今回は、憲法の平等問題が出題された場合の答案の書き方考え方について、一例を提示する。

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にほんブログ村 今の司法試験受験生はほとんどがいわゆる三段階審査の考え方で答案を書いていると思われる。表現の自由などに対する規制の違憲性を論じる自由権論証とは異なり、平等権の問題は多少特殊であるから、答案上、どのように審査基準の定立まで持っていくか迷う方もいると思う。そこで、以下に、平等権侵害事例を考える際の基準定立までの流れをまとめたので参考にしてほしい。

平等権の書き方
(1)14条1項違反の問題提起
問題提起の際、まず、問題となる国家行為を特定し、それによって別異の取り扱いが生じていることを論証する。ここで、比較対象を設定する。原告にとって差別の不合理性が際立つような最も有利な比較対象を設定する。

(2)Q1「法の下」のQ2「平等」の意義
Q1→法適用の平等のみならず法内容の平等まで含む
Q2→相対的平等
⇒規範:「事柄の性質に即応した合理的な根拠に基づく」区別か(判例)
「事柄の性質」で基準の密度を決定。
「事柄の性質」としては、①被制約利益②差別の基礎事由③立法裁量の有無(広狭)等を考慮する。

※以下考慮すべき「事柄の性質」の具体例(事案に応じて臨機応変に使いこなす)

被制約利益

(ア)被制約利益権利の重要性(ex精神的自由権などの優越的地位に立つ権利(二重の基準論的発想の導入)、国籍は重要な法的地位…)

(イ)差別の間接性(つまり、係争の制度だけが差別の決定的要因ではない。Ex法定相続制度の補充的性格)

差別の基礎事由

(ア)14条1項後段列挙事由に該当すること。

(イ)((ア)に該当しなくても、)その5差別事由は(a)我が国の歴史的経験に照らしてとりわけ過酷な差別事由として用いられてきたこと(b)いずれも「本人の努力ではどうしようもない」ものであることにおいては共通であり、それゆえに厳格な審査が導かれると考えられるから、①②の視点からの実質的解釈を通じて拡張が可能である(例示列挙説)。

(ウ)規制態様の観点からの厳格化、すなわち、「本人の意思では如何ともし難い区別指標」という属性が確認できる区別事由には、厳格審査が導ける(「客観的要件」という強度の規制態様は厳格審査にすべき、という汎用性のある観点)。
∵この場合は民主主義に委ねられない(司法消極主義の前提が崩れる)ので、厳格な審査すべきだから。

(エ)個人の人格的価値に関わる事由による差別(∵13条)→厳格化

立法裁量の有無(広狭)
制度的権利に関わるもの(財産問題、相続問題)、法律事項とされているもの(ex国籍につき憲法10条、選挙制度につき憲法44条本文・47条等)

基準定立
事案へのあてはめ



(参考)
以下に、国籍法違憲判決(最高裁判所大法廷判決平成20年6月4日)の判旨を簡略化したものを記しておく。

国籍法違憲判決の論証

「事柄の性質に即応した合理的な根拠に基づく」区別か
 たしかに、①国籍の定めが法律事項とされ(憲法10条)、「種々の要因を考慮する必要」があることから、これをどのように定めるかについては立法裁量にゆだねられる。
 しかし、②日本国籍は、我が国の構成員としての資格であるとともに、我が国において基本的人権の保障、公的資格の付与、公的給付等を受ける上で意味を持つ重要な法的地位でもある。また、③父母の婚姻により嫡出子たる身分を取得するか否かということは、②子にとっては自らの意思や努力によっては変えることのできない父母の身分行為にかかる事柄である。
「慎重な検討をすることが必要である。」(厳格審査)

※【泉補足意見】
本件区別が憲法14条1項に掲げられた「社会的身分」及び「性別」を理由とするものであることを指摘して、実質的関連性の基準を採用して、目的は重要だが実質的関連性がないとして違憲の結論を導いている。
⇒基準の厳格化の理由に盛り込める。


※参考文献
・最高裁判所裁判集民事228号101頁
・「憲法基本判例を読み直す」 (野坂 泰司) 
・「判例から考える憲法」受験新報2010年10月号(716号)~2012年10月号(740号) 等




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