何事もなく、というわけでもないにせよ、年も押し詰まってくると、ふとこの一年を振り返り、やろうと企てていたことのうち、できたこと、できなかったことなどを指折り数えてみたくもなってきます。
仕事の内容は性に合っていたものの、身分の低さに耐え切れず、少しはまともな立場で、やりがいのある職場を求めて転職を図ったのですが、己の学歴や経歴を踏まえない身のほど知らずの暴挙であったらしく、あえなく空振りして、分相応なところに落ち着き、労働条件はわるくとも、しばらくは奮闘、努力を重ね、どうにか暮らし向きを安定させようと決意を新たにしています。
「借金で尻に火をつけて、仕事をしないといけない状態にする」というのは、金沢廃品回収業界の重鎮の名言で、上体を前かがみにして、左手を尻の方へ持って行き、握ったこぶしをぱっと開いて、ジェット噴射ばりのしぐさとともに、最低でも200回は聞かされたものですが、それにはやはり適性があり、廃品回収業界の重鎮のトラックを見つけたガソリンスタンドの従業員が総出で店の前に立ち、両手を頭上で大きく交差させて、入ってくるなと意思表示しているのもものともせず、突撃してきて、政治家や弁護士、医師など社会的地位の高い人たちとの交流を、スマホの画面を見せたり、名刺を取り出してきたりして煙に巻き、「アルミホイールでも、バッテリーでも好きなもの持って行って」と根負けさせる話術の巧みさや、ゴミ捨て代行や無料引取りと称して、一般家庭から金目のものをたたき出したり、運搬費や作業料として思い切りふんだくったりする営業のスキルの高さなどがあればこそであって、商工ローンやサラ金の営業マンを手玉に取れる知識や胆力があり、家賃も踏み倒す器量の大きさがあれば怖いものなしで、「年金は一円も払っていないけど、パチンコ屋に積み立ててあるから一生安泰」とか「運のいい人間だから、金の問題は、誰かしらが払ってくれて、いつの間にかなくなっている」とか、卓越したユーモア精神を持ち、知らないことは何もないという自身の能力の高さに裏づけられた自信に満ちあふれた魅力的な人生という気もしてくるものの、こればっかりはとてもまねできる芸当ではなく、日々をつつがなく暮らしたいと小さな望みしかない者にとっては、廃品回収の重鎮から「寝てた方がまし」と嘲笑を浴び、見下されながらも、毎日、せこく働く以外に選択の余地はありません。
どんな仕事でも夢を持って、前向きに取り組む、などときれいごとではなく、生活費を稼ぎ、遊ぶ金欲しさの労働でしかないので、身すぎ世すぎと割り切って、職場で給料分くらいは役に立ち、とにもかくにも、借金生活に陥らないように踏みとどまりたいと願っていますが、貧困層の場合、まじめに働いていても、気づいたときには、すべり台を気持ちよく下降している、といった状況になっていることもあるので、油断はならないながら、来年も、数少ない友人と、野球観戦や居酒屋めぐりくらいはしたいものだと考えています。
マイナスがない分、残念ながらどん底ではないにせよ、底辺にいるのは間違いなく、気持ちの上でもどんよりと曇っているのも確かですが、どうにかしてひと冬越せば、雲の裏側に銀の裏地があった、と思えるようになっているようにも思えます。
仕事の内容は性に合っていたものの、身分の低さに耐え切れず、少しはまともな立場で、やりがいのある職場を求めて転職を図ったのですが、己の学歴や経歴を踏まえない身のほど知らずの暴挙であったらしく、あえなく空振りして、分相応なところに落ち着き、労働条件はわるくとも、しばらくは奮闘、努力を重ね、どうにか暮らし向きを安定させようと決意を新たにしています。
「借金で尻に火をつけて、仕事をしないといけない状態にする」というのは、金沢廃品回収業界の重鎮の名言で、上体を前かがみにして、左手を尻の方へ持って行き、握ったこぶしをぱっと開いて、ジェット噴射ばりのしぐさとともに、最低でも200回は聞かされたものですが、それにはやはり適性があり、廃品回収業界の重鎮のトラックを見つけたガソリンスタンドの従業員が総出で店の前に立ち、両手を頭上で大きく交差させて、入ってくるなと意思表示しているのもものともせず、突撃してきて、政治家や弁護士、医師など社会的地位の高い人たちとの交流を、スマホの画面を見せたり、名刺を取り出してきたりして煙に巻き、「アルミホイールでも、バッテリーでも好きなもの持って行って」と根負けさせる話術の巧みさや、ゴミ捨て代行や無料引取りと称して、一般家庭から金目のものをたたき出したり、運搬費や作業料として思い切りふんだくったりする営業のスキルの高さなどがあればこそであって、商工ローンやサラ金の営業マンを手玉に取れる知識や胆力があり、家賃も踏み倒す器量の大きさがあれば怖いものなしで、「年金は一円も払っていないけど、パチンコ屋に積み立ててあるから一生安泰」とか「運のいい人間だから、金の問題は、誰かしらが払ってくれて、いつの間にかなくなっている」とか、卓越したユーモア精神を持ち、知らないことは何もないという自身の能力の高さに裏づけられた自信に満ちあふれた魅力的な人生という気もしてくるものの、こればっかりはとてもまねできる芸当ではなく、日々をつつがなく暮らしたいと小さな望みしかない者にとっては、廃品回収の重鎮から「寝てた方がまし」と嘲笑を浴び、見下されながらも、毎日、せこく働く以外に選択の余地はありません。
どんな仕事でも夢を持って、前向きに取り組む、などときれいごとではなく、生活費を稼ぎ、遊ぶ金欲しさの労働でしかないので、身すぎ世すぎと割り切って、職場で給料分くらいは役に立ち、とにもかくにも、借金生活に陥らないように踏みとどまりたいと願っていますが、貧困層の場合、まじめに働いていても、気づいたときには、すべり台を気持ちよく下降している、といった状況になっていることもあるので、油断はならないながら、来年も、数少ない友人と、野球観戦や居酒屋めぐりくらいはしたいものだと考えています。
マイナスがない分、残念ながらどん底ではないにせよ、底辺にいるのは間違いなく、気持ちの上でもどんよりと曇っているのも確かですが、どうにかしてひと冬越せば、雲の裏側に銀の裏地があった、と思えるようになっているようにも思えます。