半ば強引に家に住み着いて、とうとう20年が経過した我が家の黒猫(♀)が長寿で獣医師会より表彰を受けました。ちゃんと具体的に「20歳」とか書いてくれればいいのに、「老齢にいたるまで家庭の一員としてある時はよき友として又ある時はよき助け手としてよく尽くされた功績は大であります」となんとも曖昧な表現の表彰状だったのは、なんとなく不満がありますが…。
この猫は、野良猫でした。
1994年のブリクサムワールドから船が戻って来た時、同年の全日本選手権に向けて、庭でビールケースを作業台にして、ラダーを直していました。もしかすると、まだ木製のラダーだったかもしれません。その辺の記憶はあいまいですが、少し手間取りながら、作業が終わるとビールケースを庭の端、家の軒下に寄せていました。
ある時、雨戸を開けると小雨が降っていて、今日は作業が進まないなと思っていると、か細い声でビールケースの下から猫の鳴き声が聞こえました。風邪を引いた今年生まれたらしい小さな黒猫でした。
庭でそのまま風邪をこじらせて、亡くなってしまうと夢見が悪いので、仕方なく近所の動物病院に連れて行き、手当てをしました。しかしながら、うちは昔から全く犬猫の類を飼う考えなく、この猫についても飼う考えはなく、貰い手を探す考えもなく、とりあえず風邪を治した後は元の通りにするつもりでした。
一晩、薬を上げて、雨を凌いで、翌日には大分良くなったので、元に戻したように思います。しかし、毎朝、ビールケースの下に相変わらずいます。
ラダーを修理する作業をしている時は、その傍らにずっといるのですが、一人で作業しているよりはいいので、そのまま放っていました。もう大分元気になっているので、夕方に雨戸を閉めようとすると、網戸に飛びつき、家の中に入れろと言わんばかりの抵抗をします。
無理やり剥がすと網が切れたりろくなことがないので、雨戸を閉めるのも一苦労なのですが、相手もかなりしつこく網戸の一番上の方までよじ登ります。そんなことが2~3日続き、こちらが根負けして方針転換、家の中に招き入れることとなりました。家に来てから、3~4日のことだったように思います。
家の中に入ってからは、朝起きると、枕元に寝ていたり、鈴の入ったボールにロープをつけたものを獲物のように飛び掛かるしぐさが面白かったり、心臓がすごい勢いでドキドキするまで鈴のボールを追いかけまわしたり、やんちゃで面白い猫でした。
猫を飼うのは初めてのことでしたが、躾は何の苦労もなく、初日からスムーズでした。
家の中で自然に居場所を確保するのは、あっというまのことでした。
その後、ずいぶんと長生きするなぁと思いながら、20年が経過しました。
光の層が一層あるかのようなツヤツヤの黒い毛も大分白い毛が混じるようになって、まだ食事は充分できるけど、抜けた歯もあります。なによりも、今年になってからは、もう目が見えていないのではないかと思います。
もう相当なお婆さんになってしまいましたが、その長寿を表彰していただくのは、喜ばしいことでした。学生で初めて行った海外遠征から20年、そんなに経つのかと感慨深いものがあります。