たまたま入ったラーメン屋…
そこで出されたドロドロ鶏ガラスープのラーメンにハマり、すっかり行きつけに…

通い続けるうち、具として入っている煮玉子のトリコとなる。
もはや、ラーメンに入った煮玉子を食べるため、その店に通っていると言っても過言ではないほどに…



やがて、そのラーメン屋は一部の熱狂的ファンの支持をうけるようになっていた。

多くの客はその複雑に味の入り混じったスープのトリコとなった…
中には、丸く切られた厚めのチャーシューを評価する者もいた…
またある者は、「この麺こそ、このラーメンがラーメンとして評価されるゆえんだ」と薀蓄をたれた。



ある日…
その店のラーメンからメンマが消えた…
やがてネギも入らなくなっていた…

このことで店から離れていく客もいた。
しかし、私は‘‘煮玉子LOVE”ゆえ、そのことにはあえて目を瞑った。



また暫くして…

店主曰く「このチャーシューもレシピごと、のれん元に渡すので、近々出せなくなる」とのこと…
多くのファンが落胆した。



そして先日…

そのドンブリの中から麺が消えた…(←今ココ!)

今、私の目の前には、鶏ガラスープに煮玉子が一つ入っただけのドンブリが置かれている。

私は悩んだ…

もはや、麺が入らなくなった時点で、これは「ラーメン」ではない…

もう、この店に来る意味もないのではないか?

これでは、普通に(この店に来てから好きになったのだが…)煮玉子だけをどこかで手に入れて食べればいいのではないか?

そんな悩める私を知るよしもなく、店主はいう。
「近々、煮玉子も半分サイズになりますよ。あとの半分は、となりのタコ焼き屋の付け合わせになるので、そちらも食べに行って下さいよ。」

「無くなったチャーシュー・メンマ・ネギの代わりには、ナルトとモヤシとワカメが入りますから安心してください」

「あと、クセの強い鶏ガラスープも、一般ウケするように醤油ベースのスープで割りますから」…


なぜか店主は自信満々だ。



私は店主に訪ねた…


「結局、代わりの麺はどうするのですか?」









ラーメン屋の店主は答える…


「え?お客さん、煮玉子が好きなんですよね?」と。



この話はフィクションです。
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