10/25-26 日本経済新聞社主催の「世界経営者会議」に参加しました。
この3年ほど参加していますが、本年度のテーマは「新たなグローバル競争へ~危機を超えて」にふさわしく、中国・インド・メキシコなどの新興国の経営者の登壇が増えたのが印象的でした。
景況感については、先行き不透明感はあるが、東芝が70円/$になっても利益を出せるように体質変革を進めていることを表明するなど、グローバル化に向けて成長する経営の舵取りをしているというのが全般的な雰囲気と感じました。


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第12回 日経フォーラム「世界経営者会議」報告
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日時:2010年10月25日,26日
場所:帝国ホテル
主催:日本経済新聞社, IMD
テーマ:新たなグローバル競争へ~危機を超えて
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<所感>
・リーマンショックから約2年が経過し、景況感については、先行き不透明感はあるが、東芝が70円/$になっても利益を出せるように体質変革を進めていることを表明するなど、グローバル化に向けて成長する経営の舵取りをしている雰囲気を感じた。
・本年度のテーマは「新たなグローバル競争へ~危機を超えて」にふさわしく、中国・インド・メキシコなどの新興国の経営者の登壇が増えたのが印象的。
・国内経済の成長が鈍化する中で、成長のためにグローバル化を進める日本企業。一方で市場が先進国から新興国に主戦場が移ったという認識の下、既にグローバル展開をしている各社の経営の考え方は参考になると考える。
・グローバル化においては、現地のニーズに適合した商品の提供が必須であり、従来の高機能/高信頼/高価格戦略は新興国では通用しない可能性が高い(原子力など非常に高信頼が求められる市場はあるかもしれないが)。日本企業が新興国を含めたグローバル展開を進めるためには、適正機能/適正品質/低価格な商品仕立てを考えることが必要。
・グローバル化においては、自社の強みを持ち、時にはパートナーとの協業も含めて、現地に新しい市場を創造すること、また、常に自己変革を行い環境に柔軟に対応できる体質を作ることが重要であることを認識した。


<講演概要(10/25)>
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●セッション1:伝統と変革
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(1) ダノン 共同COO エマニュエル・ファベール氏

・「食を通して健康をもたらす」という企業理念のもと、食品をグローバルに提供。 売上の40%は新興国から。従業員もWorldwideで雇用している。・食品は文化も関係するローカルな問題でもある。グローバルだけでは解決できない。 ダイバーシティの活用で、より多くの有用な食品を提供する。

・「健康」「栄養」「環境」「人」の領域で、伝統を守りながら変革を進めている。 社会の要求する変化を取り込み変化しつつ、その変革を伝統の一部としていく。・変化に必要なのは正しいガバナンスである。株主の理解、取締役会での社会への 責任意識、社外からの要望を拾い上げての行動、人事制度による従業員のインセン ティブが変化のためには必要。


(2) 東芝 社長 佐々木 則夫氏

・先進国の人口/GDPの伸びが鈍っているのに比べ、新興国は高い成長をしている。 先進国向けの高性能/高品質/高価格な商品は、新興国では受け入れられず、適正な 品質を低価格で提供することが必要。各国でローカルに求められる嗜好に合うこと が必要。

・東芝は「イマジネーション経営」を推進する。いつ/どこで/誰と戦うのかの競争相手 とのポジショニングの明確化と、今の数値ではなく将来の競合環境を見越した高い 目標の設定を行う。

・そのために、財務の健全性の確保、成長領域への集中と事業領域拡大によるグロー バルでの競争、プロセスイノベーションによる事業改革を推進する。

・2012年度には、海外売上比率 63%、うち新興国で31%を売上げる目標。 注力するのは、社会インフラのオールインパッケージでの売り込み。官民一体での 売り込みとともに、ローカル現地企業との協業を進める。・円高については、70円/ドルになることを想定してストレステストを実施。短期的 には、輸出入のバランスの最適化と現地調達を含めた改善により、円高/ドル安に なっても利益になる体質を作った(ただし、ユーロ対策がまだできていない)。

・長期的には、事業ポートフォリオの入れ替えを進める。成長領域として、原子力と 半導体に集中。事業領域拡大は、スマートコミュニティのパッケージ化で進める。 新規事業としては、電池/LED/ICTの領域を開拓する。

・グローバル化の中で、伸びる市場/事業に集中し、新興国で勝つコスト競争力をつけ、 先端技術で世界をリードする。そのための構造転換元年と位置づけている。


(3) 対談:出光興産 会長 天坊 昭彦氏 × 日経新聞社 経済金融部長 出口 哲也氏

・エネルギーの安全保障という観点では、石油がきちんと供給できることが重要。 2030年になっても、一次エネルギーの30%は石油であり、他のエネルギーと比べても 最も大きい。

・会社として生き残るために変革が必要。今春2015年を見据えた中期計画を発表した。 「①基盤事業:燃料・石油化学」「②資源開発:石油・石炭・ウラン」「③高機能 材料:石油化学から出てきた先端技術」の3本柱で推進する。売上は①が支えるが、 収益は①②③で等分に得るようにしたい(①は収益のぶれが大きいため)。

・石油以外のエネルギー展開としては、オーストラリアでの石炭事業で新興国の電力 需要に対応、カナダでウランを2013年に生産開始、大分県での地熱発電事業は10年 以上の安定稼動をしている。

・出光家によるオーナー経営は、自分で何でも決められる/意思決定が早い/長期的な 投資ができるという利点もあった(攻めに強い経営)。しかし、昨今は金融危機による 資金調達の不安定さに対応すること、社会責任が大きい事業であることから、株式 上場が必要と判断した。

・グローバル人材の育成については、2通りの人材が必要と考えている。会社全体を グローバルで統括していく人材は自社で育成する必要がある。事業としてグローバル に出て行くという点では、現地のオペレーションは現地に任せられる人を作ることが 必要。


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●セッション2:変化する市場と向き合う
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(1) 日本電信電話(NTT) 社長 三浦 惺氏

・情報通信の世界では、パラダイムシフトが起きている。①スマートフォンやiPadなど サービスが融合しICTがあらゆる場面で活用されている、②利用者参加型/パーソナル 型になってきた、③クラウド等所有から利用への流れ。この変化がグローバルで展開 している。

・新規中期計画として「サービス創造グループを目指して」を掲げており、「①IP系事 業」「②ソリューション提供」「③環境/エネルギー分野の開拓」を進め、これらを グローバルに展開する。2007年度 20億ドルの海外売上は、2010年度 40億ドルになっ ており、2011年度は80億ドルにする。

・個人のグローバル化、企業のグローバル化が進んでいること、日本市場の少子高齢化 による電話契約の成長鈍化により、情報通信事業者もグローバルに出ていかなければ 成長/未来はないと判断している。

・モバイル市場が急激に拡大しており、新興国では、アジアを中心にキャリアと提携 しながらネットワークインフラを拡大する。新興国では、コンテンツ配信等の付加 価値サービスを提供していく。各国でシナジーを出すことが大切で、ドコモグロー バルクラブなど複数企業でのコミュニティを作っている。

・NTTデータなどがWorldwideでM&Aを行っているが、今後、買収した企業のガバナンス 確立、グローバル人材の育成、R&Dやサービスのグローバル化に更に注力し、真の グローバル企業を目指す。

・社会インフラの海外展開戦略が議論されているが、情報通信もそのひとつ。テレワーク、電子政府など、課題解決型の新サービス・新ビジネスモデルを国内で開発し、 海外へ展開していく。


(2) 対談:テトラパック・グループ 社長兼CEO デニス・ヨンソン氏× IMD 学長 ドミニク・テュルパン氏

・デニス・ヨンソン氏は、社内の異動で、高成長分野/低成長分野、先進国/新興国、 フロント/バックオフィスなど、さまざまな場面で働いて課題認識力をつけた。 また、全体としてやるべきことをチームプレイで実践するためのリーダーシップ を学んだ。

・テトラパックのエグゼクティブは、グローバルで仕事をしなければならない。 それを可能性/チャンスととらえる、新しいことを学ぶチャンスととらえることが 大切(個人にとっても家族にとっても)。

・イノベーションの速度はあがっており、市場のお客様の声に耳を傾けてイノベーショ ンを実現する(事実を元に変革を行う)ことが必要。お客様重視、お客様中心が企業理念。・グローバルであるとともに、ローカルな会社活動でもある。現地のニーズを理解する ことが必要。


(3) 味の素 社長 伊藤 雅俊氏

・日本発のおいしさを世界に広めるために、世界の人々の生活に入り込んで、最先端の 技術を使って、人と地球の未来に貢献することが企業理念。

・味の素は、どこの国でも、食べたことがない/見たことがない/聞いたことがない、 からのスタート。食文化を作るという気概で事業を興している。 営業部隊が各家庭を回り現金販売。新興国では流通門がなかったので、自分の足で 営業をせざるをえなかった。

・現在世界100ケ国に展開しており、味の素の売上の92%が海外販売。本ダシは、現地に 合った味覚の調味料にして販売し、売上の86%が海外販売。・管理職 1,470名のうち、40%は海外駐在経験者。

・地球の持続性に貢献する、資源循環型の生産(Cicle of Lifeな事業運営)がこれからは 求められる。世界で通用し、世界で共通の価値を持つUniversal Truthを持つことが 大切。


(4) 公文教育研究会 社長 角田 秋生氏

・1974年から海外展開。フランチャイズ方式で展開している。 日本のフランチャイズ方式でのグローバル展開は、小売・外食業がほとんどで、サー ビス業は12%に過ぎない。サービス業は形がないので、価値観を伝えることが難しい ことも原因。

・国や地域で教育制度や子供に目指させるものが違うので、各国の事情に合わせて課題 解決が必要。そのために、質の高いパケージの提供に加え、現地の知恵を加味するこ とがポイント。指導ノウハウを教材に組み込むことでサービスを現地で再現させている。

・今後、各国の学力レベルが比較される時代になり、国際競争に打ち勝つ自国の人材の 育成が必要になる。そのために、人材の育成を図り地域社会に貢献することが、 企業理念。


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●セッション3:新興国から世界へ
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(1) 山東如意科技集団 董事長 邱亜夫氏

・レナウンを買収した中国の紡績アパレルメーカ。2009年度 15億ドルの売上。・アパレル産業は、経営的には、コスト面の圧力がいろいろとある状況(賃金の高騰、 環境対策、原料価格の高騰など)。生産拠点を内陸部に移すなどの調整が必要。

・販売面では、輸出に頼るやり方から内需喚起にシフトしようとしている。都市化の 進展で、まず住宅需要が伸び、次に衣食需要が伸びる。そのため、製品構成も、 中国内需の要求に沿ったデザインや低価格に変更することが必要。

・日本企業は、管理の近代化、ファッションノトレンドの把握、企業ブランドの面で 見習うべきところが多い。グローバルで優秀なリソースを取り込み、世界的なファッ ショングループになることが企業ビジョン。

・そのためには手段としてM&Aも行う。レナウンとの提携もそのひとつ。 レナウンにとっては、中国市場への進出、山東如意科技集団にとっては、紡績メーカ からファッション創造企業への転換というお互いにメリットのある関係。

・孔子の教えである道徳/仁は、国際化する上でも重要な企業理念と考えている。 山東は、金融危機を超えてシェアを伸ばしてきた。困難は必ず乗り越えられると信じ ている。


(2) キッザニア 社長兼CEO ハビエル・ロペス氏

・メキシコの企業。キッザニア発祥の地であり、世界各国に展開中。・家庭に仕事の内容を教え、企業に宣伝の場を与えるビジネスモデルを開拓。参加型と いうのがひとつのトレンド。教育と娯楽をミックスし、楽しい経験を通じて学習。 家族という大きな市場セグメントをターゲットとしたことで成功。

・各国での成功は、Win-Win-Win-Winな状態であることがポイント。子供/親、学校、 企業、地域社会によって嬉しさがある。

・メキシコで資金調達し、まずアイデアを試した。その後、アメリカではジョイント ベンチャ、他国はフランチャイズで展開。ノウハウとオペレーションをフランチャイズに提供しているが、国毎に法律等が異なるためローカライズが必要であり、 パートナーの存在が必須。

・米国は大きな市場なので、フランチャイズ方式は考えていない。ただし、広大な土地 であり、巨額な投資が必要なため、ローカルパートナーが必要。資金だけでなく、 事業を拡大してくれる企業、将来の成長につながる企業を選ぶことが大切。

・今後、仮想世界での実装も検討中。


<講演概要(10/26)>
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●セッション4:変わる国際展開の構図 PartⅠ
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(1) タタ自動車 副会長 ラビ・カント氏

・この2年に大きな変化があった。不確実性の高まり、複雑さの増加、変化の速度アップが起こっている。グローバル化によって、複雑さはより増した。いろいろなパラメタ によって事業が左右され、顧客の嗜好のさまざま。

・企業は、このような事業環境では原価削減などの守りに入ることが多いが、それでは 成長につながらない。自分達にとって好ましい成果があがるように市場を作る戦略を とらなければならない。例えば、タタ自動車は、インドで小型トラックという新しい 市場を作り業界地図を激変させた。

・成功のために必要なものは、

①速やかな意思決定:ビジネスチャンスは短時間しかない

②柔軟性:多様な要件のある市場、市場環境の変化に柔軟に対応することが必要

③イノベーション:競走上の優位性を得るもの。

・新しい製品/ビジネスモデルの創出・リソース(時間/資金)が不足しているときの方がイノベーションが起こることがある。 新興国に手ごろなソリューションとして提供したものが、先進国では価格イノベーションになることもある。その前提として、変化を感じ取る能力が重要。


(2) みずほコーポレート銀行 頭取 佐藤 康博氏

・ポストリーマンショックの環境認識としては、世界経済は回復基調。ただし、先進国 は低成長、新興国が成長を支える構図。経済の成長モデルが変化。金融危機後は、 金融経済から実体経済になり、新興国が成長のドライバーであり、自由化と規制緩和 という官の役割が拡大している。

・企業のグローバル化のあり方も世界的に変化。地域は先進国から新興国へ、市場は 均一(高機能/高付加価値)から多様化(各市場のニーズへの対応)へ、産業はグローバル 製造業(自動車、電機など)から新たな成長領域(何かはまだ見えていない)へと変わった。

・金融危機後の日本の成長戦略は次の4点。

①新興国戦略の強化。特にアジア。巨大市場の出現に対し、プロダクトアウトとマーケットインを癒合し、文化的価値/システム売りをしていくことが必要。

②新たな形の官民連携。総合的なシステムを受注するAll Japanでの体制の確立。

③民間レベルでの新たな形の国際的な企業連携。グローバル・アジア・コンソーシアムを作って、新興国/先進国企業とともに協力関係を作り、リターンもリスクもシェアする形を作る。

④グローバル化と内需拡大の両立。生産・雇用確保のためにも内需が必要。老朽化ビルの建て替え、環境対応、高齢化など社会の課題を先取りした産業育成が必要。

・金融ビジネスモデルも変化。収益至上主義から、金融仲介・信用創造・決済機能の 本業への回帰。ただし、世界規模で、仲介機能、実体経済成長の担い手となる企業の 戦略の策定支援、金融面でのサポートを行っていく。

・みずほ銀行も、収益力・財務力・現場力を強化するプログラムを推進中。産業構造の グローバル化にあわせ、金融ビジネスもグローバル化する中、アジアでトップレベル の存在感を持つ金融機関を目指す。・日本とアジアはもちろん、アジアと欧米を双方向につなぐ役割を果たすべく、経営 資源をアジアに集中的に投下している。若手行員の海外派遣など、人材育成も推進。


(3) ユナイテッド・コンチネンタル・ホールディングス 会長 グレン・ティルトン氏

・航空産業は、外的な要因で売上が変動する可能性が他産業よりも高いため、より迅速 な意思決定と行動が必要。

・一時的な政府の支援は、企業体力の強化の機会を失い、かえって悪影響を与える。 (JALへの支援は妥当ではないとの見解。)

・複数航空会社がパートナーを組む(ANAも参加するスターアライアンス)ことで、より 世界的なコネクティビティを提供する。それにより、世界はどんどん縮小する。 拡大するグローバル経済において、シームレスに現地に移動する要求を満たしていく ことが必要であり、オープンスカイの推進を歓迎。

・ネットワークキャリア vs ローコストキャリア、ハブ&スポーク vs ポイントtoポイ ントの競争は続いているが、これらは両立すると考えている。ただし、ローコストな ビジネスモデルも成熟してきたことで、企業の統合が起こり始めている状況にある。

・さまざまな規制の中で航空機は飛んでいる。変化に合わせて自らが進化し、Worldwide で競い合うことが必要。


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●セッション5:変わる国際展開の構図 PartⅡ
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(1) ユニ・チャーム 社長 高原 豪久氏

・創業者がひとりで引っ張るカリスマ経営から引継ぎ、共振の経営(シナジー経営)を 目指している。共振の経営のポイントは、「①社員と心を通わせる」「②着眼大局・ 着手小局」「③凡事徹底」の3点。

・社員と直接コミュニケーションすることで、一次情報の吸い上げができる。・着眼大局とは、常に10年先を読んでメガトレンドに照らし、自社の長期ビジョンを描 くこと。着眼点は、「市場規模×チャネルの発展段階×競争環境」と「過去×現在× 未来」。海外展開時、市場が将来大きくチャネルが未発達で勝者になる余地があると 判断した場合は直接進出方式を取る。市場が既に大きく/これ以上大きくならずチャ ネルが既に発展しており競争が厳しいと判断した場合はライセンス方式を取る。

・目指すべき姿/ストレッチ目標はトップダウンで示し、アクションプランはボトムアップで決める(着手小局)。計画者=実行者の構図を作り、ローリングを繰り返す。・グローカリゼーションも同じ。Think Global & Act Local。例えば、インドネシアで パンツ型/小分け販売での低価格な加味オムツを開発し市場を創生した。

・凡事徹底は、尽くし続ける気持ち×変化価値観×原因自分論。 達成感とやりがいを感じさせることが人材育成の鍵。


(2) 対談:アーンスト・アンド・ヤング 会長兼CEO ジェームス・ターリー氏× IMD 学長 ドミニク・テュルパン氏

・アーンスト・アンド・ヤングの強みはグローバルな価値セットで国の違いを超えてい ること。他社に真似のできない能力と過去からの積み重ねによるブランド力。

・ただし、規制/税制はローカルなもの、グローバルでありながら、ローカルに対応し なければならない。

・繁栄のためには、危機の時に内向きにならないで市場シェアを拡大しようとする心構 え。ビジョンを持ってソリューションを生み出す。リスクを取る、失敗しても諦めな いオプティミストなトライ精神が必要。

・日本企業が今すぐやるべきことは、自分達の周りの世界を深く理解すること。今まで の内向きでの成功を超えて新興国を含むグローバル市場に出ていくことが必要。 高齢化により、日本国内市場は低成長にならざるをえないことを認識すべき。


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●セッション6:競争力の源泉
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(1) サンディスク 会長兼CEO エリ・ハラリ氏

・サンディスクが成長した戦略的な決断は、次の6点。

①新しい市場の創造:大きなコンシューマ市場を最初から狙った。

②システム・フラッシュ・ソリューションで販売:単体のフラッシュチップは販売 しなかった。

③ローコスト:マス市場に受け入れられる値付け。20年間で2万5千分の1のコストに。

④パートナーとの戦略的なアライアンス:東芝とNANDフラッシュメモリを共同開発し、四日市のファブレス工場で生産。

⑤業界のオープンな標準化を推進:システムにインタフェースを設けることで、デジタルカメラ/携帯電話などのいろいろなホスト機器とシームレスに統合可能にした。

⑥基本特許とライセンス:特許収入を得て、新しい技術に再投資した。

・コモディティ化は避けられない。コスト削減を常に行い続ける努力が必要。一方で、高機能/高品質な製品を提供する。コストの高い日本での生産を続けている理由は そこにある。コスト削減と高機能/高品質の両面で、韓国/台湾/中国などの競合に対抗 していく。

・一度目の起業は失敗した。そこから学んだことは、正しい人とビジョンを分かち合っ て仕事をすることが重要だということ。優秀で高い倫理観を持ち、ストレスに強い人 と一緒に仕事をするべき。リスクを取ることも必要で、失敗を許容する精神が必要。

・これからの日本の経営者への助言としては、

①戦略的な生産設備を国内に持って高い技術力を保つこと

②環境の変化を受け入れ、自己改革を進めること

③家電産業の強みを発揮させる。複雑な技術を簡単に使わせるソフトウェア戦略が必要

④低コストでシンプルな製品で、グローバル市場の新しい消費者を開拓すること


(2) ARM 社長 チューダー・ブラウン氏

・半導体の設計会社。自社生産は基本的にせず、ライセンス収入とロイヤルティ収入で 事業をするビジネスモデル。

・1社で全てを自前で作る時代ではなくなった。半導体設計の業界にとっては事業チャ ンスが拡大している。ARMは非常に多くの会社にライセンスを売ることでOEMパートナー とのエコシステムを形成している。

・ARMが成功するには、パートナーが成功してくれなければならない。パートナーシップ については、大局的な見方が必要で、最適な価格で最大のボリュームを得ることが必要。

・設計したチップが最終製品になるには、4~5年かかる。常に5年以上先を見据えて 設計することが必要。また、複数の製品に使える汎用化が利益を高める。パートナーの声、研究機関からの声に耳を傾けて開発をすることが重要。会社はイギリスにあるが、顧客のいる現地に行って活動している時間が多い。

・社員が最大の資産であり原価でもある。これをうまくコントロールすることが必要。モチベーション向上、教育、コミュニケーションが大切。一方で、育たない人材の 入れ替えも行っている。

・今後、新しいコンピュータの時代が来る。その変化を取り込んで勝者になるべき。ひとりで全てをやるのではなく、パートナーシップを組んでビジネスをしていくこと が必要。高品質は既にあたりまえになってきている。イノベーションとすばやい行動 が競争優位性を生む。


以上
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長文失礼しました。