、もがき楽しむことは、一番の人材育成に
つながる。
・各海外拠点、グループ会社の人材育成も重要。各地域のニーズに応じ、各地域で育成
を実施。それを人事部門が支援する。
今回、銀座に住友商事グローバル人材開発センタを設置した。本社の近くで自由に
行き来して議論する場としたい。
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(2) 創造と変革のリーダーを輩出する~リーダーが育つ『場』つくり~
高橋亨氏 ((株)グロービス グロービス・オーガニゼーション・
ラーニングカンパニー・プレジデント)
・なかなか先が見えない中で、意思決定し前に進まないといけない中で、100%の確率に
なるまで待っていることはできない。30%の確率で動き始め、走りながら軌道修正を
して確率を70%にまで高めることを目指すべき。
→ 30%の確率で動いて70%の成果を目指そう。
・日本企業の海外拠点展開、海外現地人材の活用が進んでいる。特にリーマンショック
以降、各社が本気になっているのを感じる。今後も加速。
・一方で、トップがグローバル化を宣言しても、しり込みする社員・いざとなると保守
的な企画部門というはがゆい光景も見られる。
・事業の発展期、市場の発展期は国によってバラバラ。同じ2011年でも違う時代感を
持っていることを認識すべき。また、地域が持っている機能・役割によって、求めら
れる人材は異なる。地域によって価値観は多様で、求められる人材像も多様である
ことを認識すべき。
・グローバル化は、「発散」と「収束」の二律背反の繰り返しでスキルアップする。
発散=異質・多様性への適応、収束=求心力の維持。
・グローバルリーダに求められるの能力は、
①戦略思考を駆使して展開をイメージする → 想像する力
②共創のマインドセットで常に関係する人と接する → いい喧嘩をする力
③自分のやりたいことが明確で没頭する → 意味づけする力
・とことん考え抜いて迷った時は、今までなっていない方を選んで前に進め。
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(3) 新興国市場を自ら切り拓く人材が、次世代グローバルリーダー育成の鍵
落合文四郎氏(アルー(株) 代表取締役社長)
・アルーの考えるグローバル人材の3つの基本条件とは、
①異文化受容(ボーダーレス):国境、人種、文化の壁を超えるコミュニケーション
②主体性(イニシアティブ):自ら動いて周囲に働きかける
③チームワーク(1+1+1>3):チームとして相乗効果を生み出すことに貢献する
・グローバル人材の意味合いが変化
-海外専門要員 → 全員が目指すべき姿
-欧米を中心とした先進国 → 新興国の重要度が高まる
-40代以上のマネジメント層 → 20代/30代の若手中堅層
・アールが提案するグローバル人材育成体系(省略)
要はステップを明確にし、社員に示し、継続して(10年越しで)人を育てることが必要
異文化を良い/悪いでとらえず、単に違いと認識することが「異文化の理解」であり、
お互いにどう働きかければ、1+1+1>3になれるかを考えるのが「多様化の受容」である
これらは、海外での経験からしか学べない部分もある。
・グローバルリーダーは、事業や組織のフェーズによっても異なるし、必要な人材数も
異なる。それを意識した人材育成が必要。
-創造期:ビジネスを創造する人(1~2割程度)
-変革期:変革のリーダーシップを取る人(1~2割程度)
-安定成長期:今あるビジネスのマネジメントをする人(8割程度)
・グローバル人材に必要な使用のうち、「経験」から得られるものが70%、「薫陶」から
得られるものが20%、「研修」から得られるものが10%程度。経験と薫陶が欠かせない。
・組織のビジョンと個の強みを統合することが重要
-個の強みを活かせることが働きがいにつながる
-ビジョン→戦略→目標の関係を、上位組織だけでなく中間層、個人のレベルまで
それぞれ落とし込むプロセスが必要。トヨタ自動車は、年初の社長あいさつから
始まって、これを1ケ月で行う。現実には、目標だけがブレイクダウンされていく
会社が多い。
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(4) 組織を強くするグローバルリーダーとは?
~エグゼクティブコーチによるリーダーシップ開発~
伊藤守氏 ((株)コーチ・エィ 代表取締役会長)
・人の育成はコストではなく投資、いい人材は常に不足している、という状態が、米国で
コーチングが定着してきた背景。
・コーチングの能力は育成の能力であり、実際にやる能力とは別。
(コーチングとはOJTに近いことかと思っていたが、そうではなく、専門のスキルを
持って個人の能力を向上し組織の能力を上げる能力を身につけさせることが本質)
-講師の方が秀逸な例えをしていた。
やるべきことは、Personal OSのバージョンアップである。
頭の中がDOSの人にWindowsのアプリケーションをインストールしても動かない。
・コーチングとは、目標を達成するために必要な知識、技術、ツールが何であるかを
見つけ出し、それを相手に備え付けるプロセス。
すべての人にコーチが必要。コーチは、視点を変えることで、いろいろな可能性を
考え行動を変えることで、経営にフレキシビリティを与えることができる。
・Feedbackとは、自分の顔を見てびっくりすること。Envelop(閉じられた状態)は、
自己認識の低下と現状認識の低下。これをDevelop(開かれた状態)にすることで、
選択の幅を広げることができる。
・グローバル化は日本ではまだ定義すら定着していない。
リーダーは部下に対して、ミッション/ビジョン/プランを提示するが、それを実際に
ドライブする部下からのフィードバックを得ることが大切。
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(5) グローバル人材を育てるリーダーシップ
三谷宏幸氏 (ノバルティス ファーマ(株) 代表取締役社長)
・グローバル化が進む流れの中で日本経済は停滞気味。
・日本では、仮設からそのまま結論(アクション)に飛びつく予定調和/あうんの呼吸で
あり、正解がひとつ(知識偏重)。それに対して、グローバルでは、仮設からビルディ
ングブロックを積み上げるロジック思考であり、正解が複数ある(知恵重視)の世界。
・この10年でサムソンは、パナソニック+ソニーの売上の2倍、企業価値は3倍になった。
10年あればひっくり返せるということでもある。スピード感・集中力が大事。
・要素技術だけでは競争優位を保てない時代。技術で勝っている間にビジネスモデルの
再構築をして勝ち続ける戦略を考えることが大事。同じビジネスモデルを続けて
いては企業存続も危うい。
・グローバル企業の強さは、①規模、②開発力または戦略とビジョン、③人と企業文化
にある。同じ方向を向いていれば少ない力でも大きな総合力になる(注意:金太郎飴に
なれということではない)。
・GEは、80年代にハードウェアの変革(No.1,No.2戦略)、90年代にソフトウェアの改革
(企業文化、行動様式の変化:管理することからリードすることへやり方を変革)、
2000年代に成長の方向性の変革を行った。
・日本人は内向き志向が強まっている。その状態ではグローバルでは勝てない。
Position PowerからPersonal Powerが大事な時代になってきた。
・グローバル競争の下で変革とスピードが不可欠。リーダーシップの果たす役割は大
きい。ビジョン/戦略、成長文化の作り込み、次世代リーダの育成が求められる。
・外部思考が大切。社内のロジックをお客様に押し付けるinside outのやり方ではダメ
で、今ないものは何かを顧客/市場に問うoutside inのやり方が必要。
別の言い方をするならば、慣習で意思決定をするロジックではなく、外部環境/市場の
ニーズ等、外部の状況を意思決定に反映する戦略を持って行動すること。
・規模、開発、文化に差がついてしまった現状で、日本企業がグローバル企業に勝つ
ためには、差別化要因を作ってそれを使ってどう勝つかをとことん考えることが必要。
必要最低限の規模をどう作るかも重要。メガベンダと同じ規模にはならなくても、
地域や事業分野をフォーカスして戦う等で十分戦える可能性はある。
10年間あれば逆転できる。昔ばかり懐かしがって「国際競争なかりせば」と言って
いてはダメ。
・グローバルでは、事業・文化の違う状態で社員が遠くにいたり現地の人だったりする。
その状態で共通のコアを作ってそれを徹底的に信じることによって、それに照らし
合わせて行動を律することが必要で、外資系企業は、それを徹底してやっている。
日本企業は、ゆでガエル状態から脱するにはどこかでリスタートをかけることも必要。
以上
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(参考)
日経の「グローバル人材育成サイト」が7/11からオープンしています。
http://bizgate.nikkei.co.jp/sp/glf/