今回は、民事訴訟法の既判力に関する問題の一部を取り上げる。
以下の点は、学生がよく間違えるところであって、ロースクールでも丁寧に指導がなされるところである。

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【棄却か却下か】
前訴原告が前訴判決確定後に、再び同一の訴えを提起した場合に、後訴裁判所はいかなる判決を下すべきか。ここでは、①前訴で前訴原告が敗訴している場合と②前訴原告が勝訴している場合との二つを考えてみる。

①請求棄却判決確定後の前訴原告の同一再訴
〔結論〕
請求棄却判決
〔解説〕
 前訴確定判決がある場合、当事者はこの前訴判断に反する主張をすることが許され ず、また、裁判所はこの判断に反する判断をすることが許されない。確定判決に認められるこのような拘束力を既判力という。このように、既判力の拘束力は、後訴の裁判所が前訴の基準時における権利関係についての前訴の判断に拘束されてその判断と同じ判断をするという性質のものであって、ここでの既判力に抵触するとの被告の主張は後訴を不適法とする本案前の主張ではない。よって、後訴が前訴の請求棄却判決の既判力に抵触する場合(後訴での主張・認定が、前訴の基準時における権利関係に反する主張・認定になる場合)には、後訴の請求を棄却するとの判決をすべきである。

②請求認容後の前訴原告の同一再訴
〔結論〕
訴え却下判決
〔解説〕
 既判力は当事者が確定した終局判決の判断に反する主張をすることが許されず、裁判所もこの判断に反する判断をすることが許されないという拘束力である。そうすると、前訴案決の基準時における権利関係についての判断と同じ判断を求める主張の場合には、既判力に抵触するものではない。
 もっとも、確定した勝訴判決を取得しているにもかかわらず、国家の設営する訴訟制度を重ねて利用することは許されない。そこで、後訴は訴訟要件の一つである訴えの利益を具備しないものとして、訴え却下の判決をすべきである。 (既判力の積極的作用を介して訴えの利益を欠くことになる。既判力の作用は、前訴判断と同じ判断を後訴でも繰り返さなければならないというものであるから、前訴の判断と同じ判断が繰り返されて結果認容する以外にないので訴えの利益がないことになるのである。)

※参考文献
民事訴訟の基本原理と要件事実(田中豊)5頁~8頁


以上
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