映画「オッペンハイマー」(追記あり) | こうのの日々

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漫画家こうの史代です。
夫とキエリボウシインコのTさんと、福知山市で暮らしています。

こんにちは! こうの史代です。


10日前の朝、わたしは特急と新幹線に乗りました。

そして、やって来ましたよ。

さてここはどこでしょう!?

はい。
14時半頃のグランドシネマサンシャイン池袋12階です!
映画「オッペンハイマー」の試写会がこれから始まるところです!

観終えました!

この映画は、180分の大作です。
J・ロバート・オッペンハイマーは、アメリカのロス・アラモス研究所の所長として原子爆弾を完成させた理論物理学者です。
後に水爆の開発に反対して「赤狩り」に遭い、不遇の晩年を送りました。
そんなオッペンハイマーの、クズだったり立派だったりの人柄と、栄光だったり苦難だったりの人生を追う、真っ向勝負の映画でした。

我々は、この大量殺人兵器を「狂った天才科学者たち」のせい、と片付けて安心していたのではないか? 
そうやって我々凡人は無責任に、無自覚に罪を犯してしまうのではないか?
そして、たとえ取り返しがつかなくとも、それでも心に善意を宿す勇気を持てるだろうか?

感想は残念ながらひと言では語れず、しかし、ひと言で語れないからこそ映画作品になっているわけで、つまり「作品」とはこうあるべきなのだ、とも痛感する大作でした。

あと、ちょっとネタバレかも知れませんが。
この作品、カラーと白黒の映像で構成されています。
貰ったパンフレットによると、実はこの作品の主人公は2人いるのです!
ひとりは勿論オッペンハイマーで彼の視点はカラー映像、そしてもうひとりの主人公の視点の部分は白黒映像になっている…、らしいのですが、観ている間は気づきませんでした!
さて、そのもうひとりの主人公は誰なのか?
考えながらご覧いただくと、より楽しめるかも知れません。

映画「オッペンハイマー」は3月29日公開です!

ところで。
わたしは5年前にリーゼ・マイトナーの短編漫画を描いた事がありました。
※刷り出しを、と思ったけど何故か見つからなかったので、原稿のコピーでごめんよ。

リーゼ・マイトナーは、オットー・ハーンと共に核分裂を発見、解明した実験物理学者です。
リーゼの甥O・R・フリッシュも当時ロス・アラモス研究所に居たので、出るかなあ、と親戚に会うような気持ちで観ましたが、出なくてちょっぴり残念でした。
あとはつくづく、ニールス・ボーアの人格と業績が奇跡的過ぎて…、漫画界でいうとちばてつや先生みたいな感じでした。

核兵器の脅威は、どの科学者も避けては通れない課題のようです。

「核分裂を発見した人 リーゼ・マイトナーの生涯」(シャルロッテ・ケルナー著 晶文社)には、こんなリーゼの言葉が載っていました。
漫画にも、終わり2頁に入れてみました。
原稿のコピーで、字がめちゃめちゃ汚くてごめんなさい!


またハロルド・ユーリーという化学者のこんな言葉も載っていました。
あ、奥付けも載せとこうね。
今は残念ながら絶版です。

昔の自作の話になってごめんなさい。
リーゼの漫画は、いずれもっと長い作品に描き直したいな…と思っていたのです。
「オッペンハイマー」を観て、この映画に関わる人々の勇気に触れて、それを思い出しました。
忘れないようにここに記しておこうと思いました。

ではまたね!